睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

1. 概要

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に繰り返し呼吸が停止または低下することにより、睡眠の質が著しく低下して様々な社会機能が障害される疾患です。延髄呼吸中枢に異常があるために呼吸が断続的に停止・低下する中枢性睡眠時無呼吸症候群と、呼吸中枢に問題はないが気道の閉塞が原因となって呼吸が停止する閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)、あるいは両者の特徴をもつ混合性無呼吸症候群に大別されますが、その頻度からOSASが最も一般的です。疫学的には、SASは成人男性の約4%、女性の約2%に見られ、特に肥満、高齢者、糖尿病患者において有病率が高いことが知られています。近年の研究では、未診断のSAS患者が多数存在することが指摘されており、適切な診断と治療の必要性が高まっています。SASの主な症状としては、いびき、頻繁な寝返り、日中の強い眠気、集中力の低下、口渇、夜間の頻尿や抑うつ症状、頭痛などが挙げられます。長期間放置すると、高血圧、心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患リスクが増加し、死亡リスクの上昇も報告されています。特に重症SASでは、突然死や交通事故のリスクが高まるため、早期の診断と治療が極めて重要です。

2. 原因

SASの主な原因には、解剖学的要因、神経筋調節の異常、ホルモンバランスの変化、遺伝的要因、生活習慣要因が挙げられます。肥満は特に重要な要因であり、首回りの脂肪沈着が気道を圧迫しやすくなることで閉塞を引き起こします。また、小顎症や後退顎といった顎の形態異常、扁桃肥大や舌の肥大が気道を狭めること、男性であることも、SASの発症に寄与します。神経筋調節の異常も大きな要因であり、睡眠中に上気道の筋肉が十分に活動せず、気道が閉塞しやすくなることが報告されています。さらに、加齢に伴い筋肉の緊張が低下し、気道の閉塞が起こりやすくなります。ホルモンバランスの変化も重要であり、インスリン抵抗性や成長ホルモンの分泌異常がSASのリスクを高めることが分かっています。特に更年期や甲状腺機能低下症の患者では、SASの発症リスクが高いとされています。遺伝的要因も関与しており、家族にSASの既往がある場合、発症リスクが高まることが示唆されています。また、生活習慣要因として、飲酒や喫煙が気道閉塞を助長することが知られています。特に寝る前の飲酒は、気道筋の緊張を低下させるため、無呼吸の頻度が増加します。これらの要因が複合的に作用し、SASの発症につながります。

3. 診断

睡眠時無呼吸症候群の診断には、簡易無呼吸検査法、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)、パルスオキシメーターなどを用いて行われます。睡眠一時間あたりの無呼吸、あるいは低呼吸の回数を示す、Apnea hypopnea index(AHI)を算出し、診断の基準とします。

A. 以下のうち1つ以上が存在する:
・終夜睡眠ポリグラフ検査で無呼吸・低呼吸指数(AHI)≧5回であり、かつ睡眠中のいびきや鼻鳴らし、あえぎや呼吸停止、もしくは日中の眠気、疲労、または回復感のなさを伴う。
・睡眠ポリグラフィー(PSG)または簡易検査で、1時間あたりの無呼吸・低呼吸指数(AHI)が≧15回である。
B. 臨床的に顕著な機能障害を引き起こしていること(日常生活や仕事の支障)。
C. 他の睡眠障害や精神疾患、薬物の影響によるものではないこと。

また、AHI(無呼吸・低呼吸指数)の結果により、重症度(軽症:5〜15、中等症:15〜30、重症:30以上)を評価します。ただし、重症度はAHIだけでなく、睡眠の断片化や、覚醒反応指数の上昇、酸素濃度の低下などで総合的に判断されます。一方小児の場合は、AHIが2以上であれば、異常とされます。

4. 治療

SASの治療法は、生活習慣の改善(減量指導)、CPAP(持続陽圧呼吸療法)、口腔内装置(マウスピース)、外科的治療、神経刺激療法など、多岐にわたります。最も基本的な治療法は生活習慣の改善であり、特に体重減少は気道閉塞の改善に有効とされています。禁煙や飲酒制限も推奨されます。アルコールはAHIを1.5~2倍に悪化させるため、特に就寝前の飲酒を避けることが重要です。また、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗不安薬を用いている場合、筋弛緩作用で症状が増悪する可能性があるため、必要最低限に留めることも治療的です。PSGでAHI≧20、あるいは簡易検査でAHI≧40では、CPAP療法がSAS治療の第一選択であり、鼻マスクを通じて持続的に空気を送り込み、気道閉塞を防ぎます。特に中等症〜重症のOSA患者に対して有効であり、高血圧や心血管リスクの低減効果も期待されています。AHIが5~20の軽症〜中等症の患者には、下顎を前方に引き出すことで気道の開存性を維持する口腔内装置(OA)が適用されることもあります。外科的治療は、扁桃肥大や鼻中隔湾曲症などの解剖学的異常がある場合に適用され、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)や舌根切除術などが選択されます。また、近年では、上位気道の神経に電気刺激を与え、筋肉の緊張を維持する神経刺激療法が開発されており、CPAPを使用できない患者に対して有効性が期待されています。
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