部下のマネジメントにも役立つ心理学

 

皆さんお加減どうですか?

 

どうも。いつも診る院長の清水です。

 

この記事は、管理職、教員、サークルのリーダーなど、人を動かす立場にある方に役立つような心理学のテクニックをご紹介する記事です。

立場が性格を変えてしまう?

元々引っ込み思案な人物が、昇進して管理職になると物怖じしなくなった。

学生時代はリーダーシップをとっていた人が、新卒で就職してから卑屈になった。

皆さんは、このような人物をみたことはないでしょうか?

 

人は、役割を与えられるとその役割にふさわしいように無意識に気持ちや行動を変化させていくのです。

これを、心理学では「役割効果」と言います。

 

有名な「スタンフォード監獄実験」の事例を紹介しましょう。

被験者を「看守役」と「囚人役」に振り分け、囚人役には何をするにも看守役の許可を得なければならないとしたところ、囚人役はどんどん卑屈に、看守役は威圧的になったそうです。

 

役割効果を使えば、自ら「なりたい自分」を演じ、理想的な自分に近づいたり、部下に役割を与えて能力を伸ばす、なんてこともできるかもしれません。

理想的なリーダーになるには?

どうやら最も理想的とされるリーダーは、「民主的なリーダー」だそうです。

 

集団の意見を取りまとめ、議長のような役割をし、方針を決定していくのが生産性、集団の雰囲気ともに良く、理想的とされます。これは心理学者レヴィン氏による研究から導き出された結論です。

 

レヴィン氏は、リーダーシップのパターンを

・「専制型」やるべきことを細かく指示する

・「放任型」集団の決定権をメンバーに任せる

・「民主型」集団の方針をメンバーと話し合って決める

の3パターンに分類、結局、「民主型」が生産性もメンバーの満足度も高かったことを導き出しました。

効果的な褒め方

人は、褒められて期待されると、期待通りの成果を出そうとします。

これを、「ピグマリオン効果」と呼びます。

 

褒め方には、
①周囲との比較による評価「相対評価」
②得られた結果に対する評価「結果評価」
③自身の努力に対する評価「絶対評価」
④努力の過程に対する評価「プロセス評価」

 

の4つがありますが、人は成果を褒められるより、努力や、努力のプロセスを誉めたほうが、自信が向上したり、モチベーションが長期間維持できたりする事がわかっています。

 

なので、絶対評価やプロセス評価を主軸に誉めてあげることが、部下の力を伸ばすコツです。

効果的な叱り方

組織を運営する上で、時として部下を叱らないといけない場面もあるかもしれません。

叱ると反発心が生まれやすいので、その叱り方にはコツがあります。

以下にご紹介しますので、参考にして下さい。

 

1.「事態が起こったらすぐに、短時間で叱る」
時間が経つと内省しにくく、また長時間ダラダラ叱っているとうんざりするだけで効果が半減する。

2.「行動を叱る」
あくまで指摘は行動にとどまり、話を飛躍させ人格を否定するのはNG。

3.「他のメンバーと比較しない」
集団の和が乱れ、空気を悪化させる可能性がある。

4.「みんなの前で叱らない」
叱られた方が恥をかく形になってしまい、孤立の一因となる。

5.「目を見ずに叱る」
目を見ながら叱ると、反発心が生まれやすくなる。

6.「公平に叱る」
叱る人と叱らない人がいると、不信感が生まれる。

7.「改善策を考えさせる」
当事者意識を生まれさせ、かつ良い案を出してくれれば誉めるポイントにもなる。

8.「後でフォローする」
叱った後で改善した点があれば、これを褒める。

大きな目標設定を、スモールステップで達成していく

メンバーのモチベーションを維持するためには目標設定が大事です。

 

設定には、「大きな目標」「小さな目標」が必要で、大きな目標をゴールとし、それを小さな目標を達成していくことで最終的に目指す形にすると良いです。

 

例えば、とある会社を例に考えてみましょう。

「年商50億を達成する」(大きな目標)

「各職員につき契約を1日5件とる」

「営業の電話を各職員につき50件かける」(小さな目標)

