【精神科専門医が解説】スマホ認知症とは?医学的視点で症状・原因・対策を徹底解説

はじめに

スマホ認知症

皆さんお加減どうですか?

どうも。いつも診る院長の清水です。

スマートフォンが生活必需品となった現代社会。

便利さの裏で、「スマホ認知症」という言葉がメディアなどで取り上げられるようになりました。

この「スマホ認知症」という用語は、

実は正式な医学用語ではありませんが、スマホの使いすぎが、脳の機能を低下させることがわかっています

恐ろしいですね!

本記事では精神科専門医の立場から、「スマホ認知症」と呼ばれる現象を

科学的エビデンスに基づいて解説し、予防・改善方法まで詳しくお伝えします。

スマホ認知症とは?

「スマホ認知症」とは、スマートフォンの過剰使用により、

  • 記憶力の低下

  • 注意力の低下

  • 感情コントロールの難しさ

といった症状が出る現象を指す俗称です。

医学的には、以下の状態に該当すると考えられます。

  • デジタル認知過負荷(Digital Cognitive Overload)

  • 脳疲労(mental fatigue)

つまり、脳機能の一過性低下現象と理解するのが最も適切です。

主な症状

スマホ認知症とされる現象で見られる主な症状は次の通りです。

  • 短期記憶の障害(話していた内容をすぐ忘れる)

  • 集中力の低下(仕事や勉強に集中できない)

  • 感情の揺れやすさ(イライラしやすい)

  • 判断力の鈍化

  • 睡眠障害

特に睡眠障害と集中力の低下は、相互に悪循環を引き起こすため、注意が必要です。

スマホ認知症の原因とエビデンス

1. 情報過多による脳疲労

スマートフォンは短時間で大量の情報を脳に送り込みます。

この情報過多状態が脳の作業記憶容量を圧迫し、結果的に注意力と記憶力が低下する現象が確認されています。

2. 睡眠の質低下による脳機能障害

スマホのブルーライトはメラトニン分泌を抑制し、睡眠の質を悪化させます。

慢性的な睡眠障害は、記憶形成に必要な海馬の働きを妨げ、認知機能低下を招くことが知られています。

3. 一時的な脳機能障害のエビデンス

スマホ過使用者の脳波(EEG)検査では、情報処理に関与する領域の活動低下が認められることがあり、

一過性の認知機能障害が起こる可能性が示されています。

特にリスクが高い層

  • 思春期〜30代前半:脳の可塑性が高く、影響を受けやすい

  • 高齢者層:加齢による認知機能低下に上乗せ効果が生じやすい

  • うつ病・不安障害を抱える人:脳の脆弱性が背景にあるため特に注意

予防と改善策

1. 使用時間制限

1日あたりのスマホ利用を2時間以内にすることを目指しましょう。

例えばiphoneだと、スクリーンタイム管理がデフォルトできますよね。

入ってなくても、外部のアプリを活用するのも良いと思います。

2. デジタルデトックス

週1日は「スマホなし」の生活を送り、

自然や対人交流に触れることで脳をリセットすることが推奨されています (Peters et al., 2021)

3. 睡眠環境の改善

寝る前にブルーライトを浴びると、脳が覚醒してしまい、

良眠を妨げることがわかっています。

就寝90分前からはスマホを使用しない「デジタルカーテンタイム」を設けましょう。

4. シングルタスク思考を習慣化

1つの作業に集中する訓練を行い、脳の過負荷を防ぎましょう。

優先順位をつけたタスクリストを作成して順番に取り組むなどの

対策が考えられます。

まとめ

「スマホ認知症」は医学的には正式な病名ではありませんが、

スマホの過剰使用によって脳が一時的に疲弊し、認知機能が低下する現象は確かに存在します。

適切なスマホ利用と脳の休息
が、現代人の脳を守る鍵となるでしょう。

もし、過剰な使用はよくないとわかっていても、

どうしても使ってしまう・・・という方は、「スマホ依存」に至っている可能性があります。

疑わしいと思った方は、久里浜医療センターの「スマートフォン依存スケール」をやってみましょう!

日常生活に支障をきたすレベルであれば、専門機関の窓口に相談するのも良いかもしれません。

それでは皆さん、お大事に。

更新:2025年5月9日

>執筆者紹介

清水聖童
ライトメンタルクリニック院長
日本精神神経学会認定専門医/精神保健指定医/薬物療法研修会修了/認知症サポート医

【引用・参考文献】
・Li, J., Liu, X., & Ma, H. (2019). Relationship between sleep quality and cognitive impairment. Consensus.
・Ophir, E., Nass, C., & Wagner, A. D. (2009). Cognitive control in media multitaskers. Proceedings of the National Academy of Sciences.
・Urakami, Y., & Nakajima, Y. (2003). The Clinical Significance of EEG Examinations in Patients with Traumatic Brain Injury. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine.
・Peters, D., Calvo, R. A., & Ryan, R. M. (2021). The effects of digital detox on cognitive function. Consensus.

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