精神科の検査について

DSRS-C(バールソン児童用抑うつ性尺度)とは|子どものうつ症状・15点のカットオフ・結果の見方

  • 更新日:2026.10.06
  • 公開日:2026.10.06

はじめに

DSRS-C(Depression Self-Rating Scale for Children:バールソン児童用抑うつ性尺度)は、
子ども本人が最近の気分や生活の状態について回答し、抑うつ症状の程度を把握するための自己記入式心理検査です。
全18項目と比較的短く、小学生・中学生にも実施しやすいため、児童・思春期の抑うつ症状を早期に把握するためのスクリーニング尺度として、医療・心理・教育領域で用いられています。

DSRS-Cは「うつ病かどうかを点数だけで診断する検査」ではありません。
総得点だけでなく、どのような症状が強いのか、学校や家庭で何が起きているのか、以前と比べてどう変化したのか、本人と周囲の認識にずれがないかまで含めて評価することが重要です。

DSRS-Cとは?子どもの「内側のつらさ」を本人から聞く検査

子どもの抑うつ状態は、大人と同じように「悲しい」「落ち込んでいる」と言葉で表現されるとは限りません。
イライラする、朝起きられない、学校へ行きたがらない、友達と遊ばなくなる、勉強に集中できない、頭痛や腹痛を訴えるなど、
一見すると気分の問題とは分かりにくい変化として現れることがあります。

さらに、子どもは自分の感情を整理して長い言葉で説明することが難しい場合があります。
周囲には普通に振る舞っていても、本人の内面では強い自己否定感や楽しさの低下、疲労感を抱えていることもあります。

DSRS-Cは、そのような周囲から観察するだけでは分かりにくい「本人の主観的な抑うつ症状」を質問紙によって整理する検査です。

正式名称
DSRS-C バールソン児童用抑うつ性尺度
英語名
Depression Self-Rating Scale for Children
原版
P. Birleson(1981)
日本版構成
村田豊久・神本亜紀・森陽二郎・竹田祥子
対象
主として小学生・中学生
項目数
18項目
回答形式
本人による自己記入式・3件法
評価期間
最近1週間
得点範囲
0~36点
実施時間
約10分

DSRS-Cの検査原理

DSRS-Cでは、子ども自身が最近1週間の気分や行動について振り返り、
18項目の質問に回答します。
回答を一定のルールで得点化することで、本人が感じている抑うつ症状の程度を数値として整理します。

DSRS-Cで子どもの内面を自己評価し、抑うつ症状を尺度化して診察・環境情報と統合する検査原理
DSRS-Cは本人の自己評価を数値化し、診察や保護者・学校からの情報と組み合わせて解釈します。
01
最近1週間の自分を振り返る

気分、楽しさ、活動性、自己評価などについて、子ども自身が最近の状態を振り返ります。

02
18項目に3段階で回答する

それぞれの質問について、自分の状態に最も近い選択肢を選びます。

03
抑うつ症状の程度を得点化する

採点方向の異なる項目を所定の方法で処理し、0~36点の総得点として整理します。

04
診察・生活情報と統合して解釈する

検査結果だけで診断せず、本人との面接、保護者からの情報、学校生活、発達歴、身体状態などと組み合わせて評価します。

DSRS-Cでは何を評価する?

DSRS-Cは、単に「悲しいかどうか」だけを見る検査ではありません。
児童・思春期の抑うつに関連する複数の心理的・行動的側面を質問紙から捉えます。

抑うつ気分

悲しさ、気分の落ち込み、情緒的なつらさなどを捉えます。

楽しみの低下

以前なら楽しめていた活動を楽しめない、興味がわきにくいといった変化を捉えます。

活動性の低下

何かを始めることがおっくうになる、日常生活の活動量が低下するといった状態をみます。

自己評価の低下

自分に対する否定的な見方や、自信の低下などが反映される場合があります。

将来への見方

これから先に対する期待や希望が保たれているかも重要な情報になります。

生活・身体面

睡眠、食事、疲れやすさ、身体的不調など、気分と関連する生活上の変化も含まれます。

日本語版については因子分析も行われており、
「抑うつ気分」と「活動性および楽しみの減退」など、複数の側面から理解する研究があります。
ただし、DSRS-Cは下位尺度ごとに診断をつける検査ではありません。
総得点、個々の回答パターン、臨床面接を組み合わせて読むことが基本です。

18項目・3件法|採点はどのように行う?

