メンタルヘルスコラム

【精神科専門医解説】レキサルティ(ブレクスピプラゾール)の効果・副作用|うつ病・統合失調症・認知症での使い方

  • 更新日:2026.09.28
  • 公開日:2026.09.28

はじめに

レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)は、
ドパミンとセロトニンの働きを調節する第二世代抗精神病薬です。

日本では
統合失調症に加えて、
うつ病・うつ状態で
抗うつ薬による治療だけでは十分な改善が得られない場合の追加療法、
さらにアルツハイマー型認知症に伴う焦燥感・易刺激性・興奮に起因する
過活動または攻撃的言動にも使用されます。

同じドパミンD2受容体部分アゴニストである
アリピプラゾール(エビリファイ)と似た特徴を持ちますが、
D2受容体を刺激する程度やセロトニン受容体への作用には違いがあります。

強い鎮静をかけるタイプの抗精神病薬ではなく、
興奮や焦燥を抑えながら、日中の活動性をできるだけ保ちたい場面
で選択肢になりやすい薬剤です。

レキサルティのポイント

  • D2・D3受容体に部分アゴニストとして作用
  • 5-HT1A受容体にも部分アゴニストとして作用
  • 5-HT2A受容体ではアンタゴニストとして作用
  • 統合失調症では通常1mgから開始し2mg/日へ増量
  • 抗うつ薬で効果不十分なうつ病では1~2mg/日を追加
  • アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションにも国内承認
  • 半減期が長く1日1回で使用できる

レキサルティ(ブレクスピプラゾール)とは?

レキサルティは、
ブレクスピプラゾールを有効成分とする第二世代抗精神病薬です。

従来型の抗精神病薬のように
ドパミンD2受容体を強く遮断するだけではなく、
D2受容体に対して部分アゴニストとして作用します。

さらに、
セロトニン5-HT1A受容体への部分アゴニスト作用、
5-HT2A受容体へのアンタゴニスト作用などを併せ持つことから、
Serotonin-Dopamine Activity Modulator(SDAM)
と表現されます。

一般名
ブレクスピプラゾール
代表商品名
レキサルティ
薬効分類
第二世代抗精神病薬/セロトニン・ドパミン・アクティビティ・モジュレーター
国内承認適応
統合失調症/既存治療で十分な効果が認められないうつ病・うつ状態/
アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感・易刺激性・興奮に起因する過活動または攻撃的言動
主な規格
0.5mg/1mg/2mg
半減期
反復投与時 約70~90時間

作用機序|ドパミンとセロトニンを調節する

レキサルティ(ブレクスピプラゾール)の作用機序

レキサルティの中心となる薬理作用は、

D2受容体への部分アゴニスト作用、
5-HT1A受容体への部分アゴニスト作用、
5-HT2A受容体へのアンタゴニスト作用

です。

受容体 作用 臨床的な意味
D2・D3 部分アゴニスト ドパミン作用を完全に遮断せず調節する
5-HT1A 部分アゴニスト 気分・不安・情動調節への関与が考えられる
5-HT2A アンタゴニスト 抗精神病作用や運動系副作用との関連が考えられる
α1B・α2C アンタゴニスト 覚醒・情動・ノルアドレナリン系への関与が考えられる

D2受容体を「完全に遮断しない」

ドパミンD2受容体部分アゴニストは、
D2受容体を完全に遮断する抗精神病薬とは異なる作用を示します。

ドパミン神経伝達が過剰な状況ではその影響を抑える方向へ働きながら、
D2受容体への一定の刺激作用を残します。

この性質により、
幻覚や妄想などの精神病症状を治療しながら、
過剰なドパミン遮断による錐体外路症状、
高プロラクチン血症、感情の平板化などを
できるだけ避けることが期待されます。

5-HT7受容体への作用

ブレクスピプラゾールは、
5-HT7受容体にも親和性を持つことが知られています。

5-HT7受容体は、
認知機能、睡眠、気分調節などとの関連が研究されているため、
ブレクスピプラゾールの情動・認知面への作用に関与している可能性があります。

認知機能改善作用が確立しているわけではありません

5-HT7受容体への作用から認知機能への効果が研究されていますが、
人において「5-HT7遮断によって認知機能が改善する」ことが
臨床的に確立しているわけではありません。

