パニック障害(PD)とは

パニック障害(PD)とは

1. 概要

パニック障害(PD:Panic disorder)不意に発汗、息苦しさ、震え、動悸、口渇感などを主体とするパニック発作が出現し、パニック発作に対して「また発作がおこるのではないか」という不安(予期不安)が著しく高くなる病態です。人混みや公共交通機関など、特定の状況で発作が出現する事が多いですが、定義上は状況によらず発作が生じる病態を言います。2000年のある研究によれば、パニック症の経験のある者3.4%、男性1.8%、女性5.4%の頻度であり、女性は男性より2−3倍の罹患リスクがあるとされています。平均初発年齢は18か38歳程度と幅広い年代で発症する可能性がありますが、15−24歳と45−54歳に2峰性に好発するとされています。1年間の統計では、過去に「死にたい」と考えていたパニック症患者は31%であり、その中で実際に自殺を試みた人の割合は18%だったという報告があります。予後は良好とは言えず、5年後の寛解率は40%、寛解後6ヶ月以内の再発率は女性39%、 男性の再発は15%で、5年後の再発率は女性82%、男性51%です。再発後の持続時間は、圧倒的に女性の方が長いとされますが、症状の重症度には男女差はありません。5年以上の経過観察では完全寛解は10−15%程しかなく、早期に介入しなければ慢性化と再発は避けられず、発作後4割は不安・抑うつ状態に移行し、自殺リスクも高くなります。パニック障害は不安障害の中では寛解率も再発率も、最も高い病気であると言われます。

2. 原因

発作の主体は、自律神経のうち交感神経の過緊張状態が本態とされています。心理社会的ストレス因子が発症に関与していると言われており、本人がストレスと意識しないストレスも含めて様々なストレスが無意識のなかに蓄えられ、収束が症じ、ある時に爆発した状態として発症するようです。また、遺伝も関係しており、1親等におけるパニック障害の発症率は10%、パニック障害の4つの双生児研究における一致率は、一卵性では34%、二卵性では8%とされ、遺伝率は43%と報告されています。パニック障害は、他の精神疾患との併発が多く、何らかの関連性も示唆されています。うつ病は50–60%、双極性障害は13%、他の不安障害との合併率は何と90%以上と報告されています。また、情動不安定で不安焦燥が強い「パニック性不安うつ病」と言われる病態に進展する場合、30–40%双極性Ⅱ型障害を併発していると言われています。

3. 診断

臨床的には、下記を満たし、他の身体疾患や精神疾患で説明できない場合に診断されます。

突然、激しい恐怖または強烈な不安感の高まりが数分以内にピークに達し、以下の症状のうち4つ以上が起こる。

①動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
②発汗
③身震いまたは震え
④息切れ感または息苦しさ
⑤窒息感
⑥胸痛または胸部の不快感
⑦嘔気または腹部の不快感
⑧めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
⑨悪寒または熱感
⑩異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
⑪現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
⑫抑制力を失うまたは‘’どうかなってしまう”ことに対する恐怖
⑬死ぬことに対する恐怖

それらの症状のうち少なくとも1つは、1ヶ月以上持続している。

予期不安の存在とそれに伴って「外出したくない、1人で居られない」などの気持ちを伴う事もあります。甲状腺機能亢進症、てんかん、褐色細胞腫、喘息、狭心症、クッシング症候群や低血糖発作など身体的疾患や異常、覚醒剤の使用、アルコールの離脱症状など物質関連性の病態によってもパニック発作が生じることがあるので、それらと鑑別も必要です。

4. 治療

パニック障害は不安の病であり、薬剤をはじめ診察や薬、全てに不安をもたれる事もあります。しかし薬にはリスクが低いものもあり、その後慢性化と再発のリスクが高い事を考えると治療しないメリットより治療するメリットが大きいと思われます。パニック障害の急性期は、まず発作を消失させる事が最も重症です。なぜなら、パニック発作自体が次の発作誘発の準備性を脳内で高めるからです。この悪循環を断ち切るために、まず発作そのものでは命に関わる問題ではなく、また30分以上発作が続くことは稀であることを知ってもらい、発作を誘発するリスクとなるアルコールやタバコ、カフェインの大量摂取を控えながら、薬物療法を行うことが推奨されています。治療開始後3ヶ月でパニック発作をはじめとする病的な症状は大幅に消失し、大きな障害を感じなくなります。1年後には寛解に達し、3年後にはほぼ病前に戻ります。そのため、最低限半年から1年は薬を続け、3から5年で完治させることが推奨されています。お薬は、早期には長時間作用型の抗不安薬を用いながら、SSRIを主体とした抗うつ薬が効くまで時間稼ぎをする方法がとられる事が多いです。しかし、SSRIの自己中断率は20~30%で服薬が維持できない患者さんも多く、服薬を続けても20~40%が寛解に至らず、20~50%が断薬後に再発するとされます。
また、パニック障害に対する認知行動療法(CBT)も薬物療法と同等以上に有効であると報告されています。パニック発作には、自分自身の身体症状に直面させる内的エクスポージャーや、パニック発作や身体症状に対する破局的認知を修正する認知療法が効果をもつとされ、それに伴う予期不安の低減が期待されています。また、トラウマが背景にあるパニック障害では、心理療法の中でもEMDRの有効性が注目されています。最初の最悪のパニック発作エピソード、予期や症状に関するエピソードをターゲットにしたEMDRでは、少なくとも5回以上の治療で改善が期待できるとの報告があります。

>

 医療法人社団 燈心会
ライトメンタルクリニック
東京都新宿区西早稲田3丁目20-3レガリアタワーレジデンスB1F
TEL 03-6457-6040 FAX 03ー6457-6041
診療日・時間
 月〜金 10:00~13:00、14:00~18:00、19:00~22:00
 土・日 10:00~13:00、14:00~18:00
※土・日の19:00~23:00はカウンセリングのみ
※祝日は原則診療

診療科目 心療内科、精神科、児童精神科、美容皮膚科

ライトメンタルクリニックは、新宿・高田馬場にて夜間診療を行っている精神科・心療内科クリニックです。次に掲げる考え方のもと、「夜間・休日含む常時診療」「非薬物療法の充実」「遠隔診療の実施」「プライバシーの配慮」の4つを特徴とし、精神科・心療内科受診に抵抗のある方にこそ選ばれる医院を目指しております。
1.心身に不調を感じているにもかかわらず、日中忙しいことにより精神科・心療内科の受診を躊躇する方のニーズに応えるため、当院は日中の診療に加え、夜間・休日診療も行います。
2.副作用のリスク等から、薬物療法に抵抗感を感じる方にも精神科・心療内科の受診を検討いただけるよう、非薬物療法を充実させています。
3.通院が困難な方のニーズに応えるため、オンライン診療を実施しています。
4.仕切りを設けた待合室により、患者さま同士が極力顔を合わせずに診療を終える事ができます。
このほか、夜間のひとときをリラックスしてお過ごしいただけるための環境整備に努めてまいります。