DSRS-Cでは、最近1週間について3段階で回答します。
抑うつ症状が強いほど高得点になる方向で採点され、総得点は0~36点です。

一方、すべての項目が同じ方向に採点されるわけではありません。
肯定的な内容を尋ねる項目などには採点方向を反転させる項目が含まれているため、
単純に回答欄の数字をそのまま足せばよいわけではありません。

検査問題そのものは本ページには掲載していません。
DSRS-Cは標準化された心理検査です。実際の設問・採点方法については、正規の検査用紙・実施手引に従って実施します。

DSRS-Cのカットオフ値|15点以上をどう考える?

日本の小学生・中学生2,453名を対象とした研究では、
15点を抑うつリスクを捉えるためのカットオフとして用いた場合、
14.9%がその基準を上回りました。

得点 基本的な捉え方 臨床上の注意
0~14点 15点という研究上のカットオフ未満 「問題なし」を意味しません。個別症状や生活への支障、安全性を別に評価します。
15点以上 抑うつ症状が強い可能性を考える目安 うつ病と確定せず、診察による詳細評価につなげます。
15点以上=うつ病、ではありません。
カットオフは「ここから上は病気、下は健康」と人を二分する境界線ではなく、
さらに詳しく状態を確認する必要性を考えるためのスクリーニング上の目安です。

同様に、14点だから安全で15点だから急に重症になるわけではありません。
得点がカットオフ付近であっても、急速な悪化、著しい不登校、自傷、死についての強い訴えなどがあれば、
点数とは別に詳しい評価が必要です。

DSRS-Cだけで「うつ病」と診断できない理由

DSRS-Cで測定されるのは、主として本人が最近感じている抑うつ症状です。
同じような得点であっても、その背景は一人ひとり異なります。

うつ病

抑うつ気分や興味・喜びの低下などが持続し、学校・家庭生活に明らかな支障を生じている可能性があります。

適応反応・環境ストレス

いじめ、友人関係、受験、家庭環境などへの反応として一時的に抑うつ症状が強くなる場合があります。

不安症

強い不安や緊張、回避の結果として、活動性や意欲が低下していることがあります。

神経発達症

ADHDやASDなどの特性と環境とのミスマッチや失敗体験が重なり、二次的に抑うつ症状が生じることがあります。

双極症

現在は抑うつ状態でも、過去に躁状態・軽躁状態が存在していれば診断や治療方針が変わります。

睡眠・身体疾患など

睡眠不足、概日リズムの乱れ、身体疾患、薬剤などでも疲労感や集中力低下が生じるため鑑別が必要です。

したがって精神科診療では、得点だけでなく、
症状の持続期間、生活機能、発症前後の出来事、発達歴、家族歴、身体状態、躁・軽躁症状、自傷・希死念慮
などを確認して総合的に判断します。

子どものうつは「悲しそう」に見えるとは限らない

児童・思春期の抑うつ状態では、成人でイメージされやすい静かな落ち込みだけでなく、
イライラや不機嫌、行動の変化、身体症状が前面に出ることがあります。

周囲から見える変化 背景として確認したいこと
イライラする・怒りっぽくなった 抑うつ、不安、睡眠不足、対人ストレス、神経発達特性など
朝起きられない 睡眠リズム、抑うつ、身体疾患、学校への心理的負担など
学校へ行きたくない 気分症状、不安、いじめ、学習上の困難、対人関係など
成績が下がった 集中力低下、意欲低下、睡眠不足、発達・学習上の問題など
友達と遊ばなくなった 興味・喜びの低下、疲労、対人不安、孤立など
頭痛・腹痛が増えた 身体疾患を除外したうえで、ストレスや気分との関連も確認
ゲームや動画ばかりになった 他の活動を楽しめなくなっていないか、現実生活からの回避がないかを確認
専門医の個人的見解
「以前できていたことをしなくなった」という変化は、単なる怠慢として片づけない方がよいと考えています。
一方で、朝起きられない、不登校、ゲーム時間が長いといった一つの行動だけから
「これはうつ病だ」と逆方向に決めつけるのも適切ではありません。
重要なのは、その子の以前の状態から何が変化したのかを見ることです。

総得点より優先して確認すべきこと|自傷・希死念慮

DSRS-Cが低得点でも、自傷や希死念慮が否定できるわけではありません。

DSRS-Cには、生命や将来に対する否定的な認知に関連する内容も含まれています。
そのような回答がみられた場合、合計得点が15点未満であっても、
安全性評価を総得点とは独立して行う必要があります。

実際の診察では、必要に応じて現在の希死念慮、自傷行為、
具体的な計画や切迫性、過去の自殺企図、衝動性、家庭での見守り状況、
本人を支えている人や場所などを確認します。

また、自傷や自殺については本人が保護者の前では話しにくいことがあります。
そのため児童・思春期の診療では、発達段階や安全性を考慮しながら、
必要に応じて本人だけで話せる機会を設けることにも意味があります。

緊急性がある場合は心理検査の結果を待つ必要はありません。
現在の自殺企図、具体的な自殺計画、急速な状態悪化など安全上の懸念が強い場合には、
DSRS-Cの点数にかかわらず速やかな医療評価が優先されます。

精神科医はDSRS-Cをどう読む?