エビリファイとの違い

レキサルティとアリピプラゾール(エビリファイ)は、
いずれもD2受容体部分アゴニスト系の抗精神病薬です。

大きな薬理学的な違いとして、
D2受容体に対する固有活性(intrinsic activity)
が挙げられます。

ブレクスピプラゾールは、
アリピプラゾールと比較するとD2受容体での固有活性が低く、
一方で5-HT1A、5-HT2A、α1B受容体などへの親和性が比較的高い
という特徴があります。

特徴 レキサルティ エビリファイ
D2部分アゴニスト作用 固有活性は比較的低い 固有活性は比較的高い
5-HT1A・5-HT2A 比較的高い親和性 作用あり
アカシジア 起こり得る 起こり得る
強い鎮静 通常は目立ちにくい 通常は目立ちにくい
体重増加 注意が必要 注意が必要

執筆者の臨床的見解|少し「静穏側」の部分アゴニスト

精神科臨床では、
アリピプラゾールで
「落ち着かない」「じっとしていられない」
「少し頭が冴えすぎる」と感じる患者さんで、
レキサルティのほうが使用しやすいことがあります。

一方で、
オランザピンやクエチアピンのように
眠気を利用して強く鎮静する薬でもありません。

私自身は、

適度に精神症状や焦燥を抑えながら、
日中の意欲・活動性をできるだけ落としたくない場合

に使いやすさを感じることがあります。

ただし、
アリピプラゾールとの直接比較で
レキサルティのアカシジアが明確に少ないことが
一貫して証明されているわけではありません。

統合失調症への効果

統合失調症では、
幻覚、妄想、まとまりにくい思考などの症状を改善し、
症状が安定した後の維持療法にも使用されます。

国内では、
通常1mgを1日1回から開始し、
4日以上の間隔をあけて
2mgを1日1回へ増量します。

陰性症状・意欲低下には効く?

統合失調症では、
幻覚や妄想だけでなく、
意欲低下、引きこもり、感情表出の低下などの
陰性症状が社会生活に大きな影響を与えます。

ブレクスピプラゾールについては、
陰性症状や社会機能への改善を示唆する研究があります。

ただし、

一次性陰性症状だけを特異的に改善する治療薬として
確立しているわけではありません。

実際には、
抑うつ、強い鎮静、錐体外路症状などによって生じる
二次性の意欲低下を減らすことも重要です。

執筆者の臨床的見解|維持期で活動性を残したい時に使いやすい

レキサルティの利点は、
「陰性症状を強力に改善する」というより、

治療によって患者さんの活動性を必要以上に落としにくい

ことにあると考えています。

症状が安定してきた後に、
通学、仕事、外出、人との交流などへ戻っていくことを考えると、
抗精神病作用だけでなく
日中の眠気や意欲への影響も薬剤選択では重要です。

うつ病への追加療法

レキサルティは、
うつ病に対して
単独で使用する抗うつ薬ではありません。

SSRIやSNRIなどの抗うつ薬を適切に使用しても
十分な改善が得られない場合に、
抗うつ薬へ追加する増強療法(augmentation)
として使用します。

日本人を対象としたBLESS試験

日本人の大うつ病性障害患者を対象としたBLESS試験では、
SSRIまたはSNRIによる治療で十分な改善が得られなかった患者に対して、
レキサルティ1mgまたは2mgを6週間追加しました。

1mg 2mg プラセボ
MADRS変化量 −8.5 −8.2 −6.7
プラセボとの差 −1.7 −1.4 ―
アカシジア 6.0% 24.4% 1.2%
体重増加 7.2% 7.7% 2.5%

1mg、2mgのいずれもプラセボと比較して
抑うつ症状の有意な改善が認められました。

一方、
2mgではアカシジアが増加しており、
用量を増やせばその分だけ治療効果が高くなるとは限りません。

執筆者の臨床的見解|うつ病では1mgを一つの完成用量として考える

うつ病に使用する場合、
私はレキサルティ1mgを
単なる「増量途中の用量」とは考えていません。

国内試験では1mgでも有効性が認められており、
2mgへ増量しても平均的な抗うつ効果が大きく増えたわけではありません。

一方、
アカシジアは2mgでかなり増えています。

そのため、

まず1mgで十分な期間評価し、
本当に追加の効果が必要で、
かつ忍容性に問題がない場合に2mgを検討する

という使い方を重視しています。

どのような残存症状で検討する?

