心療内科と精神科の違い
@dr_shimizu #精神科 #精神科医 #メンタルコーチ #お悩み相談 #おすすめ ♬ オリジナル楽曲 – 精神科医清水@ずっと診る院長
皆さんお加減どうですか?
どうも、夜の院長です。
今日は、精神科と心療内科はどう違うのか?という疑問についてお答えしていきます。
結論から言えば、患者さん目線で言えば、
どっちも大体一緒です。
少なくとも重症・難治でなければ、
患者さんが診療科の選択を間違えても予後が大きく変わることはないと思われます。
心療内科と精神科の対象疾患の違い
まず、具体的なイメージをつかんでいただくため、以下に心療内科、精神科それぞれについて取り扱う代表的な疾患名を記載します。
心療内科…頭痛症、高血圧、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、過敏性腸症候群、気管支喘息、 アトピー性皮膚炎、摂食障害、不眠症、月経前症候群、自律神経失調症など | |
精神科 …適応障害、気分障害(うつ病・双極性障害など)、不安障害(パニック障害、限局性恐怖症など) 摂食障害、強迫性障害、統合失調症、不眠症など |
心療内科領域を広くカバーしている精神科医もいればその逆もおり、その幅は医師の力量や度量によって大きく左右されますので、あくまで参考程度にお考え下さい。
心療内科と精神科の考え方の違い
基本的な考え方としては、
精神科は「気分や感情、思考の症状(精神症状)」を主に治療し、
心療内科は「精神症状と関連した身体症状(心身症)」を治療します。
ただ、実際は精神と身体は密接に関連しており、
ストレスによって自律神経症状(頭痛、肩こり、めまい、立ち眩み、便秘、下痢…etc)が出現したり、
頭痛などの身体症状が持続することで次第に気分が沈むようになることもしばしばあるため、
多くの場合、どちらの医師も心身症にも精神症状にも慣れています。
そのためクリニックの外来では心療内科、精神科の垣根なく治療する事が多いです
(当院では心療内科、精神科どちらも標榜しています)。
また、最近では精神科が専門でも、患者さんの受診抵抗を減らすため、よりマイルドな響きである心療内科を標榜したり、
「メンタルクリニック」と表現していることも多く見受けられ、両者の境界はより曖昧になりつつあります。
従って、入院を要するほどの重症や、治療抵抗性の難治例でなければ、
あまりその差を気にしなくてよいでしょう。
心療内科、もしくは精神科を選んだ方が良い時
重症、難治の場合は、心療内科と精神科のどちらかを選んだ方がよい場合があります。
具体的なケースを以下に紹介しましょう。
まず心療内科。
①ストレス環境が消失しても身体症状が残存する場合
②精神症状よりも、圧倒的に身体症状が強すぎる場合
③摂食障害で、痩せが進行し、身体管理が必要になる場合
この場合は心療内科の受診をお勧めします。
バックグラウンドがあくまで内科医ですので、身体管理に秀でています。
精神科医は身体管理のトレーニングをあまり受けておらず、精神的な問題が解決しても身体症状が残るような
持続的な身体管理が必要となる症例は、比較的苦手としています。
ただし、心療内科の専門医は全国で300人程度しかおらず、
先述の理由で専門医資格のない心療内科標榜医はかなりおりますので、
本当の意味で専門性の高い心療内科医に診てもらうため、
大学病院や地域の基幹病院など、高度専門医療機関の心療内科を受診すると良いでしょう。
一方で、精神科を受診した方がよい場合は、
①自傷・他害のリスクが切迫している場合
②幻覚・妄想がある場合
③長期間抱えているお悩みの場合
などがあります。
①や②は、精神保健福祉法で規定された強制入院が必要となる可能性があり、
そうなると精神科でも入院環境が整った医療機関が推奨されます。
心療内科では、強制入院させることはできません。
また、長期間抱えているお悩みの場合は、発達障害や愛着・人格障害の評価が必要となることがあり、
非常に高度な専門性が必要となるため、精神科医の診察が望ましいと思います。
いかがでしょうか?
心療内科と精神科、どちらも似ているため、
その差は分かりにくいですよね。
皆さんが、よりご自身の症状にフィットした医療機関と出会えることを
お祈りしています。
それでは皆さん、お大事に。
更新:2021.12.15