- ダイエットの真実
- CBT-OBとは何か?──科学的根拠に基づく肥満治療の新しいかたち
- 行動変容のための実践スキル
- 3-1. 食事の頻度と分割:空腹を避けるための戦略
- 3-2. 水分摂取:満腹感と代謝を促す
- 3-3. ナッツの活用:良質な脂肪と満足感
- 3-4. 食器を小さくする:視覚を使った満腹戦略
- 3-5. 全粒粉の活用と低GI食:血糖値の安定が鍵
- 3-6. 地中海食スタイル:質の高い脂質と栄養バランス
- 3-7. カロリー制限の原則:糖質制限よりも総量管理
- 3-8. 規則正しい時間に食べる:身体のリズムを整える
- 3-9. アルコール・人工甘味料の注意点
- 3-10. サプリメントの活用
- 3-11. 800kcal未満の極端な制限は避ける
- 3-12. 食事記録とセルフモニタリング
- 3-13. 小さな成功体験を積み上げる
- 3-14. ゆっくり、よく噛んで食べる
- 3-15. 行動目標の具体化と週間計画
- 認知変容による内面の改革
- 再発予防と維持の技術──「続ける」ことこそ最大の挑戦
- CBT-OBの成果とエビデンス
- まとめ:CBT-OBが導く、リバウンドしない生き方とは
ダイエットの真実
1-1. なぜ私たちはリバウンドするのか?
皆さんはじめまして。
どうも、ライトメンタルクリニック、いつも診る院長の清水です。
この記事にたどりついた方は、
「楽して痩せる、うまいダイエット法はないかなあ〜」
だの、
「リバウンドしちゃったんだけど、リバウンドしないダイエットはないかなあ〜」
だの、考えているんでしょ?
「あ〜〜・・・・
・・・・無いっすね。」
残念ながら、ダイエットの基礎で王道は、
継続的な「食事制限」と「運動習慣」しかないのです。
いやいや、お金をかければ・・・・!って思う方!!わかりますよ?
脂肪冷却、脂肪溶解注射、GLP-1ダイエット、そして果ては外科的な胃縮小手術まで
──世の中には無数の医療ダイエット法がありますよね?
しかし、残念な現実をここに。
研究によると、どのような方法で減量しても、
95〜98%の人が5年以内に体重を取り戻すというのです(Payne, 2014; Brunacini, 2019)。
当院もメディカルダイエットをやっていますが、
シンプルに薬の効果だけでは、リバウンドする患者さんも、多くいて、
結局また薬を希望されるんですよね・・・。
では、なぜ多くのダイエッターが、リバウンドしてしまうのか?
それはね。
デブは精神病だから。
・・・いや、すいません・・・・。
敵をつくりたいわけではなくてね。
誤解のないように言うと、
デブ=精神病ではなく、
ダイエットをしている人の中には、
私たち精神科医が日々診療している、
依存症や摂食障害と言われる疾患と同じ脳のメカニズムが隠れているかもしれないからね。
より正確に言いましょう。
ちょっと太ってたとしても自己肯定感が高くて人生を楽しんでいる人。
楽しみながらダイエットをやっている人。
この場合はまったくもって健康です。
精神疾患的なのは、
「太りすぎて糖尿病を合併して、足を切断手前なのに痩せられない人」
「客観的には痩せすぎて支障をきたしているのに、ひたすらダイエットに励む人」
「痩せなきゃやばいと必死になりすぎて、吐きながらダイエットをしている人」
達のことです。
このような人たちは、ダイエットに失敗しやすい、
さまざまなしくじりポイントを抱えていることが多いとされているのです。
1-2. ダイエットに近道はないーー。しかし、希望はある。
先ほど、ダイエットは「食事制限と運動習慣」の維持しかないと言いました。
そんなグロテスクなこと、何度も言われなくてもわかってるじゃないですか。
わかってて、この記事に辿り着いたんですよね・・・・?
大丈夫です!それでも、希望はあります!
