
「私はINFJだから…」「ENTPは苦手なんだよね」──SNSでよく見かけるMBTIトーク。
気軽に自己理解できるツールとして人気ですが
MBTIに縛られすぎて自分らしさを見失う若者
も増えています。
精神医学の分野では、思考が偏って現実を狭く解釈してしまうことを
「認知の歪み」
と呼びます。
MBTIを絶対視しすぎると、この認知の歪みを助長してしまうリスクがあるのです。
この記事では、僕自身の体験談も交えながら、MBTIのメリットと落とし穴、そして正しい距離感を解説していきます。
MBTI診断とは?なぜ若者に人気なのか
MBTIは、外向・内向などの指標を組み合わせて人を16タイプに分類するツールのことです。
このMBTI、実は心理学に基づき構成されているんです📍
ユングの心理学理論に基づき、人間の認知・行動傾向を4軸で整理。
・外向(E)/内向(I)
・感覚(S)/直感(N)
・思考(T)/感情(F)
・判断(J)/知覚(P )
簡単に言えば性格のごちゃごちゃを“わかりやすいフォルダ分け”してくれる便利ツールですね。
それではなぜ若者の間で急速に流行ったのでしょうか。
“自己理解ツール”としての使いやすさ
質問に答えるだけで16タイプに分類。
「これが私のタイプです!」って言うだけで性格や行動パターンがだいたい伝わるんですよね。
例えば「私はENTPです」って自己紹介した瞬間に、MBTI診断したことある方なら「あー、こういう感じの人ね!」ってイメージが一気に展開されたんじゃないですか?
さらに、相性の良し悪しもサクッとわかるから、ちょっとした人間関係のジャッジにも使えるんです。
恋愛でも仕事でも、「この人とは合いそう!」って直感的に判断できるのは大きな利点です。
つまりMBTIは
「性格診断」兼「自己紹介ツール」
SNSのプロフィール欄に一行書くだけで、自分の人となりを一気に説明できる便利アイテムなんです。
承認欲求と心理的安心感がくっついた
ここがMBTIの真骨頂!
SNSで診断結果をシェアすると、自然と「わかる!」「私も同じ!」といった反応が返ってきます。
そのやりとりの中で、ちょっとした安心感や「自分はひとりじゃない」というつながりを感じられるんです。
誰かに「あなたのタイプわかる!」と共感されることは、実は私たちの
承認欲求
を満たしてくれる行為なんですね。
整理すると、MBTIにはこんな魅力があります。
自分がどういう人かを整理できるツールになる
占いより根拠がありそうで信じやすい
自己分析と自己紹介を同時にこなせる
共感を通して承認欲求を満たせる
承認されたい気持ちを自然に満たしてくれる――。
これこそが、MBTIがここまで多くの人を惹きつける理由なのかもしれません。
MBTIで人間関係が怪しくなる話
先ほどお話ししたように「私はENTPです」って自己紹介した瞬間、MBTIを知っている人なら「あー、あのタイプね!」とイメージが一気に広がります。
そう、ある程度「相手をわかったつもり」になってしまうんです。
SNSでも同じことがよく起こりますよね。
プロフィール欄に「INFJ」と書いてあるだけで、「繊細そう」「共感力ありそう」といったイメージが即座につくられる。まるでラベルひとつで人となりを理解した気になってしまうんです。
ここで働くのが
ラベリング効果
相手の性格を知る前に「この人はこういうタイプだ」と先入観を持ってしまう心理のことです。
さらに怖いのは、そこから
自己成就予言
につながること。これは「自分の思い込みが、現実の行動や結果をつくり出してしまう現象」です。
たとえば「このタイプとは合わないかも」と思って接すると、無意識に距離を置いてしまい、結果的に本当に仲良くなれなくなる…そんな流れです。
つまりMBTIのラベルは、SNS時代における便利な「自己紹介ツール」である一方
偏見や距離感を生みやすい“両刃の剣’’
でもあるんですね。
MBTIに縛られすぎると起きること
自分を演じてしまう
「俺はENTJだからリーダーシップ取らなきゃ!」
本当は今日はゴロゴロしたいのに無理して張り切る…って、経験ありません?
心理学的にはこれ柔軟性ゼロモード。
タイプに縛られすぎると、自分の自然な感情を無視して心のスタミナが減っちゃうんです。
長く続くと
燃え尽き症候群(バーンアウト)
になる危険も!
タイプに合わせすぎて、「本当の自分って何だっけ…?」状態になることもあります。
当てはまらない自分を責める
「社交的って出たけど今日は人に会いたくない」
↓
「俺、ダメじゃん」 と思い込む。
はい、典型的な
認知の歪みモード
です。
ラベルに自分を合わせすぎると、理想と現実のギャップで自尊心がじわじわ削られる…。
気づくと「本来の自分はダメだ…」って慢性的に自己否定しちゃうこともあるんですよね。
人をラベルで判断する
本当は仲良くなれたかもしれない人間関係のチャンスを自分で閉じちゃう。
知らないうちに心の安全圏をギュッと狭める、恐ろしい心理トリックですね。
MBTIをちょうどよく楽しむ3つのコツ
占い感覚で見る
「へえ、そうなんだ」くらいでOK。星座占いみたいに軽く扱うのが一番。
違うタイプとあえて関わってみる
“相性最悪”と出た人と意識的に話してみると、意外と気が合ったりする。ラベルを壊すチャンス。
その日の自分を優先する
診断結果より「今日は疲れてるから休みたい」とか「誰かと話したい」っていう気分を尊重する。
こっちのほうが現実的で健全。
大切なのはタイプより「あなた自身」
MBTIは面白いツールです。
でも、それに縛られすぎると“16の箱”に自分を閉じ込めてしまいます。
僕自身、診断のラベルに踊らされて人間関係を狭めたことがありました。
だからこそ伝えたいのは
ラベルより、あなた自身を大切にしてほしい
ということ。
MBTIはあくまで補助輪。
自分の走り方を決めるのは、あなた自身です。