【精神科専門医解説】ロドピン(ゾテピン)の効果・副作用|強い鎮静作用、体重増加・けいれんと現在の使いどころ

目次
はじめに
ロドピン(一般名:ゾテピン)は、
ドパミン系・セロトニン系を中心に複数の神経伝達系へ作用する抗精神病薬です。
日本では1982年から使用されており、現在の国内承認適応は統合失調症です。
現在は副作用特性の異なる多くの第二世代抗精神病薬を選択できるため、
ロドピンを新規治療の第一選択として使用する機会は以前より少なくなっています。
一方で、抗精神病作用そのものは決して弱くなく、
不穏・興奮・焦燥・不眠を伴う症例では、
比較的強い鎮静作用まで含めて治療に利用できるという独自の位置があります。
古いから「効かない薬」なのではありません。
十分な抗精神病作用と鎮静性を持つ一方、
眠気、体重増加、錐体外路症状、便秘、血圧低下、
そしてけいれん閾値低下まで含めて使いどころを選ぶ薬です。
ロドピン(ゾテピン)とは
ゾテピンは化学構造上、
ジベンゾチエピン系に属する抗精神病薬です。
単純にドパミンD2受容体だけを遮断する薬ではなく、
セロトニン受容体、α1アドレナリン受容体、
ヒスタミンH1受容体、ムスカリン受容体など、
複数の受容体系に影響する多受容体型の薬剤です。
ゾテピン(Zotepine)
ロドピン
抗精神病薬
統合失調症
75~150mg/日を分割投与
450mg/日
約8時間
CYP3A4
ロドピンの作用機序

複数の神経伝達系に作用します。
ドパミン受容体遮断
統合失調症の幻覚や妄想などの陽性症状には、
中脳辺縁系を中心とした過剰なドパミン神経伝達が関係すると考えられています。
ゾテピンはドパミン受容体を遮断することにより、
幻覚、妄想、思考障害、不穏・興奮などの改善を目指します。
セロトニン受容体への強い作用
ゾテピンは中枢性セロトニン受容体に対しても強い遮断作用を示します。
この点は、ドパミンD2受容体遮断を主体とする
古典的な定型抗精神病薬とは異なる特徴であり、
後に登場した第二世代抗精神病薬につながる薬理学的性格を持っています。
モノアミン再取り込みへの作用
動物実験では、
ゾテピンにはノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの
神経終末への取り込みを抑制する作用も確認されています。
ただし、この作用が実際の抗精神病効果のどの程度を担っているのかは
明確ではありません。
H1・α1・ムスカリン受容体への作用
ゾテピンはヒスタミンH1受容体、
α1アドレナリン受容体、
ムスカリン受容体などにも作用します。
こうした多受容体作用は、
鎮静という臨床的な特徴をもたらす一方で、
眠気、食欲・体重への影響、起立性低血圧、口渇、便秘などにもつながります。
治療効果の幅につながる可能性がある一方、
副作用の多さにもつながります。ロドピンでは
「どの受容体に作用するか」だけを見るのではなく、
その患者さんにとって鎮静や代謝への影響を許容できるかまで考えることが重要です。
効果・適応
国内承認適応は統合失調症
現在の国内添付文書におけるロドピンの適応は
統合失調症です。
幻覚、妄想、まとまりにくい思考、
不穏・興奮などの精神病症状に対して使用されます。
国内承認時には666例の統合失調症患者を対象とした臨床試験がまとめられており、
単独投与群では中等度以上の改善が約42%に認められています。
ただし、これは現在とは診断基準や治療環境、
臨床試験デザインが異なる時代のデータであり、
現代の新規抗精神病薬の試験と単純比較することはできません。
難治例でも効くことがある?
