身体症状症とは
身体症状症(身体化障害・身体表現性障害)とは
1. 概要
2. 原因
心理社会的要因と生物学的要因によるものの2つが知られています。社会的要因としては、社会的・経済的階層や教育水準の低い者の罹患率が高いことが知られています。また、生物学的要因としては、不快な感情を担う脳部位のうち島皮質、前部帯状回、扁桃体の過活動や、痛みの認識を担う脳部位である内側前頭前皮質の異常が指摘されています。かつては心の問題とされていましたが、近年では脳機能異常を捉える検査法が発達したことで、脳機能の異常であることが分かりつつあります。似通った病態として、線維筋痛症や神経遮断性疼痛との関連性が指摘されています。また、遺伝の関与もあり、一親等以内の女性で10-20%罹患する事が知られています。疫学的には女性の方が圧倒的に罹患しやすいとされています(女2%、男0.2%以下)。また、反社会性パーソナリティ障害やアルコール依存症などの物質関連障害、演技性パーソナリティ障害と関連性があることがわかっています。
3. 診断
まずはSLE(全身性エリテマトーデス)などの膠原病、副甲状腺機能亢進症、急性間欠性ポルフィリン症などの内分泌・代謝疾患、多発性硬化症などの脱髄疾患、側頭葉てんかん、慢性感染症などの身体疾患を除外することが必要です。また、精神疾患においては統合失調症、気分障害、不安障害、作為症や偽病などの精神疾患の除外も重要です。それら医学的検索を行っても既知の身体疾患や物質関連障害の直接的作用として十分に説明できず、また、詐病でない前提のもとで診断されます。具体的には、1つ以上の苦痛を伴う身体症状が典型的には半年以上は持続し、それに伴う過剰な思考、行動、感情のうち少なくとも1つ以上が存在することで診断されます。
4. 治療