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カベルゴリン(カバサール)の効果・作用機序・副作用・注意点を徹底解説

  • 更新日:2026.09.17
  • 公開日:2026.09.17

はじめに

カベルゴリン(商品名:カバサール)は、ドパミンD2受容体を刺激する長時間作用型のドパミンアゴニストです。
乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、プロラクチノーマ(高プロラクチン血性下垂体腺腫)のほか、パーキンソン病や産褥性乳汁分泌抑制などに使用されます。
精神科では、抗精神病薬によって生じる高プロラクチン血症を考えるうえでも重要な薬剤です。一方、麦角系ドパミンアゴニストであるため、心臓弁膜症や線維症、幻覚・妄想、衝動制御障害など、特徴的な副作用にも注意が必要です。

この記事では、カベルゴリンの作用機序、効果、飲み方、副作用に加え、抗精神病薬による高プロラクチン血症との関係や心臓弁膜症のリスクについて詳しく解説します。

この記事のポイント

  • カベルゴリンは、ドパミンD2受容体を持続的に刺激する麦角系ドパミンアゴニスト
  • 下垂体前葉のD2受容体を刺激し、プロラクチン分泌を強く抑える
  • 作用時間が長く、乳汁漏出症や高プロラクチン血性排卵障害などでは通常週1回投与する
  • 抗精神病薬による高プロラクチン血症に使用を検討する場合は、精神症状悪化とのバランスを考える必要がある
  • 長期投与では心臓弁膜症や線維症に注意し、定期的な心エコー検査が必要

カベルゴリン(カバサール)とは?

カベルゴリンは、脳や下垂体に存在するドパミンD2受容体を直接刺激する薬剤です。ドパミン受容体を刺激することから「ドパミンアゴニスト」と呼ばれます。

一般名カベルゴリン(Cabergoline)
有効成分カベルゴリン
商品名カバサール錠0.25mg/1.0mg
薬効分類ドパミン作動薬
薬理学的分類麦角系ドパミンD2受容体作動薬
主な効能・効果パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫、産褥性乳汁分泌抑制など
半減期約43時間
主な代謝主として肝代謝(CYP3A4が関与)

カベルゴリンの半減期

国内の薬物動態試験では、健康成人男性にカベルゴリン2mgを単回投与した際の血中半減期は約43時間とされています。

作用が長く続くことが特徴約43時間という半減期は投与後24時間までの測定値から算出された値ですが、カベルゴリンは薬理作用が長時間持続する薬剤です。この特徴により、乳汁漏出症や高プロラクチン血性排卵障害などでは通常週1回の服用で治療できます。

カベルゴリンの作用機序

カベルゴリン(カバサール)の作用機序|D2受容体刺激によるプロラクチン分泌抑制
カベルゴリンは下垂体前葉のドパミンD2受容体を刺激し、プロラクチン分泌を抑制します。

下垂体前葉のD2受容体を刺激する

プロラクチンは下垂体前葉から分泌されるホルモンです。通常、視床下部から分泌されるドパミンが下垂体前葉のD2受容体を刺激し、プロラクチン分泌に持続的なブレーキをかけています。

カベルゴリンはドパミンと同様にD2受容体を刺激することで、このブレーキ作用を強め、プロラクチン分泌を抑えます。

カベルゴリン

下垂体前葉のD2受容体を刺激

プロラクチン分泌を抑制

月経異常・排卵障害・乳汁分泌などの改善

抗精神病薬とは反対方向に作用する

リスペリドン、パリペリドン、スルピリドなどの抗精神病薬では、下垂体のD2受容体が遮断されることでプロラクチン分泌のブレーキが外れ、高プロラクチン血症が生じることがあります。

抗精神病薬によるD2受容体遮断

ドパミンによる抑制が低下

プロラクチン上昇

これに対してカベルゴリンはD2受容体を刺激するため、薬理学的には抗精神病薬と反対方向に作用します。

プロラクチノーマでは腫瘍縮小も期待できる

プロラクチノーマは、プロラクチンを過剰に産生する下垂体腺腫です。ドパミンアゴニストは血清プロラクチン値を低下させるだけでなく、腺腫の縮小も期待できます。国際的なコンセンサスでも、カベルゴリンは作用時間が長く、有効性と忍容性に優れることからプロラクチノーマ治療における主要なドパミンアゴニストとして位置づけられています。