国内承認時のデータでは、
それまで使用された薬剤に反応しなかったとされた
「いわゆる難治症例」の
20%で中等度以上の改善が記録されています。
この数字は興味深いものですが、
当時の「難治症例」と現在の
治療抵抗性統合失調症の定義は同一ではありません。
執筆者の個人的見解|「他剤がだめならロドピン」という場面は今でもあります私自身、現在ロドピンを統合失調症治療の第一選択にすることは多くありません。
しかし、複数の抗精神病薬で効果が不十分で、
幻覚・妄想だけでなく不穏、興奮、強い焦燥、不眠が残っている症例では、
多受容体型で鎮静性を持つロドピンへ切り替えることで
状況が動くことがあります。
古い薬だから候補から完全に外すのではなく、
薬理特性の異なるカードを一枚残しておく
という意味では、現在でも価値のある薬だと考えています。
クロザピンには独立したエビデンスと治療上の位置づけがあります。ゾテピンとクロザピンを比較した研究もありますが、
ロドピンをクロザピンと同等の治療抵抗性統合失調症治療薬として
扱うことはできません。
MDI・双極性障害への適応外使用
ゾテピンには、
現在でいう双極性障害の躁状態に対する古い臨床研究があります。
1986年には、
MDI(manic-depressive illness:躁うつ病)や
躁型統合失調感情障害の患者16例を対象とした研究で、
躁症状に対する改善が報告されました。
また2005年には、
重症躁病患者12例を対象とした小規模pilot studyで、
ゾテピンによる比較的速やかな躁症状改善が報告されています。
一方、これらはいずれも現在の双極性障害治療薬のエビデンスと比べると
非常に小規模かつ古い研究です。
さらに1986年の研究では躁状態から抑うつ状態への移行も多く報告されています。
したがって、
現在の国内保険適応はあくまで統合失調症であり、
双極性障害への使用は適応外です。
現在は国内適応と比較的十分なエビデンスを持つ薬剤が複数あるため、
ロドピンを通常の第一選択にする理由は乏しいと考えています。ただし、
著しい不眠、精神運動興奮、焦燥、攻撃性、精神病症状を伴う躁状態で、
標準的な薬剤だけでは十分に落ち着かない場合、
ロドピンの抗精神病作用と鎮静性を利用して適応外で使用することがあります。これはゾテピンが躁病の標準治療薬であるという意味ではなく、
古いながら抗躁作用を示した臨床データが存在することを踏まえた、
限定的な臨床選択肢としての位置づけです。
過去の高用量研究を現在の処方量へそのまま持ち込まない2005年の躁病pilot studyでは国内承認用量を超える投与も行われています。
現在の国内添付文書上の最高用量は
450mg/日です。
海外の古い研究で使用された用量をそのまま国内臨床へ当てはめるべきではありません。
用法・用量
成人ではゾテピンとして
1日75~150mgを分割して経口投与します。
年齢や症状によって適宜増減できますが、
国内添付文書上は
1日450mgまでです。
最高用量:450mg/日
消失半減期:約8時間
定常状態:おおむね投与開始1週間以内
統合失調症患者に100mgを単回投与したデータでは、
血中濃度は約1~4時間後に最高となり、
消失半減期は約8時間でした。
反復投与では血中濃度の個人差が比較的大きく、
単純に投与量だけから血中濃度を予測しにくい特徴があります。
便秘、けいれんなどが用量調整を制約します。特に外来では、
「症状がまだあるから増やす」だけではなく、
日中活動性や身体副作用とのバランスを見ながら
有効最小量を探ることが重要だと考えています。
強い鎮静作用をどう利用するか
眠気はロドピンで比較的よくみられる副作用です。
一般には副作用として問題になりますが、
精神科臨床では
不穏・興奮・焦燥・夜間不眠を同時に落ち着かせたい症例
で、この鎮静性を治療に利用できる場合があります。
現在使用できる抗精神病薬の中でも
比較的鎮静性を強く意識して使う薬の一つと考えています。日中の覚醒度を保ちたい患者さんでは大きな欠点になりますが、
夜間まで強い焦燥や興奮が続き、
ほとんど眠れない患者さんでは、
この性質がむしろ治療上の利点になることがあります。重要なのは、
「眠くなる薬だから使う」のではなく、
抗精神病作用を必要とする病態に鎮静性がうまく重なる患者さんを選ぶ
ことです。
難治性の睡眠障害に使える?
