メンタルヘルスコラム

【精神科専門医解説】ワイパックス(ロラゼパム)の効果・作用機序・副作用|依存・離脱と安全な減薬まで

  • 更新日:2026.09.24
  • 公開日:2026.09.24

ワイパックス(一般名:ロラゼパム)は、
脳内の抑制性神経伝達物質GABAの働きを増強する
ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。
不安や緊張を比較的速やかに軽減するため、
精神科・心療内科では長年使用されてきました。
一方で、眠気やふらつきだけでなく、
連用による身体依存や、急な減量・中止に伴う離脱症状
にも注意が必要です。

この記事のポイント
ワイパックスは単に「よく効く抗不安薬」というだけではありません。
半減期約12時間、UGT2B7・UGT2B15によるグルクロン酸抱合が主代謝経路で、
CYP酸化への依存が小さい
という特徴があります。
さらに国内承認適応外ではありますが、
海外ではカタトニアの診断・治療で代表的に使用されるベンゾジアゼピン
という精神科領域で独特の位置づけを持っています。

ワイパックス(ロラゼパム)とは?

ロラゼパムは1970年代から使用されているベンゾジアゼピン系抗不安薬です。
国内では、神経症や一部の心身症に伴う
不安・緊張・抑うつなどに使用されます。

臨床的には比較的少量でも明瞭な抗不安作用を示すため、
比較的高力価のベンゾジアゼピンとして扱われます。
ただし「高力価=危険」「低力価=安全」という単純な関係ではありません。
使用量、服用頻度、使用期間、半減期、患者背景などをまとめて評価する必要があります。

一般名
ロラゼパム(Lorazepam)
代表的商品名
ワイパックス
薬効分類
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
国内承認適応

神経症における不安・緊張・抑うつ、
心身症(自律神経失調症・心臓神経症)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ
通常用量
成人1日1~3mgを2~3回に分けて経口投与
剤形
0.5mg錠・1.0mg錠
Tmax
約2時間
半減期
約12時間(未変化体)
主な代謝
UGT2B7・UGT2B15によるグルクロン酸抱合
規制区分
向精神薬・処方箋医薬品

ワイパックスの作用機序

ロラゼパムは、
脳内のGABAA受容体複合体に存在する
ベンゾジアゼピン結合部位
を介して作用します。

GABAは中枢神経系を代表する抑制性神経伝達物質です。
ロラゼパムはGABAそのものの代わりに受容体を刺激するのではなく、
GABAによる神経抑制を増強する
ポジティブ・アロステリック・モジュレーター
として働きます。

ワイパックス(ロラゼパム)の作用機序。GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位を介してGABA作用を増強する

ロラゼパムはGABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位を介して
GABAによる抑制性神経伝達を増強し、神経興奮を抑制します。

BZD結合部位へ作用

→

GABA作用を増強

→

Cl−流入を促進

→

神経興奮を抑制

「GABAに対する反応を強める薬」と考える

GABAA受容体は塩化物イオン(Cl−)チャネルを形成しています。
ロラゼパムがベンゾジアゼピン結合部位へ作用すると、
GABAによるチャネル開口作用が増強され、
神経細胞の興奮性が低下します。

その結果として、
抗不安、鎮静、催眠、筋弛緩、抗けいれん作用
などが現れます。


抗不安作用だけを選択的に起こす薬ではありません

GABA神経伝達を増強するという作用機序そのものから、
不安が軽減する一方で、
眠気、ふらつき、筋力低下、注意力低下なども起こり得ます。

したがって臨床では、
「不安が減ったか」だけでなく、
日中活動性、仕事、運転、転倒、認知機能への影響
まで含めて評価します。

薬物動態|半減期は約12時間

健康成人にロラゼパム1mgを経口投与した国内データでは、
血中濃度は約2時間で最高値となり、
未変化体の半減期は約12時間です。

Tmax
約2時間
1mg経口投与
半減期
約12時間
未変化体
蛋白結合率
約87%
外国人データ

一般には短時間型と長時間型の中間に位置する薬剤として扱われることが多く、
極端に半減期の短いベンゾジアゼピンではありません。

ただし、半減期と患者さんが感じる「効いている時間」は同じではありません。
不安の強さや服薬間隔によっては、
服用間の症状変動が問題となる場合もあります。

ワイパックス最大の薬物動態的特徴|グルクロン酸抱合

ロラゼパムの特徴として重要なのが、
CYP450による酸化代謝を主要経路とせず、
UGT2B7・UGT2B15によるグルクロン酸抱合を主な代謝経路とすること

です。

グルクロン酸抱合されたロラゼパムは、
主として尿中へ排泄されます。

ロラゼパム

→

UGT2B7 / UGT2B15

→

グルクロン酸抱合

→

主として尿中排泄

CYP3Aを主経路とする薬とは相互作用の性格が違う

例えば
アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)
などはCYP3Aを介する代謝の影響を受けます。