DSRS-Cを臨床的に活用する場合、「15点を超えたか」だけでは情報の大部分を捨ててしまいます。
精神科診療では、少なくとも次の視点を組み合わせて評価します。

01
総得点を見る

現在の抑うつ症状を量的に把握し、詳細評価が必要かを考える手がかりにします。

02
どの項目が変化しているかを見る

気分、楽しさ、自己評価、生活面など、どの領域に問題が集中しているかを確認します。

03
生活機能と照合する

学校への参加、学習、友人関係、家庭生活、睡眠、セルフケアなど、実際の生活への影響を確認します。

04
本人と周囲の認識差を見る

本人、保護者、学校などの評価が一致する部分と一致しない部分を整理します。

05
時間軸で見る

いつから変化したのか、何をきっかけに悪化・改善するのか、治療や環境調整後にどう変化したのかを確認します。

専門医の個人的見解|「点数」より「変化量」と「ずれ」が面白い
DSRS-Cで私が特に重視したいのは、一回の総得点そのものよりも、
①本人の以前の状態からの変化、②本人と保護者・学校との認識差、③生活機能とのずれです。
例えば、学校では問題なく振る舞っているのに本人だけが高得点の場合、
外から見える適応を維持するために相当な負荷を抱えている可能性があります。
逆に保護者の心配が非常に強いのに本人の得点が低い場合は、
抑うつ以外の問題、本人の症状認識、回答姿勢などを考え直す契機になります。
DSRS-Cは「診断を自動化する検査」というより、
診察で何を詳しく聞くべきかを教えてくれる検査として使う方が臨床的価値が高いと考えています。

本人と保護者の評価が違うとき

DSRS-Cは本人が回答する自己評価尺度です。
そのため「親から見ると元気そう」「学校では普通に過ごしている」という情報と、
本人のDSRS-Cの結果が一致しないことがあります。

本人はつらいが、周囲には元気に見える

周囲に合わせて頑張っている、学校ではつらさを見せない、帰宅すると急に疲れが出るなど、
外から見えにくい苦痛が存在する可能性があります。

周囲は心配しているが本人の得点は低い

本人が問題を自覚していない、回答を控えている、抑うつ以外の問題が中心であるなど複数の可能性を考えます。

どちらか一方を「正しい」と決めるのではなく、
なぜ評価がずれているのかを考えることが心理アセスメントでは重要です。

発達障害とDSRS-C|二次的な抑うつにも注意

ASDやADHDなどの神経発達特性がある子どもでは、
学習環境や集団生活とのミスマッチ、叱責経験、友人関係の失敗などが積み重なり、
二次的に自己評価の低下や抑うつ症状が生じることがあります。

一方で、発達障害があるからといって、抑うつ症状をすべて「二次障害」として説明できるわけではありません。
神経発達症とうつ病が併存することもあるため、それぞれを評価する必要があります。

トラウマや逆境体験との関係

虐待、いじめ、喪失体験、家庭内の強い葛藤などの逆境体験がある子どもでは、
抑うつ、不安、過覚醒、回避、解離、睡眠障害など複数の症状が混在することがあります。
その結果、DSRS-Cが高値になることも考えられます。

ただし、DSRS-Cが高いこと自体からトラウマの存在を推定することはできません。
トラウマ歴を確認する必要がある場合は、本人の安全性に配慮した面接や、
必要に応じた別の評価を組み合わせます。

専門医の個人的見解
症状が特定の場所・人物・出来事を契機として大きく変動する場合には、
単純に「うつ症状がある」という横断的な評価だけではなく、
何が症状を引き起こし、何が症状を維持しているのかという時間軸を確認する価値があります。
一方で、トラウマ理論だけですべての抑うつ症状を説明してしまうのも危険です。
うつ病、双極症、神経発達症、睡眠障害、身体疾患などを含めた通常の鑑別診断を省略すべきではありません。