ロドピンは不眠症治療薬ではなく、
慢性不眠症そのものに抗精神病薬を使用することは標準的な治療ではありません。
特に、精神病症状や躁的興奮を伴わない原発性の慢性不眠症に対して
「強く眠れるから」という理由だけでロドピンを使用することは、
体重増加、錐体外路症状、抗コリン作用、けいれんなどを考えると
合理的とは言いにくいでしょう。
統合失調症スペクトラム、躁状態、著しい焦燥、不穏などに伴っている場合は話が変わります。このような患者さんでは、
ベンゾジアゼピン系睡眠薬、Z-drug、鎮静性抗うつ薬、
抗精神病薬などが徐々に追加され、
夜の薬だけで多剤併用になっていることがあります。その場合、
原疾患の治療と夜間の鎮静という複数の役割を
ロドピンへある程度集約し、
効果の乏しい補助的な鎮静薬を一剤ずつ整理していく
ことがあります。
これは「ロドピンを睡眠薬として使う」という発想より、
病態を治療する抗精神病薬に睡眠改善の役割も持たせる
という考え方に近いです。
ポリファーマシーの薬剤整理に使うという考え方
精神科では、
症状ごとに薬剤を追加した結果、
長期的には処方目的が不明瞭な薬剤が積み重なることがあります。
特に不眠・不安・焦燥・興奮に対して、
複数の睡眠薬、抗不安薬、鎮静性抗精神病薬などが
併用されているケースでは、
処方全体を再評価することが重要です。
使い方を誤ると単にポリファーマシーをさらに悪化させます。しかし逆に、
原疾患に対する抗精神病作用と、
夜間の焦燥・興奮・不眠への作用を一剤で担わせることができれば、
それまで使用していた複数の補助薬を減らせる可能性があります。私がこうした目的で使用するときは、
「ロドピンを追加して終わり」ではなく、
症状が安定した段階で、役割の重複している薬剤を一剤ずつ減らしていくこと
までを処方設計の一部として考えます。
急激な中止によって反跳性不眠、不安、離脱症状などが起こる可能性があります。ロドピンを開始したからといって、
既存薬を一度に中止するのではなく、
病状を確認しながら段階的に整理することが重要です。
ロドピンは太る?
ロドピンでは
体重増加を軽視できません。
中長期のランダム化比較試験を統合したネットワークメタ解析では、
ゾテピンによる体重増加はプラセボと比べて
平均約3.9kgと推定されています。
この数字には研究間のばらつきがあり、
個々の患者さんが必ず約4kg増えるという意味ではありません。
しかし少なくとも、
ロドピンを「代謝面で軽い抗精神病薬」と考えるのは適切ではありません。
体重増加は意志の問題ではありません
抗精神病薬による体重増加には、
食欲亢進だけでなく、
鎮静による活動量低下、
ヒスタミン・セロトニン系への作用、
糖脂質代謝への影響などが複合的に関係します。
そのため体重が増えた患者さんに
「食べなければいい」「運動すればいい」とだけ伝えるのは適切ではありません。
体重、BMI、腹囲、血圧、
血糖またはHbA1c、脂質などを開始時から把握しておく方がよいと考えています。体重が増え始めてから初めて対処するより、
導入前の値を記録して早期変化を捉える方が、
薬剤変更や生活介入の判断もしやすくなります。
| 確認項目 | 臨床的なポイント |
|---|---|
| 体重・BMI | 導入初期から変化を追う |
| 腹囲 | 内臓脂肪増加の目安 |
| 血圧 | 代謝リスクと起立性低血圧の双方を確認 |
| 血糖・HbA1c | 糖代謝異常を確認 |
| 中性脂肪・LDL・HDL | 脂質代謝異常を確認 |
けいれんは特に意識したい副作用
ロドピンの特徴を理解するうえで、
けいれん閾値の低下は重要です。
現行添付文書では、
けいれん発作は
0.1~5%未満の重大な副作用として記載されています。
また、てんかんなどのけいれん性疾患やその既往がある患者では、
痙攣閾値を低下させる可能性があるため注意が必要です。
古い研究では高い発作率も報告されている
1992年に報告された統合失調症入院患者129例の観察研究では、
22例、17.1%に全般性けいれん発作が報告されました。
ただし当時は、
現在より高用量のゾテピンや他の抗精神病薬を併用している症例も多く、
現在の通常処方で17%に発作が起こるという意味ではありません。
低用量でも発作例はあります。しかし高用量になるほど、
けいれん歴、頭部外傷歴、
他のけいれん閾値を下げる薬剤との併用などを
より慎重に評価する必要があると考えています。
脳波検査は全員に必要?