実は、リバウンド率が低下するという科学的エビデンスがある心理療法(カウンセリング)がありまして。
CBT-OB(肥満のための認知行動療法)というんですけど。
CBT-OBでは、
ダイエットの基礎であり、バイオハザードよりグロテスクな「食事制限と運動習慣の維持」という課題を、
グロテスクでなくすために様々なスキルが紹介されています。
本記事では、それらの実践的な知識とスキルを、ブログ記事で紹介できる範囲で、可能な限り提供します。
「痩せたくても痩せられない」
「痩せなければ自分に価値がない」
と思っている方も、
シンプルに「リバウンドしにくい方法はないかな?」と思っている方も、
本記事で学んでいただき、ダイエット成功の糸口を掴んでもらえればと思っております。
CBT-OBとは何か?──科学的根拠に基づく肥満治療の新しいかたち
CBT-OB(Cognitive Behavioral Therapy for Obesity)は、「肥満に特化した認知行動療法」として、
2000年代初頭からイタリアの精神科医リッカルド・ダッレ・グラーヴェらによって体系化されました。
従来の減量法と異なり、「減らす」ことだけでなく「維持する」ことに重点を置き、
リバウンドを予防するための心理的・行動的スキルの習得を目指します。
2-1. CBT-OBの目的
CBT-OBの中心にあるのは、「ダイエットは一時的な努力ではなく、人生を変えるスキルの習得である」という哲学です。
そのため、単なる食事指導ではなく、以下のような多面的な支援が含まれます:
- 認知(思考)の修正
- 行動(食事・運動習慣)の再構築
- 感情への対処
- 社会環境との関係性の見直し
CBT-OBの目標は、持続可能な体重管理と生活の質の向上です。
2-2. CBT-OBの構造とステージ
CBT-OBはおおよそ6か月〜1年間のプログラムとして設計され、段階的に実施されます:
- 準備期(アセスメントと動機づけ)
- 自分の生活習慣、価値観、過去のダイエット履歴を評価。
- 「なぜ今痩せたいのか?」という根本的動機を明確にする。
- 減量期(行動介入)
- 食事内容、運動習慣の再構築。ダイエットに役立つ正しい知識を知る。
- 自己モニタリング(記録)を導入。
- 維持期(再発予防と定着)
- 思考の歪みや感情的な食行動への対応技術を学ぶ。
- リバウンド予防のための自己効力感を育てる。
2-3. CBT-OBが従来の減量法と異なる点
従来の多くの減量プログラムは、「短期間で体重を落とす」ことを主目的にします。しかしCBT-OBは、以下のような点で根本的に異なります:
- 成功の定義が「体重を維持できた期間」
- 行動と認知、両方を扱う
- 自分自身の「失敗パターン」を教材として活用する
- 体重だけでなく、「人生の満足度」もアウトカムとして重視する
2-4. CBT-OBのエビデンスと実績
CBT-OBは欧米の臨床現場で導入され、複数の研究で以下のような効果が確認されています:
- 減量維持率の向上(1年後で80%以上の維持者)
- 情動食・衝動食の頻度低下
- 自己効力感と生活の質の向上
日本国内ではまだ普及が限定的ですが、
近年、肥満専門クリニックや医療施設で導入が始まりつつあり、注目を集めています。
あ、もちろん当院でも実施していますよ。
次章では、このCBT-OBがどのように実践されるのか、
日常生活に組み込むための具体的なスキルについて詳しく解説していきます。
行動変容のための実践スキル
CBT-OBでは、「何を食べるか」や「どれだけ動くか」よりも、「それをどう継続するか」に重点が置かれます。
本章では、体重の維持を支えるための実用的な行動変容スキルを具体的に紹介していきます。
3-1. 食事の頻度と分割:空腹を避けるための戦略
1日3回+2回の軽い間食(計5食)に分けることで、極度の空腹による過食を防ぎます。
空腹のピークを抑えることで、暴食衝動を減らし、
結果として総カロリー量を減らせることがわかっています。
3-2. 水分摂取:満腹感と代謝を促す
1日2リットルの水を目安に、こまめに摂取します。
空腹と喉の渇きは混同されがちであり、
水を先に飲むことで過食を防ぐ手助けになります。
3-3. ナッツの活用:良質な脂肪と満足感
間食をしたくなったら、お菓子ではなく、アーモンドやくるみなどのナッツ類を食べましょう。
これらは食物繊維と脂肪を含み、満腹中枢を刺激しやすく満足感を得やすいため、
間食として最適です。
また、ナッツ類は安静時のカロリー消費と脂肪分解を促進するというエビデンスも存在します。
3-4. 食器を小さくする:視覚を使った満腹戦略
小さな皿やスプーンを使うと、同じ量の食事でも「たくさん食べた」という心理効果が働き、
満腹感を得やすくなります。
3-5. 全粒粉の活用と低GI食:血糖値の安定が鍵
精製された炭水化物を減らし、全粒粉・玄米・オートミールなど、
血糖値の急上昇を防ぐ食品を選ぶようにします。
インスリンのはたらきを抑え、脂肪が作られる要因を抑えます。
3-6. 地中海食スタイル:質の高い脂質と栄養バランス