パーキンソン病では線条体のD2受容体を刺激する

パーキンソン病では、黒質から線条体へ投射するドパミン神経の機能が低下します。カベルゴリンは黒質線条体系のD2受容体を直接刺激することでドパミン作用を補い、動作緩慢、筋強剛、振戦などの運動症状を改善します。

カベルゴリンはどのような病気に使われる?

乳汁漏出症・高プロラクチン血性排卵障害

プロラクチンが過剰になると、月経不順や無月経、排卵障害、不妊、乳汁分泌などが生じることがあります。カベルゴリンによってプロラクチン分泌を抑えることで、これらの症状の改善が期待できます。

高プロラクチン血性下垂体腺腫

日本では、外科的処置を必要としない高プロラクチン血性下垂体腺腫に対して承認されています。プロラクチン値を下げるとともに、腺腫の縮小を目指します。

産褥性乳汁分泌抑制

出産後に医学的な理由などから乳汁分泌を抑える必要がある場合にも使用されます。通常は1mgを1回のみ服用します。

生殖補助医療に伴うOHSSの発症抑制

カバサール錠0.25mgには、生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症抑制という適応もあります。OHSSの発症リスクが高いと判断された場合に、不妊治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで使用されます。

パーキンソン病

カベルゴリンはパーキンソン病にも使用されますが、現在の位置づけには注意が必要です。

パーキンソン病では第一選択として使用する薬ではありません国内電子添文では、非麦角系ドパミンアゴニストで十分な治療効果が得られない、または忍容性に問題がある患者に使用することとされています。これは麦角系ドパミンアゴニストで心臓弁膜症や線維症の報告が多いことが背景にあります。

精神科で重要な「抗精神病薬による高プロラクチン血症」

精神科診療では、カベルゴリンそのものの承認適応だけでなく、抗精神病薬による高プロラクチン血症との関係を理解しておくことが重要です。

抗精神病薬による高プロラクチン血症では、無月経や月経異常、乳汁分泌、性欲低下、勃起障害などが生じることがあります。長期間持続する場合には、性腺機能への影響も考慮する必要があります。

カベルゴリンは単純な「向精神薬の副作用止め」ではありません日本の電子添文では、「抗精神病薬による高プロラクチン血症」そのものはカベルゴリンの承認効能として明記されていません。また、抗精神病薬がD2受容体を遮断するのに対し、カベルゴリンはD2受容体を刺激するため、抗精神病作用を弱めたり、幻覚・妄想などの精神症状を悪化させたりする可能性があります。

まず原因となった抗精神病薬の調整を検討する

抗精神病薬による高プロラクチン血症が問題となった場合には、症状や精神状態を踏まえながら、一般に次のような対応を検討します。

  • 原因となっている抗精神病薬を減量できないか検討する
  • プロラクチンへの影響が比較的小さい抗精神病薬へ変更できないか検討する
  • 必要に応じてアリピプラゾールの追加などを検討する
  • これらの対応が難しい場合に、ドパミンアゴニストを含む他の選択肢を個別に検討する

カベルゴリンにはプロラクチンを低下させる作用がありますが、精神疾患の再燃リスクとのバランスを考える必要があります。特に統合失調症などの精神病性障害がある場合には、慎重な判断が必要です。

