悪夢ばかり見るのはなぜ?原因と対処法を精神科医が解説

悪夢の理由と対処法
皆さん、お加減どうですか?
どうも、いつも診る院長の清水です。
精神科・心療内科に通院されている患者さんの中には「悪夢」を訴える方が少なくありません。
この記事を見ている方にも、お困りの方はいるかもしれません。
今回は、悪夢の対策についてお話ししますが
「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」
という言葉があります。
まずは「敵」である悪夢について知るところから始めましょう。
悪夢とは?「悪夢障害」について
怖い夢を見ること自体は珍しいことではありません。
しかし、悪夢を繰り返し、そのために眠ることが怖くなったり、睡眠や日中の生活にまで影響したりする場合には、「悪夢障害」と診断されることがあります。
悪夢障害の定義では、「睡眠中の生々しい夢から、その内容と関連した不安と恐怖を伴って覚醒が生じること」とされています。
悪夢では、生存や安全、自己の尊厳などが脅かされる内容の夢を見て、不安・恐怖とともに目が覚めることがあります。
夢の内容やそれに伴う覚醒が苦痛を伴い、覚醒後の再入眠が困難となる方もいます。
悪夢をよく見る原因
睡眠中「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が繰り返されています。
ストーリー性のある夢はレム睡眠中で生じやすく、レム睡眠は明け方で持続時間が長くなることから、夢で目が覚めるのも明け方に多くなります。
では、なぜ悪夢が増えるのでしょうか。
大きな原因の一つが、ストレスや不安です。
仕事や人間関係などでストレスが強い時期や、気分が落ち込んでいる時期には、悪夢が増えることがあります。
また、悪夢障害と診断される方の中には、大きな外傷体験(トラウマ)、境界性パーソナリティ障害やうつ病などを併存する場合があり、ストレスや不快な感情と悪夢との関連性がうかがえます。
他方、一部の薬剤によって悪夢が増えたりすることもあります。
服薬の開始や薬の変更によって急に悪夢が増えるなどといった場合には、薬剤との関係も考えます。
一部の抗うつ薬や向精神薬、降圧薬やアルコールなどの中断に伴って、悪夢が続くこともあります。
睡眠薬の「ベルソムラ」や「デエビゴ」などオレキシン受容体拮抗薬によっても、夢が鮮明になったり、悪夢が出現する可能性があります。
また、ナルコレプシーなど一部の睡眠関連疾患で悪夢が出現することもあります。
悪夢を減らすための対処法
まずは、悪夢を増やしている原因がないか考えます。
ストレスが強い場合には、その原因をできる範囲で調整します。
寝る前まで怖い動画や刺激の強いコンテンツを見る習慣があれば、それらから少し距離を置いてみてもよいでしょう。
境界性パーソナリティ障害やPTSD、うつ病などが併存する場合は、それらの治療を並行して行います。
そして、繰り返す悪夢に対して有効な方法の一つが、「イメージリハーサル療法(IRT)」です。
簡単にいうと、悪夢の「脚本」を自分で書き換える方法です。
たとえば、毎日のように何者かに追いかけられ、最後には殺されてしまう夢を見ていたとします。
いつもの夢では、
何者かに追いかけられる。
何者かはわからない、ただし殺意は感じる。
逃げても逃げても追いかけてくる。
とうとう追いつかれる。
「殺される!!」
と思って振り返ったら・・・

ピコピコハンマーでした!!!・・・とさ
・・・・どうです?
これだけでも、急にコミカルな展開になりませんか?
このように、自分が作った安全な結末や怖くない展開に改変した内容を、起きている時間にイメージします。
これがイメージリハーサル療法であり、悪夢障害などに対して研究されている心理的治療の一つです。
悪夢とうまく付き合うために
悪夢は一時的にみられることも多いので、焦らず対処することが大切です。
ただし、夜中に目が覚めその後眠れない、日中の仕事や学校生活にも影響している、つらい体験と同じ内容の夢を繰り返す、といった状態が続いている場合には、治療の対象となることがあります。
まずは、悪夢の背景にあるストレスや睡眠環境の見直しや、必要に応じて、イメージリハーサル療法などのアプローチも検討してみてください。
それでも改善が乏しい場合や、PTSDなどの疾患が背景にある場合などは、状態に応じて薬物療法が選択されることもあります。
原因を整理しながら、悪夢ともうまく付き合っていけるといいですね。
それでは、皆さん、お大事に。

ライトメンタルクリニック 渋谷本院 院長
清水聖童(Seido shimizu)
精神保健指定医/日本精神神経医学会認定専門医/認知症サポート医/コンサータ処方登録医/
参考文献
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・Provini F, Högl B, Iranzo A, et al. Endorsement of: “Position paper for the treatment of nightmare disorder in adults: An American Academy of Sleep Medicine position paper” by the World Sleep Society. Sleep Med. 2025;127:49-54. doi:10.1016/j.sleep.2025.01.001.
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