精神科の検査について

新版TEG3(東大式エゴグラム)とは|5つの自我状態・波形パターン・結果の見方を精神科専門医が解説

  • 更新日:2026.10.06
  • 公開日:2026.10.06

はじめに

新版TEG3(東大式エゴグラム)は、
日常の考え方・感情・行動についての質問に回答し、
CP・NP・A・FC・ACという5つの「自我状態」のバランスから、
性格傾向や対人関係で繰り返しやすいパターンを整理する心理検査です。

「人に合わせすぎて疲れる」
「失敗すると必要以上に自分を責める」
「頭では理解できるのに感情がついてこない」
「本当は断りたいのに断れない」など、
普段は漠然としている自分の反応のクセを
プロフィールとして可視化できることが特徴です。

TEG3は「あなたは○○型の人間です」と性格を固定する検査ではありません。「どの反応を使いやすいか」
「どの反応を使いすぎているか」
「状況に応じて、どの反応を増やせると生活しやすくなるか」
を考えるための地図として利用する方が有用です。

また、TEG3単独でうつ病、ASD、ADHD、
パーソナリティ障害などを診断することはできません。
当院では、検査結果を現在の症状、生育歴、生活環境、対人関係、
診察所見や必要に応じた他の心理検査と組み合わせて解釈します。

新版TEG3(東大式エゴグラム)とは

TEGはTokyo University Egogramの略称で、
日本語では東大式エゴグラムと呼ばれます。

理論的背景にあるのは、
精神科医Eric Berne(エリック・バーン)が提唱した
交流分析(Transactional Analysis:TA)です。

交流分析では、人の思考・感情・行動を
Parent(親)、Adult(大人)、Child(子ども)という
「自我状態」から理解します。

その後、John M. Dusayは、
自我状態の相対的な働きをグラフとして表現する
エゴグラムを提唱しました。

日本ではこの考え方をもとに、
東京大学医学部心療内科を中心としてTEGが開発されました。
現在使用されている新版TEG3では、
質問項目の見直しと再標準化が行われています。

TEG3は交流分析そのものではなく、標準化された心理検査です交流分析を理論的背景としながら、
日本人のデータを用いてCP・NP・A・FC・ACを数量化し、
プロフィールとして整理する自己記入式心理検査です。

TEG3の基本情報

正式名称 新版TEG3 東大式エゴグラム
英語名 Tokyo University Egogram-New Ver.3
検査分類 質問紙法による性格・人格検査
理論的背景 交流分析(Transactional Analysis)
対象 16歳以上
質問数 53項目
回答方法 「はい」「どちらでもない」「いいえ」の3件法
回答時間 約10分
主要尺度 CP・NP・A・FC・AC
回答態度 L尺度・Q尺度も含めて解釈します

TEG3はどのような仕組みで性格傾向を整理する?

TEG3では、日常生活での考え方、感情表現、
対人関係、判断、行動などについて質問に回答します。

その回答からCP・NP・A・FC・ACという5尺度を算出し、
標準化された基準と比較してプロフィールを作成します。

新版TEG3で質問への回答からCP・NP・A・FC・ACを評価し、自己理解や支援につなげる流れ
新版TEG3では、質問への回答を5つの自我状態として整理し、
その相対的なバランスを自己理解や支援に活用します。

「自我状態」や「心理的エネルギー」は心理学上のモデルです

CP・NP・A・FC・ACという領域が、
脳内に独立した5つの器官として存在するわけではありません。
また、エゴグラムで使われる「心理的エネルギー」という表現も、
神経活動や生物学的エネルギーを直接測定したものではありません。

5つの自我状態|CP・NP・A・FC・ACとは

TEG3を理解するうえで中心となるのが、
5つの自我状態です。

尺度 主な機能 高い場合の強み 過剰な場合に考えること
CP
Critical Parent
規範、責任、信念、倫理、批判、自己統制 責任感、規律、リーダーシップ、
高い基準を持って物事を遂行する力
完璧主義、厳しい自己批判、
他人への批判、「~すべき」の増加
NP
Nurturing Parent
共感、養育、受容、思いやり、援助 共感力、温かさ、
他者を安心させたり支えたりする力
過保護、過干渉、
世話のしすぎ、自己犠牲
A
Adult
事実確認、論理、客観性、現実判断 冷静な分析、計画、
問題解決、意思決定
感情より分析を優先しすぎる、
周囲から冷たく見える可能性
FC
Free Child
自発性、好奇心、創造性、感情表現 活気、楽しむ力、
自己表現、発想力
衝動性、自己中心性、
見通しの不足
AC
Adapted Child
適応、協調、我慢、周囲への配慮 協調性、礼儀、
相手に合わせる力
遠慮、自己抑制、
他者評価への過敏さ、過剰適応
どの自我状態にも「適応的な使い方」と「使いすぎ」があります。TEG3では「高いほど良い」「低いほど悪い」とは考えません。
状況に応じて複数の反応を使い分けられることの方が重要です。

臨床では5尺度をどのように読む?