一方、ロラゼパムはグルクロン酸抱合が中心であるため、
CYP3A阻害薬・誘導薬による影響を強く受ける薬剤とは、
薬物相互作用のパターンが異なります。


「肝機能が悪くても安全」と考えるのは適切ではありません

ロラゼパムは酸化代謝への依存が小さいことから、
肝機能障害患者で選択肢となりやすい場面があります。

しかし国内電子添文では、
肝機能障害でも腎機能障害でも排泄が遅延するおそれ
があるとされています。
したがって「肝障害でも用量調整不要」「蓄積しない」と一律に説明するのは適切ではありません。

日本で承認されている効能・効果


国内承認適応

神経症における不安・緊張・抑うつ

心身症(自律神経失調症・心臓神経症)における
身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ

「神経症」は古い診断体系の用語ですが、
電子添文上は現在もこの表現で承認されています。
現在の精神科診療では、
パニック症、全般不安症、社交不安症など
を個別に診断し、
疾患ごとに長期的な治療方針を考えることが一般的です。


元資料にある「麻酔前投薬」はワイパックス錠の国内承認適応ではありません

海外のロラゼパム製剤には麻酔・鎮静領域で使用される製剤や適応がありますが、
国内のワイパックス錠0.5mg・1.0mgの承認適応は、
神経症・心身症に伴う症状です。

不安症ではどのように位置づける?

ロラゼパムは不安を比較的速やかに軽減するため、
強い不安・緊張がある時期には有用な選択肢となります。

一方、
不安症の治療をベンゾジアゼピンだけで長期間維持すると、
身体依存、離脱症状、眠気、転倒、認知・運動機能への影響などが問題になることがあります。

疾患によってはSSRIなどの薬物療法や、
認知行動療法(CBT)
などを組み合わせながら、
ベンゾジアゼピンをいつまで必要とするのか
を継続的に評価します。

当院では、
強迫症・不安症などの専門外来
においても、
薬物療法と心理療法を組み合わせた治療を検討しています。

精神科医が知っておきたい|カタトニアとロラゼパム

ロラゼパムには、
一般的な「抗不安薬」という枠だけでは説明できない重要な用途があります。
カタトニア(緊張病)です。

英国精神薬理学会(BAP)のカタトニア診療ガイドラインでは、
ベンゾジアゼピンとECTが主要な初期治療として位置づけられており、
ベンゾジアゼピンの中ではロラゼパムが一般に優先される薬剤
とされています。

診断が不明確な場合には、
ロラゼパム投与前後の症状変化を評価する
ロラゼパム・チャレンジも知られています。


カタトニアは国内承認適応外です

日本のワイパックス錠の承認適応にカタトニアは含まれていません。
また、海外で使用される静注・筋注製剤と、
国内の経口ワイパックス錠を同じ投与法として扱うこともできません。

執筆者の臨床的見解
ロラゼパムは「昔からある不安時の薬」としてだけ見ると、
この薬剤の特徴をかなり取りこぼします。
グルクロン酸抱合を中心とする代謝特性と、
カタトニアにおける長年の国際的な臨床経験
は、
他のベンゾジアゼピンと区別して理解しておく価値があります。

用法・用量


成人の通常用量

通常、成人ではロラゼパムとして
1日1~3mgを2~3回に分けて経口投与します。
年齢・症状によって適宜増減します。

実際の診療では、
年齢、身体疾患、併用薬、
眠気・ふらつき、使用期間、過去のベンゾジアゼピン使用歴などを踏まえて
用量を調整します。

頓服として処方されることもある

臨床では不安が強い場面に限定した頓服として処方されることがあります。

ただし、
「頓服=依存が起こらない」わけではありません。
処方上は頓服でも実際には毎日使用している場合には、
使用頻度・総量を確認する必要があります。


舌下投与を「より速く効かせる標準手法」とは説明しません

元資料では、舌下投与により初回通過効果を回避し、
より迅速に作用するとされています。
しかし国内ワイパックス錠の承認用法は経口投与であり、
パニック発作に対する舌下投与を標準的な服薬法として患者さんへ推奨する根拠は十分ではありません。

