精神科医になるには?給与や仕事の実際は?現役精神科医が解説!

精神科医になるには

精神科医になるには

みなさん初めまして。

「いつも診る院長」こと、ライトメンタルクリニックの院長、

清水聖童と申します。

この記事を見てくれている方の中には、

将来精神科医を夢見る若者たちもいるのでしょうか?

そのような方には、早めに精神科医の良いところも

悪いところも知ってもらって、

将来を選択する一助にしてもらえれば幸いです。

精神科医になるには

精神科医になるには、まずは医師である必要があります。

となれば、わかりますよね?

そうです、医師免許が必要です。

そして、医師免許を取るためには・・・医学部に進学するしかないですね。

当然、統一試験を受けて順調に頑張るコースが王道ですが、

他の大学を出てから学士編入をして医学部に入る門も狭いながらも設けられているので、

文系の方も諦めるのは、早いですよ?

いずれにしても、一生懸命勉強です。

 

そして努力が実り、晴れて医学部に入ったら、

一生懸命勉強です。お疲れ様です!

サークルや部活に入って青春かと思いきや、

浮かれているのは1年生のうちだけです。

一般教養を勉強したら、2年生から解剖学や生理学など、

基礎医学の講義が始まります。

ここで、基準に達しない学生は、容赦無く留年に巻き込まれていきます。

テスト範囲なんて、辞書のような教科書一冊分とかですよ?驚愕です。

そして、同期たちがそれに対して眉ひとつ動かさず高得点を取ってくるのも、驚愕でした。

さすが医学部、レベチです。

そして、ちらっとコンパなどをしてみても、

医学生ブランドでは大してモテないことがわかり、また勉強に戻ることになります。

医学部3、4年では共通テスト「CBT」、実技試験「OSCE」があり、試験に追われる日々です。

同期たちの「勉強してないわあ〜」「ダメだったわ〜」という言葉にほっと胸を撫で下ろすのも束の間、

自分が一番テストの点数が悪かったりして、今、戦場にいることを改めて理解するのです。

気づいたら卒業試験と国試に備えて、毎日放課後に図書館に篭って勉強する日々が、

数ヶ月続きます。

国試の合否は、相対評価なので毎年約10%の医学生が涙を呑むことになります。

 

あなたがもしそこで合格し、無事医師免許を取れば、

次は初期研修に従事することになります。

ここで、給料がもらえるようになり、

晴れて社会人、として医師の仲間入りをします。

給料は月に20〜70万程度と、病院によって差が顕著です。

業務内容も、Drの後ろにいるだけの研修先から、

戦力としてバリバリ診療する研修先まで、幅広いです。

 

そしていよいよお待ちかね。

医師免許の力を思い知る事になります。

とにかくバチモテします。

看護師の方から誘われたり、
研修医同士で付き合ったり、
相席屋では医学知識をひけらかしてチヤホヤされたりします。

「ど〜れ?君の胸の中を覗いてみようかなあ〜??メス!!開胸器!

なんて言っても、周囲からは黄色い声です。今もし、同じことをやったらセクハラで訴えられてしまいます。

ここがもっとも楽しい時期、人生のピークですからね。

ここで謙虚さを忘れず身を弁えるタイプの医師と、どんどん調子にのっちゃうタイプの医師がいますが、

精神科医では圧倒的に前者が多い気がします。

あんまり合コンに誘っても来ないDrが多かったです。

そして、研修医時代に最低限の内科、外科的な知識を蓄え、

2年間の修行を終えたら、晴れて精神科医を名乗れることになります。

精神科医としての専門性

さて、精神科医と名乗ったは良いものの、

実際の臨床場面ではまだまだ全然戦えません。

中には精神科で長期間研修医をやっている者もいますが、

主治医としてバリバリやることはできず、多少薬の知識がある程度です。

なので、本格的に臨床で使えるようになるには、

研修医が終わったあとの「後期研修医」時代が最も大事になると思います。

これは、精神保健指定医あるいは、精神科専門医という資格を得るための、

最低3年間のプログラムを受ける期間のことです。

この期間で、

①基本となる薬物療法の基礎知識、

②社会資源や福祉制度の仕組み

③患者さんへの接し方や診断の仕方

などを学びます。

得に重要なのが③です。

精神科では、診断や治療ひとつとっても、職人芸です。

どういった時に病気としてお薬を調整するのか、

どういった時に性格や人格の問題として心理療法を勧めるのか・・・

特性がどれほど偏っていれば、発達障害とするのか・・・

教科書でも明確に文章として表現されない、センスの部分を、達人の域にいる先輩医師たちから学びます。

これを経て、ようやく精神科医の共通認識や疾患概念を理解できるようになりますので、

この3年間を経ることが、実際の意味での精神科医になるために最重要だと思いますね。

専門医や指定医の資格は、

後期研修の3年間を経た後に試験にトライでき、

症例レポート形式の提出や、精神医学の歴史を作った昔のお偉いさんのことや、薬物療法について勉強すれば取得できます。

もっとも、試験の内容はほぼ覚えていませんが…

専門医資格や精神保健指定医の資格は、後期研修を経たという、

3年間の証明書のようなもので、

その後就職する上で有利にもなります。

精神科医に必要な資質

ところで、精神科医の主な仕事とは、なんだと思いますか?

