皆さん、お加減どうですか?
どうも。日中診療だろうが夜間診療だろうが「いつも診てる院長」の清水です。
突然ですが皆さん、何故当院が「主治医制」を採用しているか、ご存じ・・・・な、訳ないですよね。
診療のスタイルは、大きく分けて主治医制と複数担当医制があります。
当院は、「主治医制」を採用している訳ですが、その理由について語ろうと思います。
主治医制と複数担当医制
主治医制とは、1人の医師が1人の患者を診るという、古典的な診療スタイルを意味しています。
首尾一貫した、責任のある治療が受けられる事がメリットである一方、
主治医がいないと治療ができない(患者の来院日を主治医の出勤日に合わせなければならない)、治療が独善的となり得る、などのデメリットがあります。
対局にある言葉としては、複数担当医制があります。こちらは複数の医師が、1人の患者の診療にあたります(チーム主治医制、複数主治医制という言葉もありますが、大枠は同じ意味です)。
こちらは治療が独善的になりにくく、患者側としても来院できる曜日・時間の選択肢が増えるというメリットがあります。働き方改革の中で生まれた診療スタイルで、医師が休暇をとりやすいというメリットもあります。一方で責任の所在が不透明だったり、方針がぶれやすく患者が混乱してしまうというデメリットがあります。
外来診療では、主治医制一択!
どちらも一長一短ありそうですが、私としては、
主治医制の方に分があると思います。
それは一体なぜか?
精神科外来診療においては、
複数担当医制のメリットが発揮できず、デメリットが際立つから
です。
そもそも複数主治医制のメリットは、独善的な治療になりにくいことが大きなメリットでした。
しかし、これを達成するには、
医師同士が密に連携を取ることができることが大前提です。
外来ではなく、入院環境下であれば、患者さんも少なく、医師は時間的余裕があり、カンファレンスなどでうまく行かない症例を検討されています。
また、医師どうしの距離感も近く、相互コミュニケーションが可能ですので、その中で方針を共有しあう事も可能でしょう。
しかし外来は違います。
外来診療は隔絶された空間で医師同士の会話は皆無。
しかも、常に時間との戦い。
医師どうしのコミュニケーションは、電子カルテの情報でやりとりするだけです。
患者さんたちからすれば、きちんと情報共有してくれよ、という思いはあるでしょうが、電子カルテに患者さんの言った事を一字一句記録できるでしょうか?
いや、不可能です(キリッ)。
そもそも、診察前に電子カルテで確認する情報といえば、初診時カルテ情報と前回受診時のカルテ情報を確認し、
「この人はなぜここに来たのか?」
そして
「治療は今うまくいっているのか?」
くらいしか参照する時間しかありません。
そのような環境で、多くの医師の目が一人の患者に注がれるなんてことは、外来診療の場ではあり得ないと言ってよいでしょう。
ということで、実際は複数担当医制でも、治療がバランスが取れるなんてことはありません。
治療のバランスを取るには、セカンドオピニオンで充分です。
続いて、複数担当医制でのデメリットにも注目してみましょう。複数担当医制では、方針がぶれやすく患者が混乱するという点がデメリットでしたが。
これが精神科診療では致命的です。
向精神薬の反応や、心理療法の反応ほか、気分を変化させる治療の多くは、数週間から数ヶ月経過をみて、初めて有効なのか、無効なのか判明することが多いのです。
複数担当医制だと、効果の判定を待つ前に、コロコロ方針が変わることがしばしばあり、結局何がしたかったのかわからない治療経過になってしまいます。
あまつさえ不安定な理論と標準化がいまいちな精神科診療。
どの医師がみても、同じ治療ができるなんてことは、そうありません。
そのような中で、一貫しない治療というのが、どれほど無意味なものなのか、お分かりいただけたでしょうか?
ですので当院に通院中の方は、不調である時は時に、ご自身の主治医を選択して予約してくださいね。
もちろん、適宜院内でのセカンドオピニオンは使っていただいて構いませんし、状態が安定していて、同じお薬が欲しい時に他のDrを受診していただくのは構いません。
また、これは少し脱線するのですが・・・
現在、都内の精神科診療の中核を担っているのが、大手「ゆ○メンタルクリニック」さん。
彼らは、いつでも気軽に受診できる体制を整え、コミックを使って精神科・心療内科のイメージをライト化することに成功し、大きく精神科診療を変えた点で偉業を成し遂げたと思います。
しかし、それを維持するあまり、主治医制をとらず、診療の質が疎かになっていると思います。
当院は診療の質を担保するべく主治医制にこだわり、夜間診療も行うことによって、彼らと差別化していきたいと思っています。
皆さんは、どのようなクリニックにかかりたいと思われますでしょうか?
当院が皆様の期待に応えられますように。
それでは皆さん、お大事に。
2025.9.23更新:レイアウト等の修正