オリーブオイル、魚、野菜、豆類、ナッツを基本とした地中海食は、
減量と心血管リスクの低下の両方に有効です。
3-7. カロリー制限の原則:糖質制限よりも総量管理
ダイエットに関する様々な研究の結果、
糖質の制限よりも、トータルの摂取カロリーを意識することが重要であることがわかっています。
目標は、日々の消費カロリーよりも300〜500kcal少なくすることです。
3-8. 規則正しい時間に食べる:身体のリズムを整える
食事の時間を毎日同じにすることで、血糖値の安定やホルモンバランスが整い、
食欲コントロールがしやすくなります。
3-9. アルコール・人工甘味料の注意点
ダイエットにゼロ・コーラを使うこと、ありますよね。
これらは一時的な満足感を与える一方で、脳の報酬系を刺激し、
より甘い・高カロリーなものを求める傾向を強めるリスクが高まる可能性があります。
もちろん、普通のコーラよりはマシですが・・・
3-10. サプリメントの活用
ダイエット中は、何かと栄養素が不足しがちです。
マルチビタミンや鉄分、カルシウム、ビタミンDなど、栄養素の不足を補う目的で使用します。
栄養欠乏は過食の引き金にもなるため注意が必要です。
3-11. 800kcal未満の極端な制限は避ける
極端なカロリー制限は、代謝の低下、ホルモンバランスの崩壊、
反動的な過食を招くため、持続可能な制限が重要です。
3-12. 食事記録とセルフモニタリング
食べたもの、時間、気分、空腹度を記録することで、
「無意識の食行動」に気づき、自己調整力を高めます。
これらはCBT-OBの根幹のスキルの一つです。
今は、スマホのアプリでも食事をモニタリングできるようになっていて、
気軽に始められるので、是非おすすめします!
3-13. 小さな成功体験を積み上げる
「今日一駅分歩けた」「間食を1回減らせた」といった小さな成功を記録し、
自信の強化につなげつつ、かつ「どうせやっても無駄だ」という考えに基づく
早期脱落を防ぎます。
3-14. ゆっくり、よく噛んで食べる
咀嚼回数が多いと、満腹中枢が刺激され、過食を防ぐことができます。
また、摂食行動をとってから満腹だと感じるまでは時間的なギャップがあるため、
食べ過ぎを防ぐためにも時間をかけて食べることが有効だとされています。
また、香り、食感、味、彩りなど、満腹感以外の報酬に向き合う機会も増えるため、
食事の満足感も高まります。
3-15. 行動目標の具体化と週間計画
「月・水・金は30分歩く」「日曜に1週間分の食材を買う」
など、具体的かつ達成可能な行動計画を作成します。
次章では、こうした行動を支える“考え方”の部分──すなわち認知変容の技術について解説していきます。
認知変容による内面の改革
行動の変化を維持するためには、それを支える「考え方(認知)」の変容が不可欠です。
CBT-OBでは、私たちの習慣や選択を決定づける思考パターンや信念を見直し、
より現実的で柔軟な考え方に置き換える訓練を行います。
4-1. ダイエットに役立たない思考を知る
「太っている私は価値がない」「完璧にできなければ意味がない」「一度失敗したらもう終わり」といった極端な考えは、
モチベーションを下げ、ダイエットの脱落や過食行動を引き起こすリスクがあります。
これらは“役に立たない思考(Dysfunctional Thinking)”と呼ばれ、まずはそれを「気づく」ことが第一歩です。
以下に、役に立たない思考の例を列挙します。
・正当化「特別な日だから食べよう」「お金がかかったから食べよう」
・自己批判「どうせ意思が弱いから、ダイエットを続ける根性がないから食べよう」
・否定的予想「いままで減量に成功したことがない、どうせリバウンドするんだから」
・全か無か思考「完璧にやらないと、失敗だ」「一度体重が増えてしまったからダイエットは終わりだ」
4-2. 自動思考の同定と認知の再構成
CBT-OBでは、自動的に浮かぶネガティブ思考を紙に書き出し、その妥当性を検証する訓練を行います。
- 例:「今日は運動できなかったから私はダメだ」
ダメだった理由とダメではなかった理由を客観的に吟味すると…。
→「今日は忙しかったけど、明日は5分だけでも体を動かす時間を取ろう」
このように、思考のバランスを取り、「極端→柔軟」へシフトさせるのが認知再構成です。
4-3. 減量により生活が変わるという視点を育てる
減量によって得られるのは見た目の変化だけではありません。
自己効力感の上昇、服選びの自由、社交への自信など、生活の質そのものが向上します。
CBT-OBでは「痩せた先の生活シナリオ」を明確に描くことで、行動継続の内的動機を強めます。
4-4. ネガティブなボディイメージへの挑戦
「この体では誰にも愛されない」「写真に写るのが嫌」といったネガティブな身体イメージを持つ人は少なくありません。
CBT-OBでは、「人の価値は体重に依存しない」という視点から、
- 自分の良さを5つ書き出す
- 「あなたが尊敬する人は見た目だけで評価されているか?」と問いかける などのワークを通じて、自己受容を育みます。
4-5. 自信と過食の関係性を理解する
