メンタルヘルスコラム

認知行動療法をセルフで⑭【ACT】。

  • 更新日:2026.05.11
  • 公開日:2025.09.09

認知行動療法ーACTとは?ー

皆さん、お加減どうですか?

どうも、いつも診る院長の清水です。

前回は、【ロールアクト】スキルで、モテる話でしたね?

モテたい方は、ちゃんと復習しておいてくださいね(笑)

今日は皆さんに、新世代の認知行動療法と言われる

【ACT】

をご紹介したいと思います。

そもそもACTとは

Acceptance and commiment therapy(アクセプタンス&コミットメントセラピー)

の略です。

直訳すると、「受容と約束」という意味ですが、ちょっと謎ですよね。

以下から、より詳しくACTについて解説していきます。

感情や思考をコントロールせず、受け止める

ACTがなぜ、新世代の認知行動療法と言われているのか、というと

様々な技法の要素を取り入れているからだ、と思います。

例えば、

「今、ここで何が起きているか」という考えに没頭する意味では

リラクセーション法の「マインドフルネス」と似ていますし、

自分を客観視したり、価値のある人生を選ぶために効果的に行動するという意味では

行動療法的です。

自己変容ではなく、自己受容を目指すところは、「森田療法」と似ています。

最終的に目指すゴールとしては

自分の思考を受け入れたうえで、

自分に価値のある方向性を選び、行動できるようになること

ACTの目指すゴールを例える比喩があります。

ACT

例えば・・・・

底なしの穴の横に立っているご自身を想像してみてください。

穴の反対側には、大きな怪物が立っています。

その怪物は、あなたが恐れ、避けているあらゆる思考や感情からできています。

あなたの全ての不安、痛み、怒り、悲しみが、この大きな怪物の中に蓄えられています。

怪物は長い綱を持っており、その綱のもう一方の端をあなたが握っています。

あなたと怪物は、その綱を引きあっている苦しい綱引きの真っ最中です。

あなたは、「私はこのまま引っ張られて、穴に引きずり込まれるのか」と恐れ

震えながら全身全霊で綱を引っ張っています。

これが

自分の否定的な思考や感情をコントロールしようとする努力です。

しかし、突然あなたは別のことを試そうと決意します。

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それは、綱を手放し、それを地面に落としてしまうことです。

残念ながら、足元にある巨大な穴も、向き合っている怪物も

依然として存在しています。

ですが、綱を手放したあなたは

もはやもがく必要もなく、穴に引きずり込まれることを恐れてもいません。

これがACTのゴールとする

「感情のコントロールを手放す」

という考え方です。

嫌な気分や思考は確かにそのまま残っていても

それを受け入れ、戦わなければいいのです。

他の例えでは、

椅子が壊れた時、

壊れた椅子をどのように活用するのかを考えるのがACTの考え方というものがあります。

椅子自体は壊れていますが、その壊れた状態を治すのではなく、

壊れた椅子を活用することでうまく付き合っていくという考え方をするのがACTです。

ACTの中心的治療過程

ACTは、6つのSTEPで構成されています。

①今、この瞬間と接触

現在、この場所で自分が行っていることを認識し、完全にそのことに没頭する

②受容

思考や感情に対して葛藤したり、過度に注意に捉われず、その出現や消滅を許容する

③自己観察者

対局的見地から自己観察し、自分とその思考や感情とを区別する

④認知的脱融合

一歩離れて自分の思考を観察し、それらを絶対的事実や恐ろしい体験ではなく

一過性の内的な出来事としてみることができる

⑤価値観

自分個人として、何が重要なないし有意義かを明確にし

自らの人生において、どのような人間でありたいかを定義づける

⑥価値ある人生を送るためのどういい選択した行動を実行する

自分の重視する価値観に基づいてゴールを設定し、それを達成するための効果的な行動を実行する

・・・うーん。

ちょっと抽象的過ぎて、何言ってるのかさっぱり、って感じですよね・・・

でもご安心を。

この①~⑥をまるっと体験できる実際のエクササイズをご紹介します!

認知行動療法ーACTーを体験してみましょう

さぁ、ACTのエクササイズを実際にやってみましょう!

このエクササイズは目を閉じて視界に移る情報を遮断する必要があるのですが、

そうするとこの記事が読めなくなってしまうので・・・(笑)

まずはご一読いただいてから、行ってください。

実際はこのようになっていきます。

まずは、セラピストは以下のようにあなたに語り掛けます。

いつも診る院長
いつも診る院長
まず、目を閉じてください。座って、できるだけ楽な姿勢でリラックスしてください。

良いですか?

それでは続いて以下のように指示を出します。

いつも診る院長
いつも診る院長
想像してください。あなたは今、川の縁に座っています。そして、ぼんやりと上流から流れている、川の流れを見ています。
ぼんやりと眺めていると、大きな葉っぱが流れてくるのが見えます。葉っぱは川の流れに従って、ゆっくりと、あるいは早くあなたに向かって流れてきます。
そして、葉っぱはあなたの前を通り過ぎ、やがて遠ざかっていきます。
そして見えなくなってしまいます。
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想像できたでしょうか?

できたら、セラピストは次のように語り掛けます。

いつも診る院長
いつも診る院長
今度はゆっくりと、ご自身の呼吸に意識を集中します。
しばらく呼吸していると・・・ある「考え」や「感情」に気づきますか?
例えば「息が苦しいなぁ」とか「悲しい」かもしれません。
「こんなことして、意味があるのか?」かもしれないですね?

