皆さんお加減どうですか?

どうも、夜の院長です。

今日は、精神科・心療内科で扱う診断書について解説していきます。

診断書とは

医師の責任のもとに発行される公的書類です。医師法第19条2項では、診断書の求めがあればこれを記載、発行する義務があると定められています。書類は直接診察した医師のみが発行できます。

ただし、病名の告知が望ましくない時や、恐喝・詐欺などに不正利用される恐れのある場合、第三者による請求の場合(友人・家族等)、医学判断が不可能な場合は診断書発行が拒むことができるとされます。

診断書には様々な種類と様式があり、人が亡くなったことを証明する死亡診断書、保険会社に障害を証明する障害診断書、施設入所に必要となる入所診断書などがあります。公的なものだけでも、50種類以上あるそうです。

診断書の用途

診断書はさまざまな用途に用いられます。

1)障害や疾患を理由に、会社や学校をお休みするため、または配慮を要請するため
(2)様々な公的福祉制度を利用するため
(3)民間の保険(生命保険、労災保険)を利用するため

当院では、(1)の発行が最も多いです。

厳密には診断書ではなく申請書になりますが、休職中でも無給にならないために、健康保険傷病手当金申請書は合わせて申請しましょう。

(2)としては、医療費の負担が1割になる自立支援医療を利用するための自立支援医療診断書、税金の減免や各種サービスが受けられる精神障害者保健福祉手帳を取得するための精神保健福祉手帳用診断書などがよく発行されます。年単位で治療が必要な病態であれば、それらのサービスを利用していくことをお勧めします。

 

診断書はどうしたら貰える?オンライン診療でもよい?

診断書は、医療機関に受診した際、医師に相談をすると発行を検討してもらえます(上述の理由で例外あり)。
病院の規模が大きいところでは、書類申請用の窓口を設けているところもあります。

なお、当院では、休職や復職のための診断書など簡易なものに関しては、原則即日発行しています(院長以外の医師にも当院の大筋の方針は伝えておりますが、あくまで診察した医師の責任の元での書類のため、医師によっては即日発行が難しい事もあります)。また、極力患者さんの不利益がないよう、記載内容、休職期間に配慮して記載します。ご希望がある場合はご相談下さい。当職の責任をとれる範囲で、最大限患者さんに寄り添うように診断書を記載します。

当院はオンライン診療でも発行可能です。また、事前の問診票でも希望の有無を聞いているので、相談しずらい方も安心して相談して下さいね。

診断書の有効期限

出生証明書や死亡診断書、身体障害診断書など法律で定められているもの以外は、原則として即日効力が発揮され、

有効期限はありません。

あくまで診断書とは、「現在の状態を診断する」ものです。病状は、刻々と変わっていくものですから、時間を置けば同じ診断名になるとは限りません。

つまり、「その時点の診断としては永続的に有効であるが、数か月後、数年後でもその状態にあるとは限らない」という意味でもあります。

そういう意味で、病院側が有効期限を定めることはありませんが、提出先によって有効期限を定められる事はあります。医師に相談する前に、あらかじめ診断書の有効期限があるかどうかを職場で確認しておくのが望ましいでしょう。

実臨床の印象ですが、発行から1か月以内であれば、概ね有効性を認めてくれる職場が多いと思います。

診断書の効力

診断書は法的効力を持ち、診断書があれば労基署も裁判所も疾患があると判断する可能性が高くなります。

例えば診断書に「休職が必要である」と記載されているにも関わらず、会社側が休職をさせず業務を継続させることは、
後々重大な安全配慮義務違反を問われる可能性があり、会社側にとってもリスクが高いのです。

万一休職の指示が出ているにも関わらず休職できないなど、記載内容と処遇の不一致があった際は、労基署に相談してみるのも良いでしょう。

診断書で休職するメリットとデメリット

診断書を提出して休職すると、ストレスから解放され、心身の療養に専念できます。遅刻が怖くて睡眠深度を深める薬剤を使えなかった方も、それらの薬剤を試すこともできます。また、休職中の自由な時間を使って、自分のキャリアを見つめなおして人生の選択を再考したり、ストレスへの対処法を身に着けたりスキルアップをし、復職の際高いパフォーマンスを発揮できることもあります。

一方、労災保険の休業補償制度や健康保険の傷病手当金などの社会資源を使っても、ある程度の減収は覚悟しなければなりません。休職期間だからといって、各種税金や保険料が免除されるわけではなく、勤務時よりも生活が苦しくなるのはデメリットとして挙げられます。

また、これもよくある事ですが、社内での評価が下がることを懸念される場合もあります。

「あの人が休んだから業務量が増えた・・・」
「業務に耐えられない軟弱な奴・・・」

という悪評が広がり、復職し難い環境に身を置かれることもあり得ます。
仕事がやりづらくなるばかりか、昇進に影響してくる可能性もあるでしょう。

ですが。ここで考えて欲しい事があります。

もし、あなたがメンタルの調子を崩して休職したとき、
冷ややかな目を向けて理解してくれない会社・同僚たちに囲まれていたとしたら、

その会社でずっとやっていく価値があるのでしょうか?
その会社にいる事があなたの人生にとって幸せな事でしょうか?

休職した後、退職・転職に踏み切る方は約半数ほどいらっしゃるようです。
今後のキャリアや人生について、深く考えて行動する事をお勧めします。

いかがでしょうか?

本日はよく寄せられる診断書に関するQ&Aについてまとめました。

それでは皆さん、お大事に。

更新:2021.12.02