自己評価が低いとき、失敗や不安を食で埋めようとする傾向が強くなります。
CBT-OBでは、小さな成功体験(例:記録を3日続けられた、階段を使えたなど)を積み上げ、
「自信の貯金」を増やすことで、過食の根本的トリガーを減らしていきます。
4-6. セルフトークの改善
自分への語りかけ(セルフトーク)は、思考と行動の橋渡しとなります。
ネガティブなセルフトークを記録し、現実的で思いやりある言葉に置き換える練習を行います。
- 例:「どうせ続かない」→「これまでと違うやり方を学んでいるから、今回は続けられる可能性がある」
4-7. 長期的な視点を持つ
「1週間で〇kg痩せたい」といった短期的な期待は、結果が出ないときに失望を招きます。
CBT-OBでは、「何年健康でいられるか」という視点から、長期維持を評価軸にすることで、忍耐と継続の価値を学びます。
次章では、せっかく得た成果をどう維持していくか──再発を防ぐための戦略と技術を詳しく解説していきます。
再発予防と維持の技術──「続ける」ことこそ最大の挑戦
せっかく努力して得た成果も、それを維持できなければ意味がありません。
CBT-OBでは、維持期こそが最も重要なフェーズとされ、さまざまな戦略が用意されています。
本章では、リバウンドを防ぎ、健康的な生活を「続ける」ためのスキルと知識を紹介します。
5-1. 再発の兆候に早く気づく
体重が数kg戻ってから焦るのではなく、
「暴食の回数が増えた」「記録をしなくなった」「体重測定を避けている」といった行動の変化こそが再発の兆候です。
早期に自覚し行動戦略をとることで軌道修正が容易になります。
5-2. 週次・月次レビューの実践
毎週または月に一度、
- 今週の良かった点と課題
- 実践できた行動とできなかった行動これらを評価する「レビュー習慣」は、自己評価とモチベーション維持の重要なツールです。
5-3. 目標の再設計と調整
一度設定した目標が現実に合わなくなってきたら、
目標を下方修正するのではなく“再設計”することが重要です。
たとえば、「毎日30分の運動」が困難なら「週4回の短時間運動」に再設計し、継続可能性を優先します。
5-4. ソーシャルサポートの活用
周囲の理解と支援は維持のための強力な後押しになります。
家族や友人に「応援してほしい行動」を具体的に伝える、同じ目標を持つ仲間と情報を共有する
など、孤独にならない環境づくりがカギです。
5-5. 医療・専門家との連携
モチベーションが下がったとき、心理的ストレスが増えたときなど、
専門家のサポートを受けることで再発リスクを減らせます。
「不調になる前に相談する」意識が大切です。
5-6. ストレスマネジメントと食行動の関係
再発の背景にはしばしば「未処理のストレス」があります。CBT-OBでは、
- 呼吸法やリラクゼーション
- 感情日記や思考の書き出し
- 運動や趣味への切り替えなど、ストレスとの健康的なつき合い方を習得することも重視されます。
5-7. 「つまずき」を失敗と見なさない
維持期に一度の暴食や体重増加があっても、それは失敗ではありません。
「その後にどう行動するか」が重要です。CBT-OBではこれを「回復力(レジリエンス)」として育成します。
次章では、こうしたCBT-OBの技術がどれほどの効果を発揮しているのか、科学的エビデンスをもとに紹介していきます。
CBT-OBの成果とエビデンス
CBT-OBは、減量のみならず、その維持と生活の質の向上においても高い効果が報告されており、
欧米を中心に多くの臨床研究によってその実効性が裏付けられています。
本章では、CBT-OBに関する科学的な根拠と成果について、データや研究事例を交えて紹介します。
6-1. 臨床研究からの証拠
Dalle Graveら(2013)の研究では、CBT-OBを実施した被験者のうち、約80%が12か月後も減量を維持できたと報告されています。
また、体重だけでなく、自己効力感の改善、感情食行動の減少、運動習慣の定着など、多方面でのポジティブな変化が観察されました。
6-2. 他の減量介入との比較
CBT-OBは、従来型の食事指導単独の介入よりも、体重維持率と精神的健康の両面において優れているという結果が示されています。
特に、再発率が著しく低く、リバウンドを繰り返していた患者でも安定した成果を上げやすいとされています。
6-3. 長期フォローアップにおける安定性
3年・5年スパンでの追跡調査においても、CBT-OBを実践した人々は、
他の介入群に比べてリバウンド率が有意に低いことが確認されています。
これにより、CBT-OBが短期的な施策ではなく、長期戦略として有効であることが証明されています。
6-4. ケーススタディと成功事例
たとえば、40代女性Bさんは過去に10回以上のダイエットとリバウンドを経験していましたが、
CBT-OBに取り組んだ結果、12kgの減量を達成し、2年以上維持に成功。
特に「感情食」への気づきと、自己効力感を育てるワークが大きな転換点になったと語っています。
また、30代男性Cさんは、CBT-OBの「記録と振り返り」技術によって自身の過食パターンを特定し、