抗うつ薬によって抑うつ気分はある程度改善したものの、
次のような症状が残る場合にaugmentationを検討することがあります。

  • 意欲が戻らない
  • 興味や楽しさが戻らない
  • 反芻思考が続く
  • 不安や焦燥が残る
  • 社会生活への復帰が進まない

ただし、
治療抵抗性にみえるうつ状態では、
双極症、
ADHD、睡眠障害、身体疾患、物質使用などが
背景に存在していないかを再評価することも重要です。

双極うつに使うことはある?

双極症の抑うつエピソードは国内承認適応ではありません

レキサルティの国内承認適応に
双極症の抑うつエピソードは含まれていません。

双極うつに対する使用は適応外使用となり、
大うつ病性障害に対するaugmentationほど
有効性・安全性のエビデンスが確立しているわけではありません。

小規模ながら双極うつを対象とした研究がある

2019年には、
双極症の抑うつエピソードを有する成人21例を対象とした
8週間のオープンラベル・パイロット試験が報告されています。

ブレクスピプラゾールは最大4mg/日まで使用され、
4週および8週時点で
MADRSなどの抑うつ評価尺度がベースラインから改善し、
QOL指標についても改善が認められました。

また、この小規模試験では
YMRSで評価された躁症状の有意な悪化は認められませんでした。

ただし、エビデンスとしてはまだ予備的です

この研究は21例という小規模な試験で、
プラセボ対照群もありません。

したがって、
観察された改善がすべてブレクスピプラゾールによるものか、
躁転リスクが十分に低いのか、
標準治療より優れているのかを判断することはできません。

現在の主要な双極症治療ガイドラインでも、
ブレクスピプラゾールは
双極うつの標準的な第一選択薬には位置づけられていません。

躁状態への有効性は確立していない

ブレクスピプラゾールは部分アゴニスト系抗精神病薬ですが、
そのことだけで
「双極症の躁とうつの両方に有効」と考えることはできません。

双極I型障害の急性躁病を対象とした
2本のランダム化プラセボ対照試験では、
いずれも主要評価項目で
プラセボに対する統計学的有意差を示しませんでした。

したがって、
双極うつに適応外使用する場合も、

十分な抗躁作用が保証されている薬として扱うべきではありません。

執筆者の個人的見解|双極うつで使うことはある

国内適応外ではありますが、
私自身は双極症の抑うつエピソードに対して
レキサルティを使用することがあります。

特に、
ラツーダ(ルラシドン)、
ラミクタール(ラモトリギン)、
リーマス(炭酸リチウム)
など標準的な選択肢を検討したうえで、
抑うつ症状や意欲低下が残る場合の選択肢として考えることがあります。

個人的には、

「強い鎮静を加えずに、抑うつ・意欲低下へ少し作用を足したい」

という場面で薬理学的な相性のよさを感じることがあります。

また、
単極性うつ病として治療していた患者さんで、
抗うつ薬による焦燥、易刺激性、不眠、気分変動が目立ち、
双極スペクトラムを疑う場面では、
抗うつ薬をさらに増量するよりも
治療方針そのものを見直す必要があります。

そのような症例でレキサルティを選択することはありますが、
現在のエビデンスから
「双極うつに確立した治療」と説明することはできません。

また、急性躁病への有効性が確立していないため、
躁転リスクが高い症例、
混合性の特徴が強い症例、
過去に重い躁病を繰り返している症例では、
リチウムや
バルプロ酸などを含め、
気分安定化全体の設計を優先します。

アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション

レキサルティは、
アルツハイマー型認知症に伴う
焦燥感、易刺激性、興奮に起因する
過活動または攻撃的言動にも使用できます。

日本人を対象とした第II/III相試験では、
10週間の治療によるCMAI合計スコアについて、
プラセボとの差は
1mgで−3.7点、2mgで−7.2点であり、
いずれも統計学的に有意でした。

認知症そのものを治療する薬ではありません

レキサルティは、
アルツハイマー病の進行を抑える疾患修飾薬ではありません。

対象となるのは、
認知症に伴って生じる
強い焦燥、易刺激性、興奮、
過活動や攻撃的な言動です。

薬を始める前に原因を探す

認知症患者さんの興奮や攻撃性は、
認知症そのものだけで生じるとは限りません。

痛み、便秘、尿路感染症、睡眠障害、
脱水、薬剤の副作用、環境変化、
本人に合わない介護方法などが原因となっている場合があります。

まずこれらを評価し、
環境調整やコミュニケーション方法の工夫などの
非薬物的介入を行うことが基本です。

高齢者では転倒・誤嚥などにも注意

高齢者では、
傾眠、歩行障害、錐体外路症状、
転倒、嚥下機能低下などが
日常生活へ大きな影響を与える可能性があります。

抗精神病薬を認知症患者へ使用する際には、
死亡リスクについても含め、
治療による利益とリスクを慎重に評価します。

用法・用量

適応 開始量 その後
統合失調症 1mg/日 4日以上あけて2mg/日へ
うつ病・うつ状態 1mg/日 効果不十分かつ忍容性に問題がなければ2mg/日を検討
ADアジテーション 0.5mg/日 1週間以上あけ1mgへ。
必要に応じさらに1週間以上あけ2mgまで

半減期が長い薬

ブレクスピプラゾールは、
反復投与時の消失半減期がおよそ
70~90時間と長い薬です。

そのため、
飲んだ直後に血中濃度が大きく上下する薬ではなく、
1日1回で使用できます。

一方で、
増量した場合も血中濃度が新しい状態へ落ち着くまでには時間がかかります。

執筆者の臨床的見解|増量を急ぎすぎない

半減期が長いため、
数日の反応だけを見て次々と増量する薬ではないと考えています。

効果だけでなく、
アカシジア、眠気、食欲、体重なども
少し時間をかけて評価するほうが安全です。

主な副作用

アカシジア

レキサルティで特に注意したい副作用の一つが、
アカシジア(静坐不能)です。

「じっとしていられない」
「脚を動かしていたくなる」
「身体の内側から落ち着かない」
といった症状が特徴です。

患者さん自身は、
「不安が増えた」
「焦る」
「イライラする」
と表現することもあります。

不安やうつ病の悪化と間違えないことが重要です

アカシジアを原疾患の焦燥や不安の悪化と判断し、
さらに増量すると症状が悪化することがあります。

新たな落ち着かなさが増量後に出現した場合には、
アカシジアの可能性も評価します。

エビリファイよりアカシジアは少ない?

ブレクスピプラゾールは、
アリピプラゾールよりD2受容体の固有活性が低いため、
薬理学的には賦活が穏やかである可能性があります。

しかし、
日本人のうつ病患者を対象とした比較研究を統合した解析では、
ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの間に
アカシジアを含む主要なアウトカムの明確な差は認められていません。