ワイパックス・デパス・アルプラゾラムの違い

同じベンゾジアゼピン受容体作動薬でも、
代謝経路や半減期、国内適応が異なります。

薬剤 半減期の目安 臨床的特徴
ロラゼパム
(ワイパックス)
約12時間 UGT2B7・UGT2B15によるグルクロン酸抱合が中心。
CYP酸化への依存が小さい。
海外ではカタトニア診療でも重要。

アルプラゾラム
(ソラナックス・コンスタン)
約14時間 主としてCYP3Aで代謝。
不安・心身症などに使用。
CYP3Aを介する薬物相互作用に注意。

エチゾラム
(デパス)
約6時間 比較的半減期が短い。
抗不安作用に加えて筋弛緩作用も臨床上意識しやすい。
整形外科領域にも国内適応を持つ。

抗不安薬は単純な「強さランキング」で選ぶものではありません。
半減期、代謝経路、服薬間隔、身体疾患、
併用薬、依存・離脱歴まで含めて選択します。

主な副作用

副作用 臨床上のポイント
眠気 比較的よくみられる副作用です。
仕事や日中活動への影響も確認します。
ふらつき・めまい 特に高齢者では転倒・骨折につながる可能性があります。
歩行失調 ベンゾジアゼピンによる運動機能への影響として注意します。
注意力・集中力低下 自動車運転や危険な機械操作に影響する可能性があります。
刺激興奮・錯乱 頻度は高くありませんが、重大な副作用として記載されています。
呼吸抑制 呼吸器疾患がある場合や、他の中枢神経抑制薬との併用時には特に注意します。
依存・離脱 連用後の急激な減量・中止で、不安、不眠、振戦、痙攣、せん妄、幻覚などが生じることがあります。

自動車運転について


服用中は自動車運転など危険を伴う機械操作を行わない

ロラゼパムでは眠気だけでなく、
注意力・集中力・反射運動能力の低下が起こる可能性があります。

国内電子添文でも、
本剤投与中の患者には
自動車運転など危険を伴う機械操作に従事させない
よう注意することとされています。

高齢者では特に転倒に注意

高齢者ではロラゼパムの作用が強く現れやすく、
運動失調などの副作用が生じやすいことから、
少量から慎重に開始します。

高齢者の治療評価では、
「不安が減った」「眠れるようになった」だけでなく、
歩行、転倒、食事、会話、日中活動性、
認知機能なども確認する必要があります。

精神科臨床で重要な評価
高齢者が「穏やかになった」ように見えても、
実際には過鎮静によって活動性が低下している可能性があります。
症状改善と過鎮静を区別することが重要です。

禁忌・特に注意が必要な方

禁忌

急性閉塞隅角緑内障の患者

重症筋無力症のある患者

慎重な評価が必要な状態

心障害、脳器質性障害、衰弱、
中等度または重篤な呼吸不全、
腎機能障害、肝機能障害などでは注意が必要です。

高齢者では少量から開始し、
運動失調や過鎮静を確認します。

アルコールとの併用


ワイパックス服用中の飲酒は避けることが基本です

アルコールとロラゼパムはいずれも中枢神経を抑制します。
併用すると眠気、注意力・集中力・反射運動能力の低下などが
増強する可能性があります。

「何時間空ければ安全」「ビール1杯なら大丈夫」といった
一律の安全量を設定することはできません。

主な薬物相互作用

薬剤・物質 主な注意点
アルコール・中枢神経抑制薬 眠気、注意力・反射運動能力低下などを増強する可能性
プレガバリン 認知機能・粗大運動機能への影響が相加的となる可能性
クロザピン 重度の循環虚脱などに注意
プロベネシド グルクロン酸抱合阻害によりロラゼパムの半減期が延長する可能性
バルプロ酸 グルクロン酸抱合阻害によりロラゼパムの半減期が延長する可能性
リファンピシン ロラゼパムの血中濃度が低下する可能性
経口避妊ステロイド UGT誘導によりロラゼパムの血中濃度が低下する可能性