ロドピンを使用するすべての患者さんに
定期的な脳波検査を必須とする根拠はありません。
一方、添付文書では
脳波異常は5%以上に分類されています。
頭部外傷、
原因不明の意識消失やミオクローヌス、
高用量投与を検討する症例などでは、
脳波検査を含む神経学的評価を検討する価値があります。逆に低リスク患者へ一律に定期EEGを行う必要まではないと考えています。
錐体外路症状
ロドピンは多受容体型の抗精神病薬ですが、
錐体外路症状がほとんど起こらない薬ではありません。
添付文書ではパーキンソン症候群が5%以上、
ジスキネジアやアカシジアが0.1~5%未満に記載されています。
手の震え、筋肉のこわばり、動作の遅さ、
じっとしていられない感じ、
口や舌の不随意運動などがみられた場合には評価が必要です。
便秘・抗コリン作用・麻痺性イレウス
ロドピンでは、
便秘、口渇、排尿困難などがみられることがあります。
さらに重大な副作用として
麻痺性イレウスが記載されています。
著しい便秘、腹部膨満、腹痛、
食欲低下などが続く場合には注意が必要です。
「吐いていないから大丈夫」とは限らない
ロドピンには制吐作用があります。
添付文書でも、
他の薬剤による中毒、腸閉塞、脳腫瘍などによる嘔吐症状を
不顕性化する可能性が注意されています。
本来なら嘔吐を伴う身体疾患でも症状が目立たなくなる可能性があります。原因不明の腹部膨満、倦怠感、意識変容、食欲低下などがあれば、
「精神科の患者だから」「薬の副作用だろう」と決めつけず、
身体疾患を評価することが重要です。
血圧低下・めまい
α1受容体遮断作用などにより、
血圧低下、めまい、ふらつきが起こることがあります。
高齢者、降圧薬を使用している患者、
脱水傾向の患者では転倒にも注意が必要です。
プロラクチンへの影響
ドパミン受容体を遮断するため、
ロドピンでも高プロラクチン血症が起こる可能性があります。
月経異常、乳汁分泌、性機能障害などがみられる場合には、
必要に応じて血中プロラクチン値を確認します。
その他の重大な副作用
| 重大な副作用 | 注意する症状 |
|---|---|
| 悪性症候群 | 高熱、筋強剛、意識障害、発汗など |
| 心電図異常 | 動悸、不整脈、失神など |
| 麻痺性イレウス | 著しい便秘、腹部膨満、腹痛など |
| けいれん発作 | 全身けいれん、意識消失など |
| 無顆粒球症・白血球減少 | 発熱、咽頭痛、感染症状など |
| 肺塞栓症・深部静脈血栓症 | 息切れ、胸痛、下肢の腫脹・疼痛など |
| 遅発性ジスキネジア | 口・舌・顔面などの持続する不随意運動 |
| SIADH | 倦怠感、意識障害、低Na血症、けいれんなど |
CYP3A4と薬物相互作用
ゾテピンの主な代謝酵素は
CYP3A4です。
また、中枢神経抑制薬やアルコールとの併用では
鎮静作用が増強する可能性があります。
降圧薬では血圧低下、
抗コリン作用を持つ薬剤では便秘・口渇・排尿困難などが
強くなる可能性があります。
アドレナリンとの併用についても、
使用目的によっては重篤な血圧低下を起こす可能性があり、
添付文書上の相互作用を確認する必要があります。
現在の抗精神病薬の中での位置づけ
| 項目 | ロドピンの特徴 |
|---|---|
| 抗精神病作用 | 十分期待できる |
| 鎮静 | 比較的強く、症例によっては治療に利用できる |
| 体重・代謝 | 体重増加に注意 |
| 錐体外路症状 | 起こり得る |
| 抗コリン作用 | 便秘・口渇・排尿困難などに注意 |