当院では、TEG3を単純な性格診断としてではなく、
おおむね次の4段階で考えることが重要だと考えています。

① 回答は解釈可能かまずL尺度・Q尺度や受検時の状況を確認します。
回答の妥当性に問題がある場合には、細かなプロフィール解釈を控えます。
② 何を使いやすいか高い尺度と低い尺度を確認し、
普段どのような反応を最初に選びやすいのかを考えます。
③ 尺度同士の関係を見るCP単独、AC単独ではなく、
CPとAC、NPとFCなどの相対的な配置を確認します。
④ 現実の生活と照合する仕事、家庭、恋愛、友人関係などで、
検査から考えた特徴が実際に再現されているかを確認します。

執筆者の個人的見解|得点そのものより「生活の中で再現されるか」を重視します

心理検査の数字だけでは、その人の人生は説明できません。
TEG3から得られた仮説が、
実際の仕事、家庭、対人関係で繰り返されているかを確認して初めて、
臨床的な意味を持つと考えています。

L尺度・Q尺度|結果を見る前に回答の妥当性を確認する

TEG3にはCP・NP・A・FC・AC以外に、
回答態度を確認するための
L尺度とQ尺度があります。

L尺度社会的に望ましく見える回答へ
極端に偏っていないかなどを確認する手がかりになります。
Q尺度「どちらでもない」という回答の多さなどから、
得られたプロフィールをどの程度解釈できるかを判断します。
「グラフが出た=そのまま解釈できる」とは限りません心理検査では、得点そのものを見る前に
「そもそもこの回答をどの程度信頼してよいか」を判断することも
検査解釈の重要な一部です。

エゴグラムの「波形」をどう読む?

TEGでは5尺度の得点を並べたプロフィール全体の形、
いわゆるエゴグラム波形も参考にします。

古典的にはN型、逆N型、V型、逆V型、W型、
平板型など、特徴的なプロフィールパターンが知られています。

波形パターンは病名ではありません。以下は疾患を診断する基準ではなく、
診察やカウンセリングで
「どのようなことを確認してみるか」を考えるための臨床仮説です。
波形の例 プロフィールの特徴 臨床で確認したいこと
N型 NPやFCなどが比較的高く、
温かさや自発性が目立つプロフィール
他者への配慮と自発性が強みになっているか。
一方で頼まれごとを抱え込みすぎていないか。
逆N型 CPやACなどが高く、
NP・FCなどが相対的に低いプロフィール
「~すべき」が多くないか。
自分に休息や楽しみを許せているか。
自己批判と過剰適応が組み合わさっていないか。
V型 中央のAが相対的に低くなるプロフィール 強い感情が生じた時、
事実と解釈を分けることが難しくならないか。
衝動的な決断が増えないか。
逆V型 Aが相対的に突出するプロフィール 分析や理屈は得意でも、
自分の感情や身体感覚を捉えにくくないか。
W型 NPやACなどが目立ち、
他者への配慮や順応が強く現れるプロフィール
他人を優先しすぎていないか。
「NO」を言えるか。
自分の希望や怒りを表現できているか。
平板型 5尺度の高低差が比較的小さいプロフィール 高さだけで病態を決めず、
回答態度、現在の状態、日常生活との一致を確認する。

波形パターンから精神疾患を診断できる?

過去の研究では、
TEGプロフィールと抑うつ、不安、心身症などとの
統計的な関連が検討されています。

例えば旧TEGの研究では、
ACと不安・抑うつ、
CPやACと否定的感情との関連などが検討されています。

しかし、
統計的な関連があることと、個人の病名を診断できることは全く別です。

執筆者の個人的見解|「波形から病名を当てる」使い方には慎重です

V型だから境界性パーソナリティ障害、
逆N型だから心身症、
平板型だから重症うつ病、
といった一対一対応には十分な根拠がありません。

一方で、
「Aが低いので、感情が高ぶった場面では事実確認が難しくならないか」
「CPとACが高いので、自己批判と我慢が同時に強くないか」
といった面接仮説を作ることには価値があります。

「いい人ほど突然崩れる」ケースとTEG3

精神科臨床では、
周囲から「真面目」「優しい」「迷惑をかけない」と評価されてきた方が、
長期間の我慢の末に突然仕事へ行けなくなることがあります。

このようなケースでは、
他者への配慮や適応能力そのものが問題なのではなく、
その能力ばかりを使い続けていることが
負担になっている可能性があります。

執筆者の個人的見解|ACの高さは「弱さ」ではなく、適応能力の使いすぎかもしれません

ACが高い人を
「依存的」「自己主張できない人」と否定的に捉えるより、
周囲へ適応する能力を長期間使い続けたために、
自分自身の希望を確認する機会が少なくなっていないかを見る方が有用です。

