アンガー・マネジメント

 

皆さん。お加減どうですか?

どうも。いつも診る院長の清水です。

ところで皆さん。

怒ってばかりで自分が嫌になる瞬間、ありませんか?

 

トラブルばかりで、疲れる人もいるかもしれません。

 

当然、怒りは人間の自然な感情です。

 

しかし、それが過ぎることで、損してしまうこと。ありますよね・・・

 

もし、「怒らない人間になりたい」と感じる方がいたら、

この記事が役に立つかもしれません。

怒り

怒りとは何か

 

先ほどお話しした通りですが、「怒り」という感情は、ごく自然なものです。

 

人間だけでなく、他の動物や生物に備わっている本能的な反応であり、

大脳辺縁系と言われる、脳領域が怒りに関係が深いと言われています。

 

確かに、怒った結果何か問題になることも多いですが

全く「怒り」がなくなるのも困りものなんです。

 

例えば、私たちは困難に立ち向かったり、目標を達成するときに

「なにくそ!!」

と、怒りのエネルギーを使って何かを成し遂げることもああります。

 

なので、アンガー・マネジメントは

怒りを否定するものではありません。

湧き上がる怒りに気づき、

それを他人にぶつけることをコントロールする方法なんです。

人が怒ってしまう理由

 

人が怒る理由は様々ありますが、そこには共通点があります。

これは

「こうあるべきだ」

という自分が思っているルールが破られた時です。

そのルールが強ければ強いほど、怒りも大きくなっていきます。

・・・・・しかし、現実的には「絶対的」なルールなんでないんです。

例えば、

「1~2時間の遅刻は日本では非常識でも、海外では普通」
「人を殺めるのいけないというルールでも、戦争下では覆ることもある」

 

少し想像してみてください。

 

人と待ち合わせしていた時、あなたは待ち合わせ時間ピッタリに着いたとします。

すると相手から「なんで5分前に来ないんだ!!!」と怒られました。

「待ち合わせ時間には待ちあってるからいいじゃん」と言っても

相手はまだ怒っています。

 

こんな時あなたはどう思いますか?

 

はぁ?なんで怒られないといけないの?」って反論しませんか?

 

人間同士ではルールに微妙に異なるため、違うルールのもとに怒りをぶつけられても

「はぁ?」と反発心が生まれることが多いのです。

 

待ち合わせの例だと、「時間の5分前にはついているべきだ」というルールの人と

「時間に間に合っていればいい」というルールの二人がいました。

 

お互いに違うルールを持っているため、相手のルールをぶつけられると「はぁ?」と

思いけんかになってしまうことも・・・

 

また、「役割意識」も怒りを生む原因となります。

 

有名な心理学実験に、「ミルグラム実験」というものがあります。

 

この実験は、被験者に「教師」という役割を与え、

隣室にいる生徒役の回答が間違っていたら、電気ショックを与えることを要求されます。

教師役の被験者は、電気ショックの強さを調節することができます。

実際に生徒役に電機は流れていないのですが、教師役は生徒役が「大丈夫です」と答えると

生徒役のうめき声が絶叫に変わっていても、「大丈夫」の言葉を信じて

電気ショックを強くし続けました。

 

最終的には、65%の被験者が、
命の危険がある450Vの強さを選んだことが分かりました。

 

この実験のように、人は相手を指導できるような上の立場に置かれると

役割意識に囚われて、怒りぽくなってしまう

ということが考えられます。

 

他人には怒らないが、自分の子供や部下には怒る

という経験、皆さんはありませんか?

これも、自分が指導する役割だから「怒らないと」という考え囚われているかも・・・

怒る必要性について

冒頭で、「怒りがまったくなくなるのは、困りもの」とお話ししましたが、

あくまでも「なにくそ!」という気持ちをパワーに変えて

何かを成し遂げるための「内なる怒り」であって

他者にぶつける「外なる怒り」は不要かもしれません。

 

「怒ったほうが得をする」

「一度は怒らないと、人は動かない」

「時には怒らないといけない。これも○○のため・・」

と、外なる怒りを正当化する考えはあります。

 

しかし!

 

「怒りをぶつけることで、良い結果になった」という客観的なデータは・・・・

 

ないんです!

 

「怒りをぶつけたことで、良くない結果になった」という客観的なデータは・・・

 

あるんです!