それを、視覚的にイメージしてください。

そう、その調子です。

イメージができて入れば、セラピストは次のように語り掛けます。

いつも診る院長
いつも診る院長
そしてそのイメージを、葉っぱの上にピン留めしていきます。
葉っぱにピン留めされた「考え」のイメージは、ただゆっくり、川の流れのままにあなたに近づき、やがて遠ざかっていきます。
最終的に見えなくなるまで、ただ観察してください。

もしかしたら、このエクササイスから意識が外れて

あなたを悩ませている思考に囚われてしまうこともあるかもしれません。

その場合は、セラピストは次のように教示します。

いつも診る院長
いつも診る院長
時々、意識がこのエクササイズからずれても、気にしないでください。
それは当然のことなので、悩む必要すらありません。
その場合は、ただ穏やかに、注意をエクササイズに戻せばよいのです。
葉っぱの動きを早めたり、遅くしたりする必要もありません。
その考えをどうにか変えようとする必要もありません。
浮かんでくる思考や、あるいは感情を、流れてくる葉っぱにピン留めし続けましょう。
そして、それらがただ流れていき、いずれ見えなくなることを感じてください・・・

数分間そのエクササイズを続け、流れてくる葉っぱにピン留めすることを続け、

思考・考えがなくなった、あるいは少なくなった

と感じたら、ゆっくり目を開けます。

さぁ、実際にやってみた方

ご気分はいかがでしょうか?

少しくらい、気分がマシになればいいのですが・・・

このエクササイズでは、思考や感情を脊髄反射的に事実そのもの!と確信する前に

一歩離れて観察できるよう考案されています。

そして、その思考や感情が脅威となることのない、

一過性のものであると感じるような手続きになっています。

(そのために、思考や感情を視覚的にイメージして、いずれ遠ざかる葉っぱにピン留めしていたんですね・・・・)

普段、勝手に出てくる思考(=自動思考)に

「~と、私は思った」と付け加えるだけでも意味があります。

ACTでは、先ほどのエクササイズだけでなく、

⑥価値のある人生の送るための行動を選択、実行すること

が重要、という行動療法的側面もあるのでした。

その点についても、少し話しておきましょうか。

価値ある方向へと人生を歩む

自分が人生というバスの運転手であると想像してみましょう。

ACT

指定された目的地(=自分なりの幸せ)に向かってバスを走らせていると、

色々な乗客が乗ってきます。

当然、良い客もいれば、タチの悪い客もいるでしょう。

この場合、タチの悪い客とは、

あなたが過去に出会った事がある、

あなたが嫌いな人だったり、

「不安」「怒り」「悲しみ」などの不快な感情に相当します。

彼らはあなたに対して、決めていた目的地ではなく

「この道は遠回りだろ!」だの、「別のところに連れていけ!」と騒ぎ立てます。

・・・・・・。

もし、あなたが彼らが問題を起こすことを避けるため、

渋々彼らに従いバスを走らせるなら、

やがて、

本当の目的地からかなり離れてしまっていることに気が付くでしょう。

 

今度はタチの悪い客たちを降ろそうと試みますが

彼らは暴力的に抵抗し、乱闘騒ぎになります。

そうなると、

バスはちっとも動きません。

・・・・・。

さあ、あなたの人生というバスの運転手である、あなたが、

取るべき行動はなんでしょうか。

 

「もうたくさんだ!

 言いたいことはわかったが、今後どこに向かうかは

 運転手である私が決める!」

 

そう言い放ってあなたは、

相変わらず騒ぎ続ける彼らを尻目に、

目的地に向かってバスを走らせるのです。

結局、その厄介者たちは席に座り、あなた自身が決めた方向にバスを運転することを受け入れざるを得なくなります。

 

如何でしょうか?

この例えの要点は

人生の運転手である自分を妨げる不快は考え・感情(タチの悪い客)にかまっているのは

生産性に欠けることであり、自分の運転(行動)を断固として行えば、

やがて不快な考え・感情(タチの悪い客)も

コントロールできるようになるのだ

ということです。

それでは、早々に目的地を決めて、あなたのバスを走らせるために役に立つ

5つの質問をご紹介しましょう。

①あなたにとって、「自分がそうなりたい」と思える人は、どんな人ですか?

②あなたは、自分の人生で、何を表現したいと思っていますか?

③あなたの葬儀で、遺された人から、何と言われたいですか?

④それらの価値観に合致するために、どのような行動をとるべきですか?

⑤④のような行動によって、あなたに不快な思考や感情が芽生えたとしても、その行動を実行したいですか?

いかがでしたでしょうか?

ACTは奥が深く、文章だけで説明することはかなり難しいですが

その一部だけでも触れていただければと思います。

ACTは比較的新しい技術で、実際にACTができるところは数少ないですが

存在しますので、興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。

それでは、次のスキル【アサーショントレーニング】でお会いしましょう。

それではその時まで。

お大事に。

監修者
監修者プロフィール

ライトメンタルクリニック 渋谷院 院長

清水聖童(Seido shimizu)

精神保健指定医/日本精神神経医学会認定専門医/認知症サポート医/コンサータ処方登録医/

 

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