といった感じです。

 

小さな目標を達成していくことで、目標に近づいていることを実感でき、モチベーションも維持しやすいです。

個人の役割と責任を明確にする

心理学者リンゲルマン氏は、被験者に綱引きをさせたとき、その人数が多ければ多いほど一人あたりの力が少なくなることを発見しました。

 

この心理実験のように、共同作業などで、自分がやっている仕事の成果や責任が見えにくくなればなるほど、個人が無意識に力を発揮しなくなることを、「リンゲルマン効果」と言います。

 

これを避けるため、管理者は各人員に役割と責任を与え、仕事の成果や責任を見やすくすることが推奨されます。

仕事のやる気を引き出させるには

やる気のない社員をまとめるのは、リーダーの仕事であり、最も壁にぶち当たるところです。

先人たちも同じ悩みを抱えていて、練り上げられた知恵があります。

 

◎目標設定を形にする
人は、宣言をすることで自分を奮い立たせる事ができる。人前で宣言するのが理想的ですが、日記やつぶやきでもOK。このように、外部に思いや信念、目標を宣言することを「アファメーション」と呼びます。

 

◎仕事も8分目がちょうどいい
人は、未知・未完成のものに対して興味を抱く、という心理を持ちます(ツァイガルニック効果)。
この心理を利用し、仕事も敢えてやりかけで終わらせておくと、翌日に「終わらせよう」という心理が働くかもしれません。疲れている時に有効な作戦です。

 

◎外的要因ではモチベーションが長続きしない
「給料が低いから」「人間関係がよくないから」

・・・退職する理由としてよく耳にしますよね。

しかし!実は、それらの外的要因を解消したからと言って、やる気が出るわけではないのです。
給料を上げるだけでは、結局やる気は育たず、退職されてしまうということなんですね。
心理学者ハーズバーグ氏によればやる気というものは、内的要因すなわち
「仕事が面白い」
「自分が成長できる」
「信頼できる上司についていきたい」
「誰かの役に立ちたい」
・・・など、自分の内側から発せられるものに依存するらしいのです。
まさに、かの連合艦隊を率いた山本五十六が残した名言

「やって見せ、言って聞かせてさせてみせ、ほめてやらねば人は動かじ」の通り。
なので部下には裁量権を与えて、結果を評価するのが、最も良いとされています。

離職希望者を説得するには

有能な部下が退職を願い出るのは、ある意味で自然です。

自分の力と組織の力で、自分の力が占める割合が増えれば増えるほど、現在の処遇に納得できなくなるのは、合理的な判断です。

しかし、上司としては有能な部下が離れていくのは困りもの。

それを防ぐには、「もったいない精神」を刺激してあげましょう。

 

〈部下〉

すいません部長、このプロジェクトが終わったら、会社を辞めたいと思っています。

 

〈上司〉

・・・え?それはもったいない。
君みたいな優秀な人材がいなくなってしまうなんて・・・。

 

〈部下〉

これまで学んだノウハウを使って、自分でアプリ開発をしたいと思うようになったんです。

 

〈上司〉

それもいいけどね。・・・でもいいのかなあ。君、このシステム開発にすごく労力をかけて頑張ってきたじゃない。
このシステム開発が世に出て評価されたら、君を課長に昇進させるように社長に言おうと思っていたんだよ。
昇進したら、給料も月50万だよ?
個人事業主になって月50万稼ぐのに、どれくらい時間がかかるか、わかってるよねえ。
 

この春日上司は、これまで費やしたコストと、継続した場合に得られるメリットを上手に提示し、うまくもったいない精神を刺激しています。

 

これを、採算がとれないことが判明しても開発が強硬された旅客機にちなんで、「コンコルド効果」と言います。

まとめ

いかがでしょうか。

今日は、「リーダーシップに役立つ心理学」をご紹介しました。

 

今後も引き続き、役立つ心理学の記事を書いていきます。

ご好評でしたら、人の管理に役立つ記事も書いていきますね。

 

コメント、お待ちしております。

 

それでは皆さん、お大事に。