気分や感情の動きにより、日常生活に支障をきたして受診される方を、

診断、治療することです。

そして医師の治療の主軸は、薬物療法です。

心理療法(カウンセリング)は、主に心理士の仕事で、医師が担当することは稀です。

ですが、世間からはカウンセラーとしての側面も期待されているのが事実です。

薬の扱いの巧さは患者からは見えにくいこともあり、

かつ、患者から信頼されているかどうかが、薬物療法の反応にも直結するため、

知識量よりもむしろ、患者と良好なコミュニケーションを取るための力が

精神科医に必要な資質になります。

心療内科医との違い

こちらの詳細は、別記事を参照していただきたいですが、

結論から言うと変わりません。

本来は違う役割のはずですが、ガチモンの心療内科がほどんど存在しておらず、

圧倒的に多い精神科医らが心療内科の役割も担っているから、

結果として実情、心療内科も精神科も変わらないのです。

精神と身体は、密接につながっていますしね。

私も、外来診療をしていると、

アトピーや喘息、逆流性食道炎や起立性調節症など、

心身症と呼ばれる疾患の治療にあたる機会も多いです。

 

精神科医になった後のキャリア

では、精神科医になった後は、どのようなキャリアプランがあるのでしょうか。

複数のパターンあります。

病院勤務

精神科医となった後のメインキャリアのひとつです。

有床病院のため、入院するような重症患者を引き受けることになります。

責任も重く、内科的な管理も必要になり、病棟は独特のヒリヒリ感があります。

医師の力が重要なポジションとなり、治療方針を他職種とも話し合う、比較的

ワイワイした環境で勤務することとなります。

医師同士の交流も保たれており、身体科からのコンサルトも受けることから、

新しい発見が多く、比較的臨床力も磨かれやすいです。

しかし給料は相対的に低めで、常勤で800万〜1500万程度であることが多いです。

医療保護入院を引き受けるため、精神保健指定医の資格がほぼ必須です。

診療所勤務

クリニックなどの小規模な診療所で勤務するパターンで、

これもメインキャリアのひとつです。

外来診療という閉ざされた場所で篭って診療を続けるため、

同僚のDrと話す機会も少なく、患者さんの悩みも固体化しがちで新しい発見は乏しいかもしれませんが、

同じような訴え、症状をもつ症例と何度も関わり合うが故に専門性が磨かれていきます。

精神科患者の多くは外来患者であり、

精神医療の中核といっても過言でもないほど、重要な役割でもあります。

気分障害、ストレス関連障害が大部分を占めていますが、

その領域を深めたい方にもおすすめです。

薬物療法よりも心理療法の重要性が大きく、医師もより心理療法の知識が要されます。

患者側もそれほど病識が高まっておらず、治療につなげるスキルも重要となります。

給料は1500万〜2200万ほどが相場です。

大学病院勤務

最先端の医学に触れたり、

治療が困難な患者が集まる大学病院は、

勉強が好きな方に向いています。

大半は、修士あるいは博士をとるため、研究と臨床を両立しています。

一般的な感覚からすると、研究をしているとエリートっぽくて高給取りだと思われがちですが、

実際はその逆で平均的な給与は1000万円程度と、医師としては低めです。

これは、国立大学の予算事情が関係しています。そのため、特に国立大学の先生たちは、

バイトをしながらなんとかやっているのが現実です。

治療が難しい症例が多かったり、学生の指導も引き受けながら診療することに、

やりがいを感じている先生もいます。

特殊な勤務先

刑務所で勤務する矯正医官や、保健所などの公的機関で働き、公衆衛生に関わる精神科医もいます。

少数ですが、インフルエンサーとして講演会で地方を飛び回る医師がいたりもします。

また、産業医として民間企業に雇用されるキャリアもあります。

また、開業医として一国一城の主となることも。

もし、精神科医として高給取りになり、金銭的にウハウハしたいなら、

産業医事務所あるいは開業医として、

自営をすることが最も近道なのではないかと思いますね。

ただし、給料は成功するかしないかでピンキリであり勤務医時代よりも給料が少ない先生もいるのだとか・・・

週5ですと2000から2200万円程度が年収のボリュームゾーンです。

まとめ

如何でしたでしょうか。

精神科医のキャリアは複数あり、

働き方もそれぞれかなり違ってきます。

勤務先によって、求められる力もかなり差異があるので、

研修の間に興味がある領域を見つけていくのが良いでしょうね。

参考になれば幸いです。

それでは皆さん、お大事に。

更新:2024.8.20

 

執筆者紹介

清水聖童
ライトメンタルクリニック院長
日本精神神経学会認定専門医/精神保健指定医/薬物療法研修会修了/認知症サポート医

 

 

 

 

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