| けいれん | 他剤以上に意識したいポイント |
| 双極性障害 | 抗躁作用の古いデータはあるが国内適応外 |
| 睡眠障害 | 不眠症治療薬ではない。精神科的病態に伴う不眠では鎮静性を利用する場合がある |
| ポリファーマシー | 役割を集約して他剤を整理する目的で使うことがあるが、ロドピン特異的エビデンスではない |
体重への影響が比較的小さい薬、
プロラクチンへの影響が少ない薬、
1日1回で服用できる薬、
LAIとして投与できる薬など、
多くの選択肢があります。そのため、初めて抗精神病薬を使用する患者さんで
ロドピンを第一選択にすることは多くありません。一方、
幻覚・妄想に加えて強い不眠・不穏・興奮を伴う症例、
他剤で十分に改善しなかった症例、
あるいは鎮静薬・睡眠薬が多剤化している症例
では、ロドピンの性質がうまくはまることがあります。
特に後者では、
ロドピンをさらに一剤追加するのではなく、
症状が落ち着いた後に他の薬剤を整理するところまで含めて
処方設計を考えることが重要です。
「新しい薬ほど優れている」
「古い薬は使わない」
という単純な序列ではなく、
必要な作用と許容できる副作用の組み合わせから薬剤を選ぶ
ことが精神科薬物療法では重要だと考えています。
よくある質問
長い使用経験のある抗精神病薬です。
ただし、古いことと効果が弱いことは同じではありません。
強い不眠や興奮を伴う患者さんでは治療上利用する場合もありますが、
日中の活動に支障が出るほど眠い場合には処方調整が必要です。
精神病症状、躁的興奮、強い焦燥など、
抗精神病薬を使用する理由が別にあり、
そこに重い睡眠障害が重なっている症例で鎮静性を利用することがあります。
現在の日本では双極性障害は承認適応ではありません。
使用する場合は適応外処方となります。
長期使用では体重だけでなく血糖・HbA1c・脂質なども定期的に確認します。
高用量、けいれん既往、頭部外傷、
けいれん閾値を下げる他剤との併用などではより慎重に評価します。
長期間安定しており副作用も許容できている場合、
「古い薬だから」という理由だけで変更するメリットは明確ではありません。
まとめ
ロドピン(ゾテピン)は、
ドパミン・セロトニン系を中心に複数の神経伝達系へ作用する抗精神病薬です。
国内承認適応は
統合失調症で、
通常75~150mg/日を分割投与し、
最大450mg/日まで使用できます。
古い薬ですが抗精神病作用が弱いわけではなく、
不穏・興奮・焦燥・不眠を伴う症例では、
その鎮静性まで含めて治療に利用できる場合があります。
過去には躁状態への抗躁作用を示す小規模臨床研究もあり、
症例によって双極性障害へ適応外使用されることがありますが、
現在の標準的な双極性障害治療薬という位置づけではありません。
また、不眠症そのものを治療する薬ではありません。
一方で、原疾患に対する抗精神病作用と鎮静を一剤へ集約できる症例では、
多剤化した睡眠薬・鎮静薬を段階的に整理するために利用できることがあります。
特に注意したい副作用は、
眠気、体重増加、錐体外路症状、便秘・抗コリン作用、
血圧低下、そしてけいれん
です。
ロドピンは、
「古いから使わない薬」でも
「強いから積極的に使う薬」でもありません。
他剤では得にくい作用が必要な患者さんを選び、
副作用とのバランスを取りながら使う薬
と考えるのが適切です。

医療法人社団燈心会 理事長
ライトメンタルクリニック 渋谷本院 院長
清水聖童 (Seido Shimizu)