カベルゴリンの飲み方・用量

カベルゴリンは、使用する目的によって「毎日」「週1回」「1回のみ」など服用方法が大きく異なります。

適応 標準的な用法・用量 服用のポイント
乳汁漏出症・高プロラクチン血性排卵障害・高プロラクチン血性下垂体腺腫 1回0.25mgから開始し、少なくとも2週間以上あけて0.25mgずつ増量。標準維持量0.25~0.75mg 週1回、同一曜日の就寝前。1回量の上限は1.0mg
パーキンソン病 0.25mg/日から開始。2週目0.5mg/日、その後1週間ごとに0.5mg/日ずつ増量 1日1回朝食後。最高3mg/日
産褥性乳汁分泌抑制 1.0mgを1回のみ服用 胎児娩出後、食後に単回投与
OHSS発症抑制 0.5mgを1日1回、7~8日間 最終的な卵胞成熟の誘発日または採卵日から就寝前に服用
適応によって服用スケジュールが大きく異なります
乳汁漏出症や高プロラクチン血性排卵障害などでは週1回ですが、パーキンソン病では毎日服用します。自己判断で服用回数を変更しないことが重要です。

カベルゴリンの主な副作用

吐き気・胃部不快感

ドパミンアゴニストでは、服用開始時に悪心、嘔吐、胃部不快感、食欲低下などの消化器症状がみられることがあります。少量から開始し、状態を確認しながら増量します。

めまい・立ちくらみ・血圧低下

血圧低下や起立性低血圧によって、立ち上がった際のめまいや立ちくらみが生じることがあります。服用開始直後や増量時には特に注意します。

眠気・突発的睡眠

強い眠気だけでなく、前兆なく突然眠り込む「突発的睡眠」が報告されています。自動車の運転、機械操作、高所作業など危険を伴う作業には注意が必要です。

幻覚・妄想などの精神症状

カベルゴリンはドパミン受容体を刺激するため、幻覚、妄想、せん妄、錯乱などの精神症状が現れることがあります。パーキンソン病患者を対象とした国内臨床試験では、幻覚5.5%、妄想1.8%が報告されています。

精神病またはその既往がある場合は特に注意国内電子添文では、精神病またはその既往歴がある患者では、ドパミン受容体刺激作用によって統合失調症の幻覚・妄想などを悪化させる可能性があるとされています。

衝動制御障害

ドパミンアゴニストでは、次のような衝動制御障害が生じることがあります。

  • 病的賭博
  • 病的な性欲亢進
  • 強迫的な買い物
  • 暴食

本人が変化を自覚しにくい場合もあるため、家族や周囲からの情報も重要です。

【重要】心臓弁膜症と線維症

カベルゴリンを安全に使用するうえで特に重要なのが、麦角系ドパミンアゴニストに関連する心臓弁膜症と線維症です。

カベルゴリンはドパミンD2受容体だけでなく、セロトニン5-HT2B受容体に対する刺激作用を有し、この作用が心臓弁の線維化に関与すると考えられています。

長期投与では定期的な心エコー検査が必要ですパーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫に対して長期投与する場合、国内電子添文では心臓弁膜症を確認するため定期的な検査が求められています。

投与開始前:心エコーで弁膜症の有無を確認

開始後3~6か月以内:心エコー

以後:少なくとも6~12か月ごとに心エコー

心雑音、息切れ、浮腫、胸痛などが現れた場合には、予定された検査時期を待たずに評価が必要です。

肺・胸膜・後腹膜などの線維症

重大な副作用として、胸膜炎、胸水、胸膜線維症、肺線維症、心膜炎、心嚢液貯留、後腹膜線維症なども報告されています。長期服用中に原因のはっきりしない息苦しさ、胸痛、浮腫、背部痛などが生じた場合には注意が必要です。

カベルゴリンを使用するときの注意点

心臓弁膜症がある場合

心エコー検査などによって心臓弁尖肥厚、弁可動制限、これらに伴う狭窄などの心臓弁膜の病変が確認されている患者では禁忌です。

精神病またはその既往がある場合

幻覚や妄想などを悪化させる可能性があるため、精神状態を十分に評価しながら慎重に使用します。

低血圧がある場合

カベルゴリンには血圧を低下させる作用があり、低血圧症の患者では症状が強くなる可能性があります。

高度の肝機能障害がある場合

カベルゴリンは主として肝臓で代謝されます。高度の肝機能障害では薬剤への曝露量が増加することがあるため注意が必要です。

カベルゴリンの相互作用

薬剤 注意する理由
ドパミン拮抗薬
クロルプロマジン、ハロペリドール、メトクロプラミドなど
ドパミン受容体で反対方向に作用するため、互いの作用を弱める可能性があります。
降圧薬 血圧低下作用が強くなる可能性があります。
クラリスロマイシン CYP3A4を阻害し、カベルゴリンの代謝を抑えて副作用を増強する可能性があります。