DSRS-Cと他の心理検査を組み合わせる意味

DSRS-Cだけですべてを調べることはできません。
診察上の疑問に応じて、他の質問紙・面接・心理検査を組み合わせることがあります。

評価方法 主に分かること DSRS-Cとの違い
臨床面接 症状、経過、生活背景、安全性、鑑別診断 診断の中心。DSRS-Cを解釈する前提になります。
CBCL 保護者から見た情緒・行動上の問題 本人ではなく周囲からの評価を得られます。
SDQ 情緒、行動、多動、仲間関係など より広い子どもの心理・行動特性を捉えます。
WISC-V 認知能力の特徴・得意不得意 抑うつ尺度ではなく、認知プロフィールを評価します。
PARS-TR ASDに関連する発達歴・現在の特徴 養育者への面接を中心とした発達評価です。
すべての検査を一律に行う必要はありません。
「何を明らかにしたいのか」という診断上・支援上の疑問に合わせて検査を選択することが重要です。
専門医の個人的見解|心理検査は「多ければ多いほど良い」とは限りません
検査を増やすほど情報は増えますが、本人の負担も増えます。
DSRS-C高値というだけでWISC-V、PARS-TR、各種質問紙を一律に追加するより、
発達歴を知りたいのか、認知特性を知りたいのか、家庭と本人の評価差を確認したいのかを先に整理し、
その問いに答えられる検査を選ぶ方が合理的です。

DSRS-Cを学校・家庭の支援にどう活かす?

DSRS-Cの目的は、点数を測って終わることではありません。
本人が実際に困っている場合には、診察結果と合わせて学校・家庭での環境調整を検討します。

場面 検討できる配慮の例 目的
課題・宿題 一時的な量の調整、優先順位を絞る 処理すべき課題を減らし回復を妨げない
登校 遅刻・早退・別室利用・部分登校などを個別に検討 登校か欠席かの二択にしない
試験・学習 体調に応じた受験方法や日程を相談 一時的な集中力・活動性低下への対応
休養 塾・習い事・家庭内役割を見直す 過剰な負担を減らし睡眠・休養を確保する
学校環境 刺激の少ない場所や相談できる担当者を決める 本人が逃げ場を持てる状態を作る
コミュニケーション 人前での叱責や強い叱咤激励を避ける 自己否定や孤立を強めない

ただし、DSRS-Cで15点以上だったから上記すべての配慮が必要になるわけではありません。
本人の症状と実際の生活上の困難に合わせて個別に調整します。

保護者が受検時に気をつけたいこと

DSRS-Cは子ども本人の主観を知るための検査です。
保護者が回答を誘導すると、検査本来の意味が弱くなります。

「正解はない」と伝える

学校のテストではなく、今の自分に一番近い答えを選べばよいことを伝えます。

回答を覗き込みすぎない

周囲の大人の反応を気にすると、本来の気持ちとは違う回答を選ぶ可能性があります。

回答を否定しない

「そんなことないでしょう」と訂正すると、その後の回答や相談を控えるようになる可能性があります。

安全性には例外がある

プライバシーは重要ですが、自傷・自殺など安全上重大な情報については必要な大人や医療者との共有が必要になる場合があります。

「怠けている」に見えるときの考え方

抑うつ状態では、活動を始めることが難しくなり、
着替え、入浴、登校、宿題など、以前なら行えていた日常行動に時間がかかる場合があります。

そのときに「気合が足りない」「みんな頑張っている」と繰り返しても、
症状そのものが改善するとは限りません。
まず何が起きているのかを確認することが重要です。

避けたい対応 代わりに考えたい対応
「いつまで怠けているの」 「最近、前よりしんどそうだけど何が一番つらい?」
「気持ちの持ちようだよ」 つらさを否定せず、睡眠・学校・友人関係など具体的に確認する
「とにかく学校へ行きなさい」 登校困難の背景を確認し、必要なら学校と負荷調整を相談する
「ゲームできるなら元気でしょう」 ゲーム以外の活動が以前と比べてどう変化したかを見る
専門医の個人的見解
「ゲームはできるのだから、うつではない」という判断はかなり危険だと考えています。
負荷の高い学校活動や対人交流は困難でも、
受動的・即時的な報酬を得やすい活動だけは可能ということがあります。
ただし反対に、ゲーム時間が長いこと自体を「うつの証拠」と考えることもできません。
何ができる・できないではなく、以前と比較して活動の幅がどう変化したかを見る方が有用です。

DSRS-Cを繰り返して治療効果をみることはできる?