したがって、

「レキサルティならアカシジアが起こらない」
とは考えないことが重要です。

体重増加・代謝系への影響

レキサルティは、
オランザピンなど一部の抗精神病薬と比較すると
代謝系への影響が比較的小さい薬剤ですが、
体重増加がないわけではありません。

国内うつ病試験でも、
体重増加は1mg群7.2%、2mg群7.7%に認められました。

長期使用では、
体重、BMI、血糖、HbA1c、脂質などを
患者さんのリスクに応じて確認します。

眠気

強い鎮静を特徴とする抗精神病薬ではありませんが、
患者さんによっては眠気や傾眠が出現します。

特に高齢者では、
わずかな眠気でも転倒や日中活動性の低下につながる可能性があるため注意します。

重大な副作用

頻度は高くありませんが、
悪性症候群、遅発性ジスキネジア、
高血糖、横紋筋融解症、痙攣、
肺塞栓症・深部静脈血栓症などにも注意が必要です。

薬物相互作用|CYP2D6とCYP3A4

ブレクスピプラゾールは、
主としてCYP2D6とCYP3A4によって代謝されます。

そのため、
これらの代謝酵素を強く阻害する薬を併用すると
血中濃度が上昇することがあります。

代表例 影響
パロキセチン CYP2D6阻害により血中濃度が上昇する可能性
イトラコナゾール等 CYP3A4阻害により血中濃度が上昇する可能性
リファンピシン等 CYP3A4誘導により血中濃度が低下する可能性

CYP2D6の代謝能や複数の阻害薬の併用によっても
必要な用量調節が異なるため、
実際の処方では添付文書に基づいて判断します。

精神科臨床での位置づけ

執筆者の個人的見解

レキサルティは、
強い鎮静で症状を押さえ込むタイプの抗精神病薬ではありません。

私自身は、

「精神症状や焦燥は抑えたいが、
眠気や意欲低下はできるだけ増やしたくない」

という場面で価値のある薬だと考えています。

逆に、
急性期の激しい興奮や不眠があり、
まず十分な鎮静そのものが治療上必要な場合には、
より鎮静作用のある抗精神病薬のほうが扱いやすいことがあります。

統合失調症の維持期、
抗うつ薬で改善しきらないうつ病、
そして標準治療で十分でない一部の双極うつなど、

「落ち着かせること」と「活動性を残すこと」の両立を狙いたい場面

で検討する薬という印象があります。

ただし、
疾患ごとにエビデンスの強さは大きく異なります。

統合失調症、うつ病augmentation、アルツハイマー型認知症のアジテーションには
国内承認がありますが、
双極うつへの使用は現在も適応外であり、
同じレベルのエビデンスがあるわけではありません。

よくある質問

レキサルティを飲むと眠くなりますか?

眠気が出ることはありますが、
強い眠気を主作用とする抗精神病薬ではありません。
一方で患者さんによってはアカシジアや不眠が出ることもあります。

処方されたら統合失調症ということですか?

いいえ。
日本では統合失調症以外にも、
抗うつ薬で十分な改善が得られないうつ病への追加療法や、
アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションにも承認されています。

意欲低下にも効きますか?

意欲を直接的に高める薬として承認されているわけではありません。
ただし、うつ病の残存症状や統合失調症の陰性症状が改善する患者さんもいます。

また、
強い鎮静やドパミン遮断をできるだけ避けることで、
結果として日中の活動性を保ちやすくなる場合があります。

双極性障害にも使いますか?

双極症の抑うつエピソードは国内承認適応ではありません。
小規模な臨床研究では抑うつ症状改善を示唆する結果がありますが、
現時点ではエビデンスは限定的です。

標準的な双極うつ治療で十分な改善が得られない場合などに、
医師が利益とリスクを検討したうえで
適応外使用することがあります。

エビリファイより副作用が少ないですか?

薬理作用には違いがありますが、
どちらがすべての患者さんで副作用が少ないとはいえません。
レキサルティでもアカシジアや体重増加などは起こり得ます。

太りにくい薬ですか?

一部の抗精神病薬と比較すると体重・代謝への影響は比較的小さいものの、
体重増加は実際に認められています。

飲み忘れたらすぐ効かなくなりますか?