治療では協調性そのものをなくすのではなく、
必要な場面ではFC的な自己表現や、
A的な事実確認も使えるようにすることを考えます。

CPが高い|「責任感」と「自己批判」は表裏一体

CPが高い人は、
ルールや責任を重視し、
高い基準を持って行動できることがあります。

一方、
「遅れてはいけない」
「人に迷惑をかけてはいけない」
「もっと頑張らなければならない」
といった考えが強くなりすぎると、
自分自身への厳しい攻撃として機能することがあります。

執筆者の個人的見解|自己肯定感を上げるより「自己処罰を減らす」方が先の場合があります

自己評価が低い方に
「もっと自分を好きになりましょう」と伝えても、
実感を持てないことがあります。

CPが非常に強いケースでは、
自己肯定を増やす以前に、
自分自身にだけ課している厳しすぎるルールを見つけ、
それを少し緩める方が実践しやすい場合があります。

Aが高い=精神的に成熟している、ではない

Aは客観性や論理性に関係するため、
「Aが高いほど精神的に成熟している」と誤解されることがあります。

しかし心理的に柔軟であるためには、
論理だけでなく、
共感、自発性、感情表現、他者との調整なども必要です。

執筆者の個人的見解|「全部説明できる人」が、必ずしも感情を処理できているわけではありません

診察では、自分の問題を非常に論理的に説明できる一方、
「では今、どのような気持ちですか」と尋ねると
言葉が出てこない方もいます。

分析力は重要な強みですが、
場合によっては知性化などを通じて
感情から距離を取っている可能性も面接上の仮説になります。

ただしTEG3のA得点だけから、
知性化やアレキシサイミアを診断することはできません。

TEG3のA尺度と「頭の良さ」は別物

TEG3のAは、
本人がどの程度論理的・現実的に行動する傾向を持つかを
自己記入式質問紙から評価する尺度です。

一方、
WAIS-IVや
WISC-Vは、
実際に課題へ取り組んでもらい、
言語理解、推理、ワーキングメモリー、
処理速度などの認知能力を評価します。

Aが高い=IQが高い、Aが低い=知能が低い、ではありません。TEG3と知能検査では、
そもそも測定しているものが異なります。

うつ状態・強いストレス下では結果が変わることがある

TEG3は性格検査ですが、
「生涯変わらない人格の核心」だけを測定する検査ではありません。

自己記入式であるため、
現在の抑うつ、不安、急性ストレス、疲労、
職場や家庭での状況などが回答へ影響する可能性があります。

traitとstateを分けて考える「以前からこのような傾向だったのか」
「現在つらいために、このような回答になっているのか」を
発症前の様子や生活歴と照らし合わせて確認します。

執筆者の個人的見解|TEG3を「固定された人格」ではなく「現在使いやすい反応の地図」と捉えています

比較的安定した性格傾向はあるとしても、
人の反応パターンは環境、経験、心理療法などによって変化します。

そのため、
TEG3を「本当の性格を決める検査」ではなく、
現時点で使いやすい心理・行動パターンを整理する検査として
利用する方が臨床的には適切だと考えています。

心身症・慢性疼痛などとTEGの研究

TEGは心療内科領域で長く利用されてきたため、
ストレス、抑うつ、心身症、慢性疼痛などとの関連を検討した研究があります。

旧TEGを用いた研究では、
AC得点と不安・抑うつなどとの関連や、
CP・ACと否定的感情との関連などが検討されています。

また、TEG3を用いた慢性疼痛患者の研究では、
慢性一次性疼痛群と慢性二次性疼痛群の
性格プロフィールの違いについて検討されています。

ただし「性格が病気を起こした」とは言えません。観察研究や横断研究では、
性格特性が症状の原因なのか、
長期間の症状によって心理状態が変化したのか、
別の要因が双方へ影響しているのかまでは判断できません。

TEG3と心理検査バッテリー|何を組み合わせる?

心理アセスメントでは、
一つの検査ですべてを理解しようとするより、
臨床上の問いに応じて検査を組み合わせることが重要です。

知りたいこと 検査例 TEG3との違い
性格・対人パターン TEG3 本人が自覚している行動・心理パターンを
5尺度で整理します。
自己像・葛藤・対人関係 SCT 自由記述から、
自己像、家族、対人関係、葛藤などを多面的に検討します。
知的能力・認知特性 WAIS-IV /
WISC-V
実際の課題遂行から認知能力を評価します。
欲求不満場面への反応 P-Fスタディ フラストレーション場面での反応様式を検討します。
非言語的な表現 バウムテストなど 描画から心理的特徴について仮説を立てます。
ASD・ADHDなどの発達特性 AQ-J、PARS-TR、CAARS、Conners3など 発達特性そのものを評価する尺度であり、
TEG3とは目的が異なります。

執筆者の個人的見解|「検査をたくさんやれば精密になる」とは限りません

心理検査バッテリーは、
検査の数を増やすこと自体が目的ではありません。

「認知能力を知りたい」
「人間関係で繰り返すパターンを知りたい」
「発達歴を評価したい」といった
臨床上の問いを先に設定し、
その問いに答える検査を選ぶ方が合理的です。

TEG3を治療や自己理解へどう活かす?

