はじめに
皆さん、お加減いかがですか?
「夜の院長」改め、「いつも診る院長」の清水です。
今回は春らしい話題をひとつ――といっても、「春の不調」についてです。
春になると、心身に不調を感じる方が増える傾向があります。特に成人女性の半数以上が、春に何らかの不調を感じた経験があるという調査もあるほど。こうした季節性の不調は、俗に「春バテ」と呼ばれています。
身体的な症状としてはめまいや立ちくらみ、頭痛や肩こり、日中の眠気や倦怠感、冷えやほてり、便秘や下痢、胃部不快感や呼吸苦、感情の症状としてはイライラや気分の落ち込みなどがあります。
では、「春バテ」とは医学的には一体何なのでしょうか?
春バテとは?──春に起こる心と体の不調の正体
「春バテ」とは、医学的には精神的ストレスと自律神経の乱れが原因となって現れる心身の不調です。
主な身体症状には、
めまい・立ちくらみ
頭痛や肩こり
日中の眠気や倦怠感
冷えやほてり
消化器症状(便秘・下痢・胃の不快感)
呼吸が浅くなる感じ
また、精神的な症状としては、
イライラ
気分の落ち込み
意欲の低下
などが挙げられます。
自律神経の仕組みと春の影響
自律神経には「交感神経(活動モード)」と「副交感神経(リラックスモード)」があり、これらのバランスが心身の安定を支えています。しかし春には、以下のような要因がこのバランスを崩しやすくします。
春バテを引き起こす3つの要因
① 気候の変化と寒暖差
春は寒暖差が大きく、気圧も不安定。特に低気圧の通過により、自律神経は頻繁に調整を求められます。敏感な方では、頭痛やだるさ、気分の落ち込みを感じやすくなります。
② 環境の変化による心理的ストレス
春は新学期・異動・転勤・引越しなど、人間関係や生活環境が大きく変わる時期。「変化ストレス」とも呼ばれ、精神的な負担が大きく、自律神経の働きに影響します。
③ 花粉やアレルゲンによる身体的ストレス
花粉症などのアレルギー症状も、くしゃみや鼻水といった症状にとどまらず、倦怠感や微熱など体全体のだるさとして現れることがあります。これもまた、自律神経を乱す要因です。
春バテ予防のための生活習慣改善
春バテを防ぐためには、自律神経の安定がカギ。そのためには、良質な睡眠と生活リズムの整備が重要です。
① 日中の適度な運動
1日4000歩以上を目安に体を動かしましょう。運動には自律神経を整える作用もあります。
② 朝日を浴びる
朝日を浴びることで「セロトニン」が分泌され、夜には「メラトニン」へと変わり、良質な眠りを導きます。起床後すぐカーテンを開けて日光を取り入れましょう。
③ ぬるめのお湯での入浴
睡眠の1~2時間前に、38~40℃のお湯で15分程度の入浴が効果的。副交感神経が優位になり、リラックス状態が整います。
④ 音楽や香りでリラックス
アロマテラピーやヒーリングミュージックなど、「自分が心地よいと感じる刺激」が脳をリラックスさせます。バイオレットオイルには入眠をサポートする研究報告もあります。
⑤ 食事で整える自律神経
ビタミンB12(魚介類、レバー):メラトニン生成に関与
ビタミンB6(魚、鶏むね肉など):神経伝達物質の代謝に必要
ビタミンD(キノコ類、ししゃもなど):セロトニン合成を助ける
トリプトファン(大豆製品、乳製品):セロトニンの原料
バランスよく摂ることで、神経機能が安定しやすくなります。
春バテが起きた時の対処法
続いて、症状が出た場合の対処法です。
めまいや立ちくらみ
耳のストレッチ(耳を横に3秒引っ張る)
ホットタオルで耳の裏を温める
朝一杯の水分摂取で脱水予防
便秘
お腹を冷やさない
水分と食物繊維をしっかり摂る
乳酸菌を意識的に摂取する(ヨーグルトや発酵食品)
肩こりや頭痛
肩や目元をホットタオルで温める
ストレッチや軽い運動で筋肉の血流を改善
胃の不快感・息苦しさ
漸進的筋弛緩法(身体を順番に緩めていくリラクゼーション法)
ツボ押し(神門・合谷など)で自律神経を整える
気分の落ち込み・イライラ
「気分が上がる活動」を意識的に取り入れる
気分を下げる行動を減らす行動療法的な工夫も有効です
さいごに
いかがでしたでしょうか?
春は変化の季節。精神的にも身体的にもストレスがかかる事があります。
それらとうまく付き合い、春を楽しみたいものですね。
とりあえず10時から23時まで診察室に座った結果、
自律神経より先にケツが壊れる事がわかりました。
それでは皆さん、と、私のケツ。お大事に。
更新:2025.4.2

ライトメンタルクリニック院長
日本精神神経学会認定専門医/精神保健指定医/薬物療法研修会修了/認知症サポート医