1年で8kgの減量に成功。その後も筋トレを習慣化し、体脂肪率を維持し続けています。
6-5. CBT-OBの限界と課題
一方で、CBT-OBにも課題はあります。たとえば、
- セラピストによる指導を要するため、専門家不足の地域では導入が難しい
- 習得に時間がかかるため、短期的な成果を期待する人には不向き
- 行動変容に強い抵抗を持つ人には動機づけの工夫が必要といった点が挙げられます。
まとめ:CBT-OBが導く、リバウンドしない生き方とは
本記事では、現代のダイエットに潜むリバウンドの問題点と、
その構造的な原因──生理的、心理的、社会的要因を明らかにしました。
そしてその解決策として、CBT-OBという科学的かつ実践的なアプローチを紹介しました。
従来の減量プラグラムと違って、CBT-OBの優れた点は、「体重を落とすこと」ではなく、「体重を保つこと」を重視していること。
そのために必要な認知(思考)と行動(習慣)の両面から支援する構造にあります。
これは、短期的なダイエットの成功を目的とする従来型の方法とは一線を画すアプローチです。
ダイエットは精神科の領域なんですよね、もう。
まとめとして強調したいのは、
ダイエットは一時の闘いではなく、一生を通しての闘い、あるいは生き方であるということです。
あっ。今名言出ましたよ?あざす。
ダイエットの道をいく皆様にのって、この記事がガイドとなれば、これ幸いです。
それでは皆さん、お大事に。
更新:2025年4月14日

ライトメンタルクリニック院長
日本精神神経学会認定専門医/精神保健指定医/薬物療法研修会修了/認知症サポート医
【引用・参考文献】
・Brunacini, K. (2019). Implementation of a virtual patient-centered weight loss maintenance behavior competency assessment in adults with obesity. Journal of the American Association of Nurse Practitioners.
・Dalle Grave, R. (2020). Cognitive Behavioral Therapy for Obesity. Springer.
・Dalle Grave, R., Calugi, S., & El Ghoch, M. (2013). Cognitive behavioral strategies to enhance the adherence to behavioral weight loss treatments. Eating and Weight Disorders-Studies on Anorexia, Bulimia and Obesity, 18(1), 1–10.
・Dulloo, A. G., & Montani, J. P. (2015). Pathways from dieting to weight regain, to obesity and to the metabolic syndrome: an overview. Obesity Reviews, 16(S1), 1–6.
・Payne, N. (2014). Dieting may cause more harm than good: Mindful eating may be a healthier approach to managing weight. Health Psychology, 4(3).
・Butryn, M. L., Webb, V., & Wadden, T. A. (2011). Behavioral treatment of obesity. Psychiatric Clinics of North America, 34(4), 841–859.
・Teixeira, P. J., Carraca, E. V., Markland, D., Silva, M. N., & Ryan, R. M. (2012). Exercise, physical activity, and self-determination theory: a systematic review. International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity, 9(1), 78.
・Wilson, G. T. (2010). Eating disorders, obesity and addiction. European Eating Disorders Review, 18(5), 341–351.
・Wing, R. R., & Phelan, S. (2005). Long-term weight loss maintenance. The American Journal of Clinical Nutrition, 82(1), 222S–225S.