マーケティングに役立つ心理学。
端数価格はお得に見える
突然ですが、
10%引きで500円のパンと、10%引きで298円のパン。
あなたは、どちらを買ってしまいますか?
なんと、多くは298円のパンを買ってしまうのです。
実際は、500円のパンの方が値引き価格は多い、にもかかわらずです。
実は、多くの人はそれほど考えず、直感で物事を判断するという、
「ヒューリスティック」と言うシステムが存在しているのです。
しかも、端数価格は、無意識に合理性や意図がありそうに見え、
無意識に人に納得感を与えているようです。
これを、「端数効果」と言います。
実際に、フランスの心理学者ニコラス・ケガンの実験によると、
2フランのパンケーキと、1.99フランのパンケーキでは、
1.99フランのパンケーキの方が売上が15%も上回ったそうです。
スーパーで端数価格になっているのを多く見かけるのは、
この効果で利益を生む狙いなのですね。
値札が赤いと買ってしまう
赤色は目立つだけでなく、セールでよく使われている色であることから、
人は無意識に「安い」「お得だ」と感じてしまい、
購買意欲が刺激されるそうです。赤色という色そのものに、
人を興奮させる効果があるため、買ってしまうとも言われています。
高い買い物の後は、他のモノも安く思える
これは何も買い物にとどまりませんが、
大きな損失の後には、損失を軽く見積もってしまうもの。
通販で、メインの高額商品を提示された後に、
安いものが出てきたら、思わず買ってしまうヤツです。
これを、「コントラスト効果」と言います。
中間のものは選ばれやすい
人は、中央に位置するものを無意識に「重要な存在だ」と感じてしまうようです。
これを、そのまま「真ん中効果」と言います。
また、極端な存在を回避したいという動機からも、
中央のものは選ばれやすいのです(ゴルディロックス効果)。
実際、イギリスの心理学者ポールらの心理実験によると、
5つに並んだ写真、靴下のうち、どれが一番好きか選ばせると、中央が一番人気だったという結果が得られています。
これらの理論をマーケットに使うと、商品に松竹梅のオプションを用意し、
最も売りたいものを竹に設定すれば良いということです。
単位替えやモノへの置き換えでイメージ操作
スーパーで生鮮食品を売り場にいる、と想像してみてください。
「食物繊維3.2g」「ビタミンCが1g」
・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・イメージできますか?
数字は客観的な数字で表示されるよりも、
「レタス10個分の食物繊維」「レモン50個分のビタミンC」
と表記されるほうが、すごそうに見えます。
これを、フレーミング効果と言います。
このように、イメージを使って印象を操作するのも、
テクニックの一つです。
限定品や在庫僅少が持つ魔力
みなさんは限定セールが好きですよね?
逆に限定セール嫌いな人なんて、いるんでしょうか?いたら変態です。
そう、あたり前のことではあるのですが、
簡単に手に入らない、制限がある状態になると購買意欲が高まることが知られています。
それは、人は無意識に自由を求めており(心理的リアクタンス)、
その制限に耐えられないという心理学的な背景とするようです。
まとめ
いかがでしょうか。
今日は、「マーケティングに役立つ心理学」をご紹介しました。
今後も引き続き、役立つ心理学の記事を書いていきます。
コメント、お待ちしております。
それでは皆さん、お大事に。
更新:2024.6.9
ライトメンタルクリニック院長
日本精神神経学会認定専門医/精神保健指定医/薬物療法研修会修了/認知症サポート医
【引用・参考文献】
・上岡真司 効きすぎて中毒になる 最強の心理学 すばる舎 2023.4
・ゆうきゆう ココロの悩みがスッキリする マンガ 心理学大全 西東社 2023.6
・ゆうきゆう 人のココロの裏を読む マンガ ズルい心理学大全 西東社 2023.12