病気不安症とは

病気不安症とは

1. 概要

病気不安症(心気症)は、重篤な疾患にかかっているのではないかという過剰な不安を主訴とし、身体症状はあっても軽微であることを特徴とする精神疾患です。一般人口における有病率は約1~5%とされ、特に若年成人から中年にかけて発症しやすい病態です。性差に関しては、男女で大きな差は見られませんが、一部の研究では女性にやや多いと報告されています。病気不安症は、通常は病期が数ヶ月〜数年の経過ですが、同程度の期間の病欠期を経て、再発を認めながら慢性的経過をたどります。約半数は一過性の経過を示し、1/3は診断閾値以下に至ります。発症の要因として、過去の疾患体験、ストレス、家族の病気に対する過度な心配などが挙げられます。身体症状症(身体化障害)機能性神経症状症(転換症)の仲間とされています。共存疾患として、不安障害やうつ病を合併するケースが多いとされます。

2. 原因

病気不安症の原因は単一ではなく、心理的・社会的な要因が複雑に絡み合っています。心理的な背景として、加齢や死に対する恐怖を認めることが多いです。過去に罹患した重篤な疾患、特に小児期での既往や、被虐体験、家族が病気で苦しんでいたという過去の経験、両親が病気を過剰に恐れていたこと等が発症に関わることがあります。発症しやすい性格傾向として、自己愛が強い、こだわりやすい、物事を気にしやすいなどがあります。その一方、脳機能的、神経学的病態に関する知見は現時点では乏しいようです。

3. 診断

下記をすべて満たす場合に診断されます。ただし、身体症状症パニック症全般性不安症、醜形恐怖症、強迫症、または妄想性障害などの精神疾患で説明されないことが診断要件となります。

①少なくとも6ヶ月以上持続する、「病気である」または「病気にかかりつつある」というとらわれ(ただし、病気の内容は変化してよい)
②身体症状は存在しない、または存在してもごく軽微である。
③健康に関する強い不安が存在し、かつ健康状態について容易に恐怖を感じる。
④過度の健康関連行動(病気の徴候が出ていないか繰り返し体を調べ上げる、または病院の受診を避ける)を行う。

患者は通常妄想的ではなく、「臓器が腐っている」「脳に蛆虫が湧いている」など、訴えの内容の奇異さがなく不安の内容は了解できることが多いです。

4. 治療

病気不安症の治療には、主に心理療法と薬物療法が用いられます。認知行動療法(CBT)は、病気不安症の治療として最も有効な心理療法の一つです。この療法では、不安を引き起こす思考のパターンを特定し、それを修正することで不安を軽減します。例えば、「少しの頭痛=脳腫瘍ではないか」という極端な思考に気づき、それを「疲れやストレスによる一時的なものかもしれない」と柔軟に考える練習をしたり、患者が不安を感じる状況(例えば、健康情報を調べることをやめる、病院に行かないなど)に徐々に慣れていくことで、不安を軽減したりします。また、補助的に薬物療法を行うことがあり、抗うつ薬(特に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI))が、病気不安症の不安や強迫観念を軽減するのに有効とされています。ただし、病気への囚われそのものに対してというよりは、抑うつや不安焦燥など随伴する精神症状を対象として行われることが多いです。また、病気不安症の患者さんは副作用に敏感であることから、説明や量は慎重に検討する必要があります。身体的愁訴に応じた薬剤や抗不安薬は乱用や依存のリスクが多く、用いるとしても短期間にとどめることが望ましいです。患者本人を取り巻く生活環境にも目を向け、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス発散を推奨することも、症状の軽減に役立ちます。重症度が低いこと、疾病利得(病気であることで得をすること)がないこと、パーソナリティ障害を含む併存障害がないことが、予後を良化させます。患者さんの多くは自らを精神疾患だとは認識しておらず、心ならずも精神科受診に至るケースがほとんどであるため、医療機関での治療には安定的な治療関係の構築や維持が重要となります。症状を除去することよりも、症状への対応力と耐性の強化に目を向けることで、症状の改善を実感できます。
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診療科目 心療内科、精神科、児童精神科、美容皮膚科

ライトメンタルクリニックは、新宿・高田馬場にて夜間診療を行っている精神科・心療内科クリニックです。次に掲げる考え方のもと、「夜間・休日含む常時診療」「非薬物療法の充実」「遠隔診療の実施」「プライバシーの配慮」の4つを特徴とし、精神科・心療内科受診に抵抗のある方にこそ選ばれる医院を目指しております。
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