パーキンソン病では急に中止しない

パーキンソン病治療中のカベルゴリンを急激に減量または中止すると、まれに悪性症候群を起こすことがあります。

急激な減量・中止を避ける高熱、強い筋強剛、意識障害、不随意運動、CK上昇などを伴う悪性症候群のほか、ドパミンアゴニストの急な減量・中止によって、無感情、不安、抑うつ、疲労感、発汗、疼痛などを特徴とするドパミンアゴニスト離脱症候群が生じることがあります。中止が必要な場合は原則として慎重に漸減します。

よくある質問

カベルゴリンは週1回飲む薬ですか?

適応によって異なります。乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫では通常週1回ですが、パーキンソン病では1日1回服用します。産褥性乳汁分泌抑制では通常1回のみです。

抗精神病薬による高プロラクチン血症にも使いますか?

カベルゴリンにはプロラクチンを低下させる作用があり、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症に対する使用が検討されることがあります。ただし、日本ではこの病態自体が承認効能として明記されているわけではありません。また、ドパミン刺激によって精神症状を悪化させる可能性があるため、まず原因薬の減量・変更やアリピプラゾール追加などを検討し、必要性を個別に判断します。

なぜ心エコー検査が必要なのですか?

カベルゴリンは麦角系ドパミンアゴニストであり、長期投与によって心臓弁膜症が生じる可能性があるためです。長期投与では投与前、開始後3~6か月以内、その後少なくとも6~12か月ごとに心エコー検査を行います。

カベルゴリンを急にやめても大丈夫ですか?

特にパーキンソン病に対して使用している場合、急激な減量・中止は避けます。悪性症候群やドパミンアゴニスト離脱症候群が生じる可能性があるため、主治医の指示に従って慎重に減量します。

まとめ

カベルゴリン(カバサール)は、ドパミンD2受容体を持続的に刺激する長時間作用型の麦角系ドパミンアゴニストです。

下垂体前葉のD2受容体を刺激することでプロラクチン分泌を抑え、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、プロラクチノーマなどの治療に使用されます。精神科では抗精神病薬による高プロラクチン血症との関係も重要ですが、抗精神病薬と薬理作用が反対方向であるため、単純な「副作用止め」として使用する薬ではありません。

また、麦角系ドパミンアゴニストに特徴的な心臓弁膜症・線維症のほか、幻覚・妄想、突発的睡眠、衝動制御障害などにも注意が必要です。長期投与では定期的な心エコー検査を行い、効果と安全性を確認しながら治療を継続することが重要です。

執筆者
執筆者プロフィール

ライトメンタルクリニック 渋谷院 院長

清水聖童 (Seido Shimizu)

精神保健指定医 / 日本精神神経学会認定専門医 / 認知症サポート医 / コンサータ処方登録医

引用・参考文献

・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA).カバサール錠0.25mg/カバサール錠1.0mg電子添文.2023年7月改訂(第3版).
・ファイザー株式会社.カバサール錠0.25mg/カバサール錠1.0mg医薬品インタビューフォーム.2026年7月改訂(第17版).
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA).カバサール錠0.25mg/カバサール錠1.0mg患者向医薬品ガイド.2024年8月更新.
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・井上猛, 桑原斉, 酒井隆, 鈴木映二, 水上勝義, 宮田久嗣, 諸川由実代, 吉尾隆, 渡邉博幸 編. こころの治療薬ハンドブック 第16版. 星和書店; 2026.
・樋口輝彦, 市川宏伸, 神庭重信, 朝田隆, 中込和幸 編. 今日の精神疾患治療指針 第2版. 医学書院; 2016.
・姫井昭男. 精神科の薬がわかる本 第5版. 医学書院; 2024.

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