交渉で役立つ心理学。

断られにくい依頼の方法

心理学 交渉術

営業職の皆さんであれば、こう考えたことは一度くらいあるでしょう。

「今月のノルマがやばい・・・」

「もっと契約がとれたら・・・」

契約がとれるかどうかは、商品や営業する人物の魅力も大いに関係しますが、

心理学のスキルも知っておいて損はないでしょう。

もしかしたら、あなたも無意識にやっているかも??

ドア・イン・ザ・フェイス

最初に大きな要求を敢えて行い、次に本命のお願いをするテクニック。

最初に断られても、「相手も譲歩してくれたから・・・」と、次には要求を呑んでくれる確率が高まる。

フット・イン・ザ・ドア

最初に小さな要求をし、次第に大きな要求に発展させていくテクニック。

人は、一貫性を重視する傾向にあるので、

「YES」を言い続けると「NO」を言いにくくなる。

ロー・ボール・テクニック

最初に断られにくい、好ましい条件を提示し、

その後で不利な条件を付け加えるテクニック。
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上司「おめでとう。君は部長に昇進だ!」
部下「ありがとうございます!」
上司「うん、ただし給料はかわらないけどな!」
部下「・・・。・・・・大丈夫です!」
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「フット・イン・ザ・ドア」と同様、こちらも相手の一貫性を利用したテクニック。

イーブン・ア・ペニー・テクニック


心理的なハードルを極端に下げて、次なる要求に繋げるテクニック。

例「すいませんお姉さん!10秒だけいいですか!」

・・・歌舞伎町のナンパ師が良く使う手ですね・・・。

ザッツ・ノット・オール・テクニック

おまけを使って、心理的な充足感を演出する。

例「そして今なら何と!こちらの◯◯もついて!お値段何と・・・」

おまけは後から紹介する方が効果的。テレビショッピングで良く見ますね。

ランチョン・テクニック

飲食中に交渉する方法。楽しい時間は、話をポジティブに受けとりやすくなる。

片面提示と両面提示

商品の良いところだけ紹介する方法を「片面提示」、

良いところと悪いところを紹介する方法を「両面提示」という。

その商品について知識がない人へは「片面提示」、

その商品について詳しい人には「両面提示」が刺さりやすい。

名指し効果

依頼するときに、「誰かやってください」というよりも、

「◯◯さんにお願いします」という方が、良く動いてくれる。

これを、「名指し効果」という。

人は基本的に名前を呼ばれると相手に好感を持ち、

また、「期待に応えよう」というモチベーションも高まるという。

カチッサー効果

理由をつけて要求をするテクニック。理由は何でも良い。

例えば、「明日食事しよう!」と誘うよりも、

「美味しいお店をみつけたから、明日食事しよう!」と誘う方が、

警戒心が和らいて受け入れられやすい。

 

初対面で握手

日本人では、初対面でいきなり握手を求められるシーンは少ない。

その中で「よろしくお願いします」と言われて握手を求められると、

慌てて手を差し出して、応じることなる。

潜在的に後手に回ってしまっていることで、人は無意識に

「私が主導権を握ります」というメッセージを受け入れていることになり、

交渉を有利に進めやすくなるとされている。

しかも握手は一般的に友好、信頼、親近の証として知られているので、

脅威や威圧感を与えることがない点も良い。

 

印象を悪くしない断り方

皆さん。頼み事を断ることで、

「印象を悪くしたらどうしよう」

「不利益があったらどうしよう」

と考えて、つい「わかりました」と言っていませんか?

その場は凌ぐことができても、

安易に「わかりました」と言ってしまう人は、

その後も頼まれやすくなります。

そしていずれ限界がきて、もし感情的に断ってしまったりすれば、

むしろ悪印象というものです。

そのような方に、断り方のコツを3つ、ご紹介します。

それは・・・

「感情のクッション」「断る理由」「提案」です。

感情のクッション

断る前に、「申し訳ないんですが・・・」「嬉しいのですが・・・」と、

相手に配慮した感情を表現する。

断る理由

「明日は得意先との会議があって・・・」など、

外的かつ自身でコントロールしにくい理由を述べる。

提案

「このプロジェクトが終わったら、手が空きますので・・・」

など、代替案を提示する。

「申し訳ないのですが・・・明日は得意先との会議があって、できないんです。

でも、このプロジェクトが終わったら、色々できるようになりますので!」

・・・どうですか?

気持ちのいい断り方だと思いませんか?

これらの三つを意識すれば、相手が理解してくれる確率は

グッと上がるはずです。

 

日常にありふれた交渉場面

いかがでしょうか。

よくよく見直してみると、ビジネスシーンだけでなく、

人間関係もお願いする場面やそれを受諾/拒否する場面は多いと思います。

依頼する側も、断る側も、

お互い気持ちよくネゴシエーションができると良いですね。

それではお大事に。

 

 

更新:2024年6月9日

 

執筆者紹介

清水聖童
ライトメンタルクリニック院長
日本精神神経学会認定専門医/精神保健指定医/薬物療法研修会修了/認知症サポート医

 

【引用・参考文献】
・上岡真司 効きすぎて中毒になる 最強の心理学 すばる舎 2023.4
・ゆうきゆう ココロの悩みがスッキリする マンガ 心理学大全 西東社 2023.6
・ゆうきゆう 人のココロの裏を読む マンガ ズルい心理学大全 西東社 2023.12

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