怒る人や批判する人をかわす方法
なぜ、人は怒るのか
皆さんも、怒っちゃったことは一度くらいはありますよね。
では、何故怒ってしまったか、考えたことはありますか?
心理学の世界では、怒りの背景には
「期待やルールへの逸脱がある」のだと考えられています。
なので、他人に過剰な期待をしてしまっている人や、
鉄壁のマイルールを持っている人は、
怒りを感じやすくなるのです。
しかし、多くの場合、怒りを相手にぶつけると、
より悪い結果になってしまうことも多いですよね。
もし、怒りをコントロールしたいとお考えの方であれば、
そのマイルールや期待が現実的か検証したり、
怒りの背景にある不快な考えを素直に伝えてみたりすることで
怒りをコントロールするのがおすすめです。
例:部下Aの遅刻に過剰なほどに怒ってしまった怒れる上司
上記の例では、怒りの背景には
「期待を裏切られた」という不快な考えが隠れていることになります。
この場合ですと、部署を任せる、という期待が現実的なのか検討したり、
「期待していたのに、私は残念な気持ちだよ」など、
怒り以外の感情を使って相手に伝える方法などが有効です。
こちらは、
アンガーマネジメントの記事で詳しく解説しています。
怒る人への対処法
ビジネスシーンに、怒られる場面はつきもの。
怒りを向けられた際に対処するための、有効な戦術を6つご紹介します。
「ゆっくり話す」
イライラすると、つい早口になってしまいます。ゆっくり話すよう意識することで、
こちらがヒートアップしにくくなると同時に、相手にこちら側の苛立ちを感知させず、
さらなるヒートアップを防止するという効果もある。
「反射」
鏡のように、相手の意見を要約して返す手法。相手の話を聞いている、というメッセージを暗に伝え、
ヒートアップするのを抑制する効果がある。
例「・・・つまり、購入時から壊れていたので、無料で修理して欲しい、ということで宜しいですか?」
「分散」
相手の主張が正しくないと思える場合でも、部分的には認める。
この際、全面的に認めてしまうと、やり過ごした際に後で
「話が違う」と怒りの火種になることがあるので、注意すること。
例「不快な思いをさせていただいたことに関しては、申し訳ございません」
「質問」
質問して話を掘り下げる。「この人は私の話に興味がある」というメッセージを暗に伝え、
また相手の注意を感情ではなく事実に向けさせ、クールダウンさせる効果がある。
例「それでは、壊れていた状況を詳しく説明していただけますか?」
「延期」
一度、怒りの場面から時間的距離を置く方法。相手も自分もクールダウンが期待できる。
例「お話はよくわかりました。社内で検討させていただき、後ほどご連絡します」
「フィードバック」
怒っている相手がどのように見えるか、客観的に伝える方法。
怒りに我を忘れている相手に、冷静さを取り戻すチャンスを与える。
例「このような大声ですと、他のお客様が怖がってしまいますので・・・・」
驚愕反応を使って怒りをリセット
驚きというのは、他の感情よりも優先度が高いものです。
例えば、その時イライラしていても、悲しんでいても、嬉しくても、
天井からいきなり大量の水が降ってきたら、
驚きに支配されてそれまでの感情が一旦リセットされますよね。
驚きは、どのような事態が起こったのか処理しようとして心が空白になる感情であり、
次の感情に移行する前段階の感情なのです。
これを使うと、怒っている人も瞬時に黙らせることができます。
例えば、怒られているとき、急な頭痛や嘔吐などの体調変化を見せてみたり、
「録音しています」などの予期せぬ返しをしてみたり。
怒られているのに「ありがとうございます!」と感謝してみたりなど、
予期しない反応によって驚かせる事がトーンダウンさせる強力な作戦となるでしょう。
批判を回避する方法
嫌なことをチクリ、と言われた時、
一番メンタルヘルスにとってまずいことは何でしょうか。
「あれ、どんな意味だったんだろう・・・」と、
相手に言われた事をどんどん悲観的に解釈してしまい、
それに囚われてしまうことじゃないでしょうか。
実は、自分で考えて答えを出し、それが深く自分の心に残ってしまうことを、
心理学では「自己説得効果」と呼びます。
「自己説得効果」によってメンタルを病まないためにも、
批判をされたら
「え?それってどういう意味ですか?」
と聞き返すのが良いとされます。
そうすることで相手が「面倒くさいやつだな・・・・」と感じ、
トラブルになるのを避けようとして、批判をいうのを避けようとするでしょう。
また、嫌味や批判を受けても、平然と振る舞うことも大事です。
振る舞う役割により考え方が変わる、とする「役割効果」の理論上、
平然と振る舞うことによって、心のダメージも少なくなる事が期待できるからです。
また、批判をした相手側にとっても、
傷ついたそぶりを見せられるのは罪悪感が掻き立てられるものです。
しかし、その罪悪感を解消するため、
「いや!相手が弱すぎるだけ!」だの、
「俺は正しい事を言った!傷つくなんて筋違いだ!」
他責的になり、さらなる摩擦の原因になることがあります。
これを心理学では、「自責の念による反応増幅仮説」と呼びます。
上手な喧嘩の仕方
雨降って地固まる、ということわざがあるように、
喧嘩することで、かえって関係が良くなることもあります。
どうせなら、後味のよい、上手な喧嘩をしたいものですね。
最後に、心理学で取り扱われる「上手い喧嘩の仕方」をご紹介したいと思います。
ルール①「人格否定を避け、事実ベースで指摘する」
このATM!
はい地獄。
相手に人格否定の言葉を投げかけると、
それが関係にしこりを残すことがあります。
感情論を避け、できるだけ事実を指摘するよう努めます。
ルール②「相手の言い分を聞く」
当たり前ですが、一方的に言いたいことばかり言って相手の話を遮っていると、
相手はどんどんイライラしてきますよね。反論したい気持ちはわかりますが、
グッと我慢。相手の言い分から新しい発見が生まれ、喧嘩が収まることもあるかもしれません。
ルール③「相手への文句よりも自分の感想を述べる」
相手への要求や批判よりも、自分はどう思ったのか、という点を意識して伝えることで、
相手が状況を客観的に見やすくなり、素直に自分の非を見つめ直しやすくなります。
ルール④「相手の状態について口に出す」
相手の状態に意識を向けさせると、怒っている見苦しい自分に気づくことを促させ、
結果的に怒りの勢いが削がれることが期待されます。
ただ、何度も使用していると逆効果になることも。
ルール⑤「最後には仲直りの言葉で締める」
できるだけ早い段階で自分の非を部分的には認めた方が、
お互いに譲歩する気持ちが生まれ、
関係を再構築しやすくなります。
まとめ
これらのルールを守った喧嘩が、こちらになります。
もしかして怒ってる?目が怖いよ。
本記事はいかがだったでしょうか?
皆さんも、怒りや批判とうまく付き合って、
大きなトラブルを避けられると良いですね。
それでは皆さん、お大事に。
更新:2024.5.9
ライトメンタルクリニック院長
日本精神神経学会認定専門医/精神保健指定医/薬物療法研修会修了/認知症サポート医