 

・怒られて育った子どもは

 「親の前では素直でも、下の立場と思った人への暴力行為が増える」

 

・怒られる環境が多い職場では

 「全体の業績が下がることが多い」

ということが分かっています。

 

しかも、怒りで他人をコントロールしようとすると、どんどん怒りっぽくなってしまいます。

 

ここは以前お話しした【ロールアクト】の原理ですね。

 

怒りに備える方法

怒りを感じてからコントロールするよりも

そもそも怒りを感じないで入れたら、我慢の必要もないですよね。

 

しかしそうなるためには、準備が必要になります。

怒りを指標化する

皆さんも一緒にやってみましょう。

 

これまで感じた怒りをリスト化し、それに点数をつけてみましょう。

点数は、「100」をこれまで感じた最大の怒り、「0」が怒り皆無として点数を付けます。

「0」は、心地よいそよ風が吹ている状態として記載してみます。

アンガーマネジメント

 

リストが作成できました。

 

そして、「何点以上だと、その怒りを他人にぶつけてしまうのか」を検討します。

 

そうすれば、そのような状況に陥らないように行動を変化させて対処できるかもしれません。

 

その人によって、怒りの幅があることを理解し
放置できない怒りが何点以上なのかを知ることが、怒りに備える第一歩です。

怒らない日を作る

アンガーマネジメント

ロールアクト】の原理を思い出してみましょう。

一日だけでもいいので、気合を入れます。

どんなに腹立たしいことがあっても、我慢です。

しかし、毎日何かで怒っている人にとっては大きな変化なんです。

我慢できた実績が自信になり、怒らない日を増やせる可能性が高まります

 

スモールステップでも、怒らない日を作っていると

いつか、本当に怒らない人になれる可能性もあります。

怒りの背景にある思考に気づき、対処する

これまでの認知行動療法の記事をご覧いただいた方なら

「自動思考」という言葉は理解できるかと思います。

 

自動思考とは、「自動的、反射的に生じる考え」のことでしたね。

なぜ自動思考の話をしたかというと

怒りの背景にも、自動思考ってないですか?

例えば、今私キレそうなんですが・・・

 

 

このキレそうな背景には

「こんなに時間と労力をかけて記事を書いているのに、アクセスがない!!
 報われるべきなのに!!!!」

という思考が隠れていたとします。

 

ここで認知行動療法の原則を思い出してください。

 

認知(思考)は行動を密接にかかわっていましたよね?

 

行動や思考が変わると、感情や身体反応は変化するんでしたね。

 

私の例だったら・・・

 

まず、時間と労力をそこまでかけないで記事を書く(=行動の変化)としたら

「報われるべきだ」という考えも弱まり

結果もそれほど変わらなかったら、怒りを伴わなくなるかもしれません。

 

また、「時間と労力をかけたら、報われるべき」という考えから

「時間と労力をかければ、必ず報われるわけではないが、いつか報われる可能性が上がる」

という考えになったとしたら(=思考の変化)

短期的に結果が出なくてもイライラせずに済むかもしれません。

 

このように認知行動療法の理屈を使って、怒りに備えることもできるのです。

周囲に、自分の怒りポイントを伝えておく

 

上述のような方法で怒りを分析できていると

 

・どのような役割を意識しているときに

どのようなルールを破られた時に

・どのような思考になった時に

我慢できないいk理が発生するのかという、共通点が見えてきたかと思います。

 

その気づきを自分取り巻く環境にある人に、伝えておくというのも手です。

 

「部下が非を認めなかったら許せないんだよ。だから同僚の君が注意しといてくれないか?」

「夫のあなたの帰りが遅いとイライラしてくるから、事前に遅くなるなら連絡くれないかしら?」

 など、一部解決策を考えて実行できれば、怒りをぶつける可能性も下がるかもしれません。

 

怒りを抑える方法

本来、怒りを感じないで済むことが理想的ですが

それでも怒りを抑えられないときがあります!!!クソガァ!!!

 

しかし、そうなったときでも方法がないわけではありません。

 

他人に怒りをぶつけるのを最小限にする可能性のある方法を3つ

ご紹介します。

6秒待つ

人の爆発的な怒りは、5秒以上持続しないと言われています。

その5秒を深呼吸したり、別の作業をしたりしてやり過ごすことができれば

怒りを他人にぶつける最悪の事態は、回避できるかもしれません。

その場を立ち去る

怒りを誘発する刺激から、強制的に遠ざかる方法です。

 

怒りを誘発する刺激から、常に逃げ惑うわけにはいきませんが

そういう時はトイレに行けばいいのです。

 

「ちょっとお腹が痛いので・・・」

と言われて、それを止めようとする人はほとんどいないですし、5分程度だったら大体に人は待ってくれるでしょう。

 

その間に状況が改善している可能性も期待できます。

「アイ・メッセージ」を意識する

なんでこんなに帰りが遅いの?

飲み会が仕事なんて、良い身分ね!!!

アンガーマネジメント 怒っている人 心理学

何言ってんだ!!!