精神保健指定医 /
日本精神神経学会認定専門医 /
認知症サポート医 /
コンサータ処方登録医
引用・参考文献
1. LTLファーマ株式会社.
ロドピン錠25mg/50mg/100mg、ロドピン細粒10%/50% 電子添文.
2025年4月改訂(第5版).
2. LTLファーマ株式会社.
ロドピン錠25mg/50mg/100mg、ロドピン細粒10%/50%
医薬品インタビューフォーム.
3. Harada T, Otsuki S.
Antimanic effect of zotepine.
Clin Ther.
1986;8(4):406-414.
4. Amann B, Sterr A, Mergl R, et al.
Zotepine loading in acute and severely manic patients:
a pilot study.
Bipolar Disord.
2005;7(5):471-476.
5. Hori M, Suzuki T, Sasaki M, Shiraishi H, Koizumi J.
Convulsive seizures in schizophrenic patients induced by zotepine administration.
Jpn J Psychiatry Neurol.
1992;46(1):161-167.
6. Leucht S, Cipriani A, Spineli L, et al.
Comparative efficacy and tolerability of 15 antipsychotic drugs in schizophrenia:
a multiple-treatments meta-analysis.
Lancet.
2013;382(9896):951-962.
7. Huhn M, Nikolakopoulou A, Schneider-Thoma J, et al.
Comparative efficacy and tolerability of 32 oral antipsychotics for the acute treatment
of adults with multi-episode schizophrenia:
a systematic review and network meta-analysis.
Lancet.
2019;394(10202):939-951.
8. DeSilva P, Fenton M, Rathbone J.
Zotepine for schizophrenia.
Cochrane Database Syst Rev.
2006;(4):CD001948.
9. Subramanian S, Rummel-Kluge C, Hunger H, et al.
Zotepine versus other atypical antipsychotics for schizophrenia.
Cochrane Database Syst Rev.
2010;(10):CD006628.
10. Chen CK, Huang YS, Ree SC, et al.
Switching from clozapine to zotepine in patients with schizophrenia:
a 12-week prospective, randomized, rater-blind, and parallel study.
J Clin Psychopharmacol.
2013;33(2):211-216.
11. Richelson E, Souder T.
Binding of antipsychotic drugs to human brain receptors:
focus on newer generation compounds.
Life Sci.
2000;68(1):29-39.
12. Pillinger T, et al.
Metabolic side effects in persons with schizophrenia during mid- to long-term treatment
with antipsychotics:
a network meta-analysis of randomized controlled trials.
World Psychiatry.2023;22(1):116-128.
13. Riemann D, Espie CA, Altena E, et al.
The European Insomnia Guideline:
an update on the diagnosis and treatment of insomnia 2023.
J Sleep Res.2023;32(6):e14035.
14. Essock SM, Schooler NR, Stroup TS, et al.
Effectiveness of switching from antipsychotic polypharmacy to monotherapy.
Am J Psychiatry.2011;168(7):702-708.
15. 日本神経精神薬理学会・日本臨床精神神経薬理学会.
統合失調症薬物治療ガイドライン2022.2025年12月5日改訂.
16. 井上猛, 桑原斉, 酒井隆, 鈴木映二, 水上勝義,
宮田久嗣, 諸川由実代, 吉尾隆, 渡邉博幸 編.こころの治療薬ハンドブック 第16版.星和書店; 2026.
17. 樋口輝彦, 市川宏伸, 神庭重信, 朝田隆, 中込和幸 編.
今日の精神疾患治療指針 第2版.医学書院; 2016.
18. 姫井昭男.精神科の薬がわかる本 第5版.医学書院; 2024.
.png)