半減期が長いため、
1回の飲み忘れだけで血中濃度が急激にゼロになる薬ではありません。
ただし、自己判断で中断せず処方医の指示に従ってください。

まとめ

レキサルティ(ブレクスピプラゾール)は、
D2・D3受容体、5-HT1A受容体への部分アゴニスト作用と、
5-HT2A受容体などへのアンタゴニスト作用を持つ
第二世代抗精神病薬です。

日本では、

統合失調症、
抗うつ薬で十分な改善が得られないうつ病・うつ状態への追加療法、
アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション

に使用されます。

アリピプラゾールと同じ部分アゴニスト系ですが、
D2受容体での固有活性が比較的低く、
セロトニン受容体への作用にも違いがあります。

臨床的には、

過度に鎮静せず、
精神症状を安定させながら活動性をできるだけ残したい場合

に使いやすい薬剤です。

一方、
アカシジアや体重増加は実際に起こり得るため、
特にうつ病で2mgへ増量する場合には副作用とのバランスを確認します。

双極うつに対しても小規模な臨床研究はありますが、
現在の国内承認適応ではなく、
標準治療と同等のエビデンスが確立しているわけではありません。

レキサルティは、
「新しく副作用が少ない薬」と単純に捉えるより、

症状をどの程度抑え、
日常生活に必要な活動性をどの程度残したいか

を考えながら使い分けることが重要な薬剤です。

執筆者
清水聖童

医療法人社団燈心会 理事長/ライトメンタルクリニック 渋谷本院 院長

清水聖童(Seido Shimizu)

精神保健指定医 /
日本精神神経学会認定精神科専門医 /
認知症サポート医 /
コンサータ・ビバンセ登録医

引用・参考文献

  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA).
    レキサルティOD錠0.5mg・1mg・2mg 電子添文.
  • 大塚製薬株式会社.
    レキサルティ 医薬品インタビューフォーム.
  • Ishigooka J, et al.
    Adjunctive brexpiprazole 1 mg and 2 mg daily for Japanese patients
    with major depressive disorder following inadequate response to antidepressants:
    a phase 2/3, randomized, double-blind (BLESS) study.
    Psychiatry Clin Neurosci. 2023.
  • Kishi T, Sakuma K, Saito T, et al.
    Comparison of brexpiprazole, aripiprazole, and placebo for Japanese major depressive disorder:
    A systematic review and network meta-analysis.
    Neuropsychopharmacol Rep. 2024;44:165-175.
  • Brown ES, Khaleghi N, Van Enkevort E, et al.
    A pilot study of brexpiprazole for bipolar depression.
    J Affect Disord. 2019;249:315-318.
  • Vieta E, et al.
    Two randomized, double-blind, placebo-controlled trials and one open-label,
    long-term trial of brexpiprazole for the acute treatment of bipolar mania.
    J Psychopharmacol. 2021.
  • Keramatian K, Chithra NK, Yatham LN.
    The CANMAT and ISBD Guidelines for the Treatment of Bipolar Disorder:
    Summary and a 2023 Update of Evidence.
    Focus. 2023;21:344-353.
  • Fleischhacker WW, Hobart M, Ouyang J, et al.
    Efficacy and Safety of Brexpiprazole as Maintenance Treatment in Adults with Schizophrenia:
    A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study.
    Int J Neuropsychopharmacol. 2017;20:11-21.
  • Nakamura Y, et al.
    Brexpiprazole treatment for agitation in Alzheimer’s dementia:
    A randomized study.
    Alzheimers Dement. 2024.
  • Lee D, Slomkowski M, Hefting N, et al.
    Brexpiprazole for the Treatment of Agitation in Alzheimer Dementia:
    A Randomized Clinical Trial.
    JAMA Neurol. 2023;80:1307-1316.
  • Maeda K, Sugino H, Akazawa H, et al.
    Brexpiprazole I:
    in vitro and in vivo characterization of a novel serotonin-dopamine activity modulator.
    J Pharmacol Exp Ther. 2014;350:589-604.
  • 井上猛, 桑原斉, 酒井隆, 鈴木映二, 水上勝義, 宮田久嗣,
    諸川由実代, 吉尾隆, 渡邉博幸 編.
    こころの治療薬ハンドブック 第16版.
    星和書店; 2026.
  • 樋口輝彦, 市川宏伸, 神庭重信, 朝田隆, 中込和幸 編.
    今日の精神疾患治療指針 第2版.
    医学書院; 2016.
  • 姫井昭男.
    精神科の薬がわかる本 第5版.
    医学書院; 2024.
上部へスクロール