ワイパックスと身体依存

ベンゾジアゼピンを連用すると、
脳が薬剤の存在する状態へ適応し、
身体依存が形成されることがあります。

これは、医師の指示どおり服用している患者さんにも起こり得ます。

反復服用

→

神経系が薬剤に適応

→

身体依存

→

急な中止で離脱症状


身体依存と依存症は同じではありません

用量を減らしたときに離脱症状が出るという身体依存だけで、
直ちに「薬物依存症」と診断するわけではありません。

ベンゾジアゼピン使用症では、
使用量をコントロールできない、
害が生じても使用を続けるなど、
身体依存とは別の特徴を評価します。

身体依存はどのくらいで起こる?

「何日服用すれば必ず依存する」という境界はありません。
個人差が大きいためです。

一方、2025年に公表されたベンゾジアゼピン減薬の共同ガイドラインでは、
身体依存は数週間以内にも形成され得る
とされています。

「1か月以内なら絶対に依存しない」とは言えません。
一方で、数日間の使用と数年間の毎日使用を
同じリスクとして説明することも適切ではありません。
用量、頻度、期間、半減期、過去の離脱歴などを総合的に考えます。

ワイパックスの離脱症状

連用後に急激に減量・中止すると、
次のような離脱症状がみられることがあります。

  • 不安・焦燥
  • 不眠
  • 振戦
  • 発汗
  • 頭痛
  • 刺激過敏
  • 知覚の変化
  • 痙攣発作
  • せん妄
  • 幻覚・妄想


長期連用後は自己判断で突然中止しないでください

特に高用量・長期使用例では、
急な中止による重篤な離脱症状が問題となる可能性があります。

安全な減薬|「何mgずつ」ではなく割合で考える

国内電子添文では、
連用後に中止する場合には
徐々に減量するよう記載されています。

ただし、
全患者に共通する「1週間ごとに0.5mg減らす」
といった固定プロトコルはありません。


2025年共同ガイドラインの一つの目安

初期の減量速度として、
現在量の5~10%程度を2~4週間ごと
に減量することが一般的な目安として提示されています。

また通常、
2週間で25%を超える急速な減量は避ける
ことが推奨されています。

これは絶対的な減薬速度ではありません。
低用量を短期間使用した患者ではより速く減らせる場合があります。

反対に、
高用量を長期間使用している患者や、
過去に強い離脱症状を経験した患者では、
5%程度の減量をさらに長い間隔で行う
こともあります。

離脱症状が強ければ減薬を止める・遅くする

減薬計画は予定どおり完遂すること自体が目的ではありません。

離脱症状が強くなった場合には、
一時的に減量を停止したり、
次の減量幅を小さくしたり、
減量間隔を延ばしたりします。

ジアゼパムなど長時間作用型への置換は「選択肢」

古くから、
短時間~中間型ベンゾジアゼピンを
ジアゼパムなどの長時間作用型へ置換してから減薬する方法が知られています。

2025年の共同ガイドラインでも、
禁忌がなければ長時間作用型ベンゾジアゼピンへの変更を検討してよい
とされています。


全例をジアゼパムへ置換する必要はありません

ロラゼパムのまま少量ずつ減量できる患者も多く、
長時間作用型への置換は必須ではありません。

また、ジアゼパムやクロナゼパムは肝代謝や活性代謝物の影響を受けるため、
高齢者や高度肝障害患者では置換がかえって不利になる場合
があります。

離脱症状と不安症の再燃を区別する

減薬中に不安が増えた場合、
すべてを「元の病気が悪化した」と判断すると、
ベンゾジアゼピンを再増量し続ける原因になります。

状態 考え方
離脱症状 減量後比較的近い時期に出現し、
不安だけでなく不眠、振戦、発汗、知覚過敏などを伴うことがあります。
反跳性不安 治療前より一時的に強い不安が出現することがあります。
原疾患の再燃 パニック症や全般不安症など、
もともとの疾患経過として症状が再び強くなる状態です。

実際にはこれらが重なっている場合もあり、
経過をみながら判断します。

減薬時には心理療法を組み合わせることも重要

ベンゾジアゼピンを減らす際には、
薬だけを減らして不安への対処手段を奪うのではなく、
原疾患そのものへの治療を並行します。

2025年の共同ガイドラインでも、
減薬時の補助的介入として
CBTやCBT-Iなどの心理療法
が推奨されています。

当院では
認知行動療法(CBT)
などを、
症状や治療目標に応じて組み合わせています。

よくある質問


ワイパックスは強い薬ですか?

