認知行動療法【スモールステップ化】とは
スモールステップ化とは、”難しくを易しく、遠くを近くに”する方法
皆さんは「鬼滅の刃」という作品をご存じでしょうか?
現在映画が公開されていますね。
鬼殺隊人たちが鬼と戦うという作品ですね。
特に主人公や柱の人たちが
戦っているシーンを見るとハラハラ・ドキドキしますよね・・
ここで一つ注目してほしいところがあります。
それは
鬼殺隊の人たちは、いきなり鬼と戦える状態ではない
初めから柱にふさわしい実力があったわけではない
ということです。
鬼と戦うまでに、特訓をし、呼吸を習得し、弱い鬼を倒し、下弦を倒し…
色々あって強くなってから、戦えるようになったり、柱として認められたはずです。
(鬼滅の刃知らない人はごめんなさい!)
メンタル不調を抱える患者さんは、しばしば高い目標を設定しがちで
いきなり無惨(ラスボス)を倒そうとします。
その目標に圧倒されて、現状を見ない
無惨様からは「愚かな人間だ」と言われ鬼にされる始末なのです。
そのため
目標にたどり着くまでの
登るべき道筋を示してあげることが大切です。
ここで、わかりやすく説明するために
認知行動療法の導入で出演した、サラリーマンのAさんに登場していただきましょう。
(うつ状態としては最高のポージングですよ…Aさん!)
Aさんはうつ病の診断で、薬物療法と2か月の休職を指示されましたが、
薬物療法と認知行動療法が功を制し、1か月後には体調が回復しました。
しかし復職するには不安を抱えています。
実際のやり取りを紹介します。
認知行動療法ースモールステップ化の実践
Aさん。あなたは復職してフルタイムで働きたいんですね。
でもその自信がない、というわけですね?
はい。会社で仕事するのはもちろんですが、無事出社できるのか…
もうしばらく電車に乗っていないですし…
その目標までを、細かくステップわけてみてはいかがでしょう?
例えば、出社する時間に合わせて起きて
駅まで歩いてから帰ってくる、ということをやってみるとか
あぁ、、それならできると思います。
良いですね!
そのように段階的に、こなすべき課題を書いていきましょうか
うーん。
こんな感じですかね
1.会社に行く時と同じ時間に起きる
2電車に間に合うように、駅に行く
3.職場の最寄まで電車に乗る
4.会社に復帰する
素晴らしい!
では、これを下の階から順にこなしていくとしたらどうでしょうか?
なるほど…原理はわかりました。
でも….。まだ、自信がないですね….
Aさん。思い出していただきたいのですが
最初は食事ものどを通らず、眠れない日々からスタートしたはずです。
Aさんは、すでに一ステップ階段を上っているんですよ。
少なくとも、その時よりは今のほうが
まだ次のステップに挑戦できる自信がわいていませんか?
あー、確かにそうですね。
Aさん。最終的な目標を考えるときは、このような階段を思い浮かべてください。
この階段状に考えることを「スモールステップ化」と言います。
この階段において、
『自分がどこにいるのか・・・。階段を登るために何ができるか・・・』
を考えるとよいでしょう。
いかがでしょうか?
このように考えることで、不安を小さくしていけると思いませんか?
到底無理だと思える目標を
小さい課題からこなし、最終的に目標に到達しようという考え方は
前回の跳び箱を飛ぶ時の考え方と似ていますね。
これは比較的簡単なスキルですから、ぜひ習得してください。
それでは、次回のスキル【ロールアクト】まで
お大事に
【引用・参考文献】
・ジュディス・S・べック 認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで第二版 星和書店
・Lee David 10分でできる認知行動療法入門 日経BP社
・福井至 図解やさしくわかる認知行動療法 ナツメ社
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