TEG3を受けて結果を知るだけでは、
日常生活そのものは変わりません。

検査結果から
「どの反応を使いすぎているか」
「どのような反応の選択肢が少ないか」を整理し、
日常の具体的な行動へ落とし込むことで、
初めて検査結果を生活に活かすことができます。

以下はTEG3の標準化された治療法ではなく、検査結果を臨床へつなげるための行動実験の例です。

CPが強すぎる場合|「~すべき」を柔らかくする

「絶対」から「望ましい」へ「失敗してはいけない」を
「できれば失敗しない方が望ましいが、失敗することもある」
と言い換えてみます。
理想基準と最低基準を分ける100点を目標にすることと、
合格ラインまで100点に設定することを分けて考えます。

NPを自分にも向ける|他人には優しいのに自分には厳しい人へ

セルフ・コンパッション親しい友人が同じ失敗をした時にかける言葉を、
自分自身にも使ってみます。
助ける前に一度確認する他者を助けることが
相手のためなのか、
「助けなければならない」という自分の不安のためなのかを確認します。

Aを使う|感情と事実を分ける

事実と解釈を分ける「返信が3時間ない」は事実ですが、
「嫌われた」は解釈です。
二つを分けて考えます。
感情が強い時ほど即決しない怒り、不安、焦りが強い時には、
判断を少し保留し、
情報を増やしてから行動する方法を考えます。

FCを増やす|「役に立たない時間」を持つ

FCが低い人では、
「遊ぶなら意味のあることをしなければならない」
「趣味でも上達しなければならない」と
考えてしまうことがあります。

生産性のない楽しみを作る成果、評価、健康効果などを目的にせず、
単純に楽しい・心地よいと感じる活動を行います。
「好き・嫌い」を言葉にする正しいか間違っているかではなく、
自分がどう感じているかを言語化します。

執筆者の個人的見解|「休めない人」に休養だけ勧めても休めないことがあります

「休んでください」と言われても、
CPやACが非常に強い人では
「休んでいる自分は怠けている」という罪悪感が出てきます。

その場合、
休息時間を確保するだけではなく、
休むことを禁止している内的なルールそのものを
扱う必要があります。

ACを調整する|「断っても関係は壊れない」を経験する

心理的境界線を確認する相手が不機嫌であることと、
自分が悪いことを分けて考えます。
小さなNOから練習する重要な関係で突然強く拒絶するのではなく、
日常の小さな依頼から穏やかに断る練習をします。

執筆者の個人的見解|ACへの介入は「自己主張を強くする」だけでは不十分です

ACが非常に強い人では、
自己主張そのものよりも
「断ったら嫌われる」
「怒ったら関係が壊れる」
という予測が問題になっていることがあります。

そのため、
安全な関係の中で
「反対意見を言っても関係が続く」
「NOと言っても見捨てられない」
という経験を積むことが重要な場合があります。

TEG3でASD・ADHD・パーソナリティ障害は分かる?

TEG3は、
ASD、ADHD、パーソナリティ障害などを
診断する検査ではありません。

例えば、
FCが高いからADHD、
ACが高いからASD、
V型だから境界性パーソナリティ障害、
と判断することはできません。

発達障害の評価では、
診察、生育歴、学校・職場での状況に加え、
必要に応じて
AQ-J、
PARS-TR、
CAARS、Conners3、
WAIS-IV、
WISC-V
などを組み合わせます。

TEG3のメリット

比較的短時間で実施できる回答時間は約10分であり、
負担が比較的小さい心理検査です。
結果を視覚化しやすい5尺度のプロフィールとして示されるため、
本人と結果を共有しやすい特徴があります。
支援へつなげやすい自分の反応パターンを、
日常生活で試す具体的な行動へ落とし込みやすい検査です。

TEG3の限界と注意点

自己記入式である本人が自分をどのように認識しているかが反映されるため、
周囲から見た姿とは異なる場合があります。
現在の状態の影響を受けうる抑うつ、不安、急性ストレス、
疲労などの影響を受ける可能性があります。
疾患診断はできないTEG3だけで精神疾患や
発達障害を診断することはできません。
理論モデルであるCP・NP・A・FC・