メディカルダイエットの危険性
どうも。皆さんお加減どうですか?
いつも診る院長の清水です。
以前にも簡単に
様々なメディカルダイエットの効果と副作用に触れた記事を書きましたが、
メディカルダイエットの危険性が騒がれている昨今ですので、
より深く、その問題についてリアルなところを書きたいと思います。
実際の医師の意見は真っ二つ
現在、美容クリニックを主体として
幅広くメディカルダイエットの処方が行われています。
重篤なリスクとして、「急性膵炎」とか「胆管炎」とか
「低血糖」とか説明されると思いますが・・・
これ専門家じゃないと、どんなものかいまいちイメージがつきにくいですよね。
では実際、医師たちはどのように考えているのか?
その意見についてご紹介しましょう。
メディカルダイエットの王道であるGLP-1ダイエットについて、アリかナシか?
正直、真っ二つです。
医師限定のとあるコミュニティでの、
医師852人のアンケートによると、
反対派6割、賛成派4割だそうです。
反対派の意見
・医の道に反した行為である。副作用が起きた時に通常であれば保険診療できないはずであるが、その説明すらまともにしていないケースが多い。
・有害事象が発生しても、きちんとした対応できないのは無責任である。
・オンライン診療でのバイト医や新規開業医で借金を返すために営利に走っている医者がメディカルダイエットと称してGLP-1を乱売している。
・採血も自費なのか?保険を使ってないか?混合診療の温床となっているのでは?
・健常者の膵臓に対する負担や発癌リスクなど、長期的な視点での副作用が未知数であるため
賛成派の意見
・肥満人口が増えている現在、薬剤を使ってのダイエットはむしろ健康的である
・何が問題なのかわからない。すでに自分でもやっていて問題もない。
・適応外使用には(特に中長期的に)どんな健康被害があるか未知であるが、自費治療を受けることも、提供することも自由であり、その自由は尊重されるべきだ。
・適応外使用を問題視する人達の心の根底には、裕福な他人が労せずにダイエットに成功すること、他人が自由診療で儲けて裕福になることへの嫉妬があるのではないか
メディカルダイエットのこれから
皆さん。
これら医師の意見をご覧いただいて、どう思いましたか?
この問題に関しては、
専門家たる医師ですら、意見が一致していないのです。
多数の人がダイエットに成功して、
喜んでいただいている中で、
稀ながら一部の人は不幸にも深刻な副作用が出てしまうのもまた、
事実(⇨こちらの記事を参照)。
近年は、メディカルダイエットの大流行から
在庫が枯渇し、
本当に糖尿病で苦しむ方にまで薬が回らなくなったことがあり、
ダイエット目的の処方が問題視されるようになりました。
糖尿病学会も警鐘を鳴らしているのもあり、
「メディカルダイエットって、ダメだよね、絶対!」
という風評が医学界にも徐々に広がりつつあるのを感じます。
一部の医師群には、「処方するクリニックを訴えよう」という風潮まであります。
安価でメディカルダイエットを処方している我々のクリニックは、
当然処方に賛成派ではあるのですが、
さすがに糖尿病患者にまで薬が回らなくなってまで、
ダイエット目的の処方を継続させるべきではないと思っています。
それに、無責任に処方するのではなく、
しっかり現在わかっているリスクを理解し、その対応も説明した上、
この先に未知の新しいリスクが見つかる可能性まで理解していただいた上で、
それでもダイエットしたい気持ちが勝る場合に利用していただきたいと思っています。
なので、安全なサプリ感覚で処方を受けるのは間違いなく、
やめたほうがいいです。
運動と食事制限で痩せられるのなら、
それに越したことはないですから。
一部の医師がいうように、毒薬とまでは思わないですけどね。
私も10kg痩せて人生楽しくなりましたし・・・。
しかも薬を飲んでいる時は痩せても、
5年間で8割以上の人は元に戻る、という報告もあります。
結局、ダイエットの薬はいずれも対症療法であり、
最後は考え方や習慣を変えて、
ずっとダイエットを頑張るしかないのですね。
ちなみに当院では、
思考や行動を変えて、「食べたい!」という気持ちが行動に移る前に、
その衝動をコントロールするための、
心理療法である「CBT-OB」という治療もやっております。
リバウンド防止に強いエビデンスがある治療法です。
お薬に頼らず健康的に痩せたい方や、
痩せた後に体を維持したい方に、お勧めの治療法です。
ご検討いただければ幸いです。
それでは皆さん、お大事に。
更新:2024.1.26
ライトメンタルクリニック院長
精神科専門医/精神保健指定医/薬物療法研修会修了/認知症サポート医