DSRS-Cは、初回評価だけでなく、治療や環境調整後の変化をみるために繰り返し用いることもできます。

例えば、初回より総得点が低下した、楽しさに関連する回答が改善した、
学校生活が回復したなどの情報を組み合わせることで、
本人の主観的な変化を把握しやすくなります。

「何点下がれば治った」という単純な基準はありません。
DSRS-Cには、すべての臨床状況に適用できる確立した最小臨床的重要差があるわけではありません。
点数の変化は、本人の生活機能や面接所見と合わせて判断します。

当院でのDSRS-Cの活用

ライトメンタルクリニックでは、子どもの気分の落ち込み、イライラ、
登校困難、意欲低下、睡眠の問題などについて診察を行い、
必要に応じてDSRS-Cを含む心理評価を組み合わせます。

01
医師による診察

現在の症状、いつから変化したか、学校・家庭での様子、睡眠、身体状態、発達歴などを確認します。

02
必要に応じてDSRS-Cを実施

子ども本人に最近1週間の状態について回答してもらいます。

03
検査結果と診察を統合

得点だけでなく、回答内容、本人の話、保護者からの情報、生活への影響などを総合します。

04
必要な支援を検討

経過観察、環境調整、心理療法、学校との連携、必要に応じた薬物療法などから方針を考えます。

DSRS-Cについてよくある質問

DSRS-Cが15点以上ならうつ病ですか?

いいえ。15点以上は抑うつ症状が強い可能性を考え、詳しい評価を行うための目安です。
うつ病の確定診断には、症状の種類・期間・生活への影響・経過・鑑別診断などを含む診察が必要です。

14点以下なら問題ありませんか?

そうとは限りません。カットオフ未満でも臨床的に重要な症状が存在することがあります。
特に自傷、希死念慮、著しい生活機能低下などがある場合には、総得点にかかわらず評価が必要です。

保護者が代わりに回答できますか?

DSRS-Cは本人の主観を評価する自己記入式尺度です。
保護者の情報も非常に重要ですが、本人の回答を保護者が代わりに記入するものではありません。

小学校低学年でもできますか?

DSRS-Cは小学生・中学生を対象としており、小学校低学年にも適用可能とされています。
ただし、文章理解や発達段階には個人差があるため、実施可能性は個別に判断します。

DSRS-Cが高いと薬を飲むことになりますか?

いいえ。DSRS-C高値だけで薬物療法の適応が決まるわけではありません。
診断、重症度、生活機能、安全性、本人・家族の希望などを踏まえて治療方針を考えます。

不登校ならDSRS-Cを受けた方がよいですか?

不登校の背景は、抑うつ、不安、発達特性、いじめ、学習上の困難、家庭環境などさまざまです。
抑うつ症状が疑われる場合にはDSRS-Cが役立つことがありますが、不登校そのものを診断する検査ではありません。

何度も受けてもよいですか?

経過観察のために繰り返し使用することは可能です。
ただし、点数だけを追うのではなく、生活や症状が実際にどう変化したかをあわせて確認します。

DSRS-Cだけで自殺リスクを判断できますか?

できません。自殺リスクは本人への直接的な面接、自傷・自殺企図歴、現在の意図や計画、環境、安全を支える要因などを含めて評価します。

まとめ|DSRS-Cは「点数をつける検査」より「子どもの内面を聞く入口」

DSRS-Cは、子ども本人が最近1週間の状態について18項目に回答し、
抑うつ症状の程度を0~36点で整理する自己記入式心理検査です。

日本では15点が抑うつリスクを捉える一つのカットオフとして研究で用いられていますが、
15点以上だからうつ病、14点以下だから問題なし、と判断することはできません。

臨床では、総得点に加えて個々の回答、以前からの変化、学校や家庭での生活機能、本人と周囲の認識差、発達歴、自傷・希死念慮などを組み合わせて評価します。

特に子どもの抑うつは、悲しさだけでなく、イライラ、不登校、身体症状、活動性低下などとして現れることがあります。
「怠け」「反抗」と決めつけず、その子に何が起きているのかを整理することが重要です。

DSRS-Cの本質的な価値は、診断名を自動的に決めることではなく、
子ども自身が感じている苦痛を可視化し、診察・治療・家庭や学校での支援につなげることにあります。

執筆者

執筆・医学監修
執筆・医学監修 清水聖童
医療法人社団燈心会 理事長/ライトメンタルクリニック 渋谷本院 院長
清水 聖童(Seido Shimizu)
精神保健指定医/日本精神神経学会認定精神科専門医/認知症サポート医/コンサータ・ビバンセ登録医

引用・参考文献

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