少量で抗不安作用を示すことから、
比較的高力価のベンゾジアゼピンと考えられています。
ただし「強い薬=悪い薬」ではありません。
適切な用量と期間で使用することが重要です。


ワイパックスはすぐ効きますか?

抗不安作用は比較的速やかに得られる薬剤です。
一方、血中濃度の最高値は健康成人で約2時間後であり、
全員が服用直後に最大効果を感じるわけではありません。


ワイパックスを舌下に入れると早く効きますか?

国内ワイパックス錠の承認用法は経口投与です。
舌下投与をパニック発作時の標準的な方法として
自己判断で行うことは推奨しません。


肝臓が悪い人にはワイパックスが安全ですか?

CYP酸化ではなくグルクロン酸抱合が主代謝経路であるため、
他の一部のベンゾジアゼピンより選択しやすい場面があります。
一方、国内電子添文では肝機能障害患者で排泄遅延のおそれが記載されており、
「肝機能障害でも安全」と一律には言えません。


何週間飲むと依存しますか?

明確な境界はありません。
身体依存は数週間以内にも形成される可能性がありますが、
用量、使用頻度、期間、患者背景によって大きく異なります。


減薬するならデパスやジアゼパムに変更した方がいいですか?

必ずしも必要ではありません。
ロラゼパムのまま少量ずつ減量できる患者もいます。
長時間作用型への変更は、
服薬間離脱、使用量、肝機能、年齢などを考慮して個別に判断します。

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まとめ

ワイパックス(ロラゼパム)は、
GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位を介して
GABAによる抑制性神経伝達を増強する抗不安薬
です。

国内では神経症・心身症に伴う不安や緊張などに使用され、
通常成人では1日1~3mgを2~3回に分けて服用します。
半減期は約12時間です。

薬理学的には、
UGT2B7・UGT2B15によるグルクロン酸抱合が主代謝経路
であることが大きな特徴です。
CYP酸化を主要経路とする一部のベンゾジアゼピンとは、
薬物相互作用や患者背景を考えた際の位置づけが異なります。

また国内承認適応外ですが、
海外ではカタトニアの診断・治療における
代表的なベンゾジアゼピンとして長い臨床経験があります。

一方、連用による身体依存や離脱症状には注意が必要です。
長期間使用している場合には急に中止せず、
患者さんごとの症状に応じてゆっくり減量すること
が重要です。

抗不安薬は、不安を一時的に抑えることだけを目的とするのではなく、
必要に応じて
認知行動療法
や原疾患に対する長期治療を組み合わせながら、
使用を継続する利益とリスクを定期的に見直します。

執筆者

執筆者 清水聖童

ライトメンタルクリニック 渋谷本院 院長

清水聖童 (Seido Shimizu)

精神保健指定医 /
日本精神神経学会認定専門医 /
認知症サポート医 /
コンサータ処方登録医

引用・参考文献

・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA). ワイパックス錠0.5/ワイパックス錠1.0 電子添文.

・ファイザー株式会社. ワイパックス錠0.5/ワイパックス錠1.0 医薬品インタビューフォーム.

・Rogers JP, Oldham MA, Fricchione G, et al. Evidence-based consensus guidelines for the management of catatonia: Recommendations from the British Association for Psychopharmacology. J Psychopharmacol. 2023;37(4):327-369.

・Brunner E, Chen CYA, Klein T, et al. Joint Clinical Practice Guideline on Benzodiazepine Tapering: Considerations When Risks Outweigh Benefits. J Gen Intern Med. 2025.

・井上猛, 桑原斉, 酒井隆, 鈴木映二, 水上勝義, 宮田久嗣, 諸川由実代, 吉尾隆, 渡邉博幸 編. こころの治療薬ハンドブック 第16版. 星和書店; 2026.

・樋口輝彦, 市川宏伸, 神庭重信, 朝田隆, 中込和幸 編. 今日の精神疾患治療指針 第2版. 医学書院; 2016.

・姫井昭男. 精神科の薬がわかる本 第5版. 医学書院; 2024.

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