認知行動療法-認知的連続表-とは?
皆さん、お加減どうですか?
どうも、いつも診る院長の清水です。
ところで、濡れたまましまっておいた折り畳み傘、
開いた瞬間、猫のおしっこのにおいがしますよね。。。
まぁ
どうでもいいんだけどね・・・
今日は、「認知的連続表」というスキルをご紹介しますよ!
これは前回にやった【認知の偏りを理解する】時に登場した、
全か無か思考
の視点から物事をとらえやすい場合に使えるスキルの一つです。
ぜひお試しあれ。
認知的連続表の実践!
わかりやすく説明するために、完璧主義&白黒思考の学生Cさんに登場してもらいましょう。
学生Cさんは、高校時代まで「神童」と言われたスーパーエリートです。
大学は、日本のトップT大学に進学しており、学業には誇りを持っていました。
しかし、大学1年の前期の成績が「良」であったため
「”秀”以外の成績なら、落第と一緒だ・・・」
という自動思考で、自責・抑うつという不快な感情を抱えていました。
(Cさんと同じように、全か無か思考でお困りの方は、ぜひ一緒にやってみましょう!)
まず、以下のような線分を図示します。
準備できましたか?
準備ができたら、次のように問いかけます。
「0%が、検討する指標の中で最悪なもの
100%が、検討する指標の中で最高なものであるとします。
あなたは、この中で何%の位置にいますか?」
100%をどのように考えているか知るために、こう問いかけます。
「あなたにとって、”○○※検討すべき指標の最高値”とは、この図のどのあたりに位置しますか?」
Cさんの場合は、検討すべき指標は”優秀さ”でしたね。
そのため、Cさんに問いかける場合は、次のように問いかけます。
「Cさんにとって、”優秀な学生”とは、この図のどのあたりに位置しますか?」
Cさんは次のように考えました。
「”秀”は、概ね90%以上の出来だから、優秀な学生なら90%以上に位置するだろう」
「自分は0%の位置だ」
このCさんの考えを図示すると、以下のようになりました。
自分の位置以下の所にいるものを考える
続いて、以下のように問いかけてください。
「あなたより、もっと”○○ではない※検討すべき指標”はありますか?」
Cさんの場合は、
「Cさんよりも、もっと”優秀ではない人”はいますか?」
と問いかけます。
Cさんはこう考えました。
「うーん….Zさんは成績が”可”だったと聞いています。
これは確かに、”良”である私よりも優秀じゃないと言ってもいいかも」
ここで、皆さんに一つ思い出してほしいことがあります。
0%に位置するのは、その指標の中で最悪でなくてはならない
ということです。
Cさんは、最初は「自分は0%の位置だ」と考えていました。
自分の位置より下にいるものを考え、
Cさんは、「Zさんよりは少しは優秀である」、と考えなおしました。
改めて、Cさんに優秀さを図示しなおしてもらうと、以下のようになりました。
Cさんよりも下の位置に、Zさんが追加されました。
認知的連続表は、これだけでは終わりません。
さらに、以下のように問いかけてください。
「その”○○でない※検討すべき指標”よりも、さらに”○○でない※検討すべき指標”ものは
ありませんか?」
Cさんに問いかけるならこうですね。
「それでは、”Zさん”よりも、さらに”優秀でない人”這いますか?」
この問いかけにCさんは、”不可”と判定されたクラスメイトYさんがいることを思い出し、
Zさんよりもさらに優秀でないということに気づきました。
そして、授業にすら出席していない学生Xさんの存在にも気づきました。
これらの気づきを考慮すると、最終的に以下のような図が出来上がりました。
Cさんはこの図をみて、自身の位置が0%から25%に向上したことを確認しました。
そして、自分の思考を「成績は良かったとは言えないが、落第とまでは言えない」
という自動思考に変化させることができました。
皆さんはいかがでしたか?
自動思考が、少しでも気分がマシになるほうに変わればいいのですが・・・・
少し理屈っぽい技法ですが、このやり方がしっくりくるのであれば、
ぜひご自身でも試してみてください。
それでは皆さん、
また次のスキル[円グラフ]まで。
お大事に
【引用・参考文献】
・ジュディス・S・べック 認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで第二版 星和書店
・Lee David 10分でできる認知行動療法入門 日経BP社
・福井至 図解やさしくわかる認知行動療法 ナツメ社