俺の金で暮らしている奴が!!!!

お前こそ家事やってるだけなんだから、文句言ってんじゃねーよ!!!

 

どうですか?この怒気に満ちたやり取り・・

見ていられませんね・・・恐ろしい・・・

 

気を取り直して

ここで注目していほしいのは、 主語  です。

 

「何で(あなたは)そんなに帰りが遅いの!」
(お前は)何を言ってんだ!」

 

という風に「あなた(YOU)」が主語になってますよね。

 

この主語を「私は(私が)に変えることを

「アイ・メッセージ」と言います。

 

では、先ほどの夫婦の会話を「アイメッセージ」に変えてみましょう!

 

今日は、あなたの帰りが遅くて心配だったわ!

飲み会で遅いとかと思ったら、私は悔しい気がする!

心配しなくても大丈夫だよ!

上司に誘われて、断れない飲み会で俺もきつかったんだ。

でも、これをやらないと評価に関わるんだよ・・

どうでしょうか?

 

若干冷静なやり取りになりませんか?

こちらは【アサーション】の記事でやりましたね。

相手を傷つけない、絶妙なコミュニケーションになったと思います。

怒りを発散する方法

ストレス発散の方法を試す

 

人それぞれ、ストレス解消法ってありますよね。

 

自撮りをしたり、

ジムで運動したと思ってら、自撮りしたり・・・

美味しい食べ物を撮ったと見せかけて、自撮りしたり・・・・

 

個人で気には、暴力的な衝動を昇華させるのもお勧めです。

 

患者さんには、物を壊したり、キックボクシングなどを勧めていますね。

 

そうでなくても運動にはイライラを落ち着かせる効果があるので

運動の習慣を作ってみてはいかがでしょうか?

アンガーマネジメントを諦めない

怒りは完全にコントロールできない

しかし、これだけ色々アンガーマネジメントスキルをトレーニングしても

やっぱり怒るときは怒っちゃいます!

 

一生懸命スキルを使って自分をコントロールしても

自分を怒らせるような刺激がいつ、どこで怒るかはコントロールできないですから・・・・・

 

でも・・・・

アンガーマネジメント 怒っている人 心理学

また怒ってしまった・・・

どうせ、アンガーマネジメントなんてやっても

無駄なんだ・・・・

と勘違いしてほしくないのです。

それこそ、まさに

「アンガーマネジメントをすれば、完全に人に怒りをぶつけなくなるべきである」

 

という無茶なルール設定をしちゃってます。

 

この考え方は、認知行動療法では「完璧主義」と呼び、感情的になりやすい人に多い考え方です。

 

 

良いじゃないですか?

 

これまでよりも、ほどほどにコントロールできればね?

 

・継続すること
・諦めないこと

 

これが、自分の成長に気づく可能性を上げてくれます。

 

 

そして最後に・・・・

ここで皆さんに重大発表です。

 

 

 

 

 

セルフでできるCBT講座は、今回で最後になります!!!!

 

いやぁ・・・皆さんここまでよぉく頑張りました。

これをご覧いただいている方の中には、

今現在うつ状態真っ盛りの方もいると思うんですよ・・・

 

この難解な文章を紐解き、18回見てこられた方には盛大な拍手を送りたいです。

 

この文章読んでも「よく分からないな・・・」とか

「自分には理解力がないから分からないんだ….」と考えた方!!

 

よく分からない文章でも、理解できなかったところがあっても

「よくなりたい!」「今の状態を変えたい!」という気持ちがあったから

ここまで読めたんじゃないですか??

その気持ちが重要なんです!!!

 

 

やりたくないことでも立ち向かえた、無駄だと思っていても諦めなかった
分からなくても途中で諦めずに、最後まで記事を読んだ

 

 

この事実に気が付いてください。

 

 

 

あなたはめちゃくちゃ強い信念を持った人です!!!

これからの困難には、あなたの意思が支えになります。

 

 

自宅でできる対処法として私が教えることは

もう何もありません・・・・

 

 

あなたは、もはや気分が動かざること山の如しです・・・

 

また不調になっても、このコラムを見て、いつでもスキルを思い出すことができますね!

 

ただ、実は認知行動療法はこれで終わりではなく

「どうせ私は、人から好かれない・・・」
「私は、無能なんだ・・・」
「私は、とにかくダメなんだ・・・」

という考えから脱却するためのプロセスが用意されています。

 

 

もしご興味・疑問点がある方は、当院での認知行動療法でさらなるステップを目指してみてください!

 

 

私もまだまだ精神療法を勉強していくので

もし、有用なスキルが分かった日には、またこのシリーズを再開したいと思います。

 

 

それでは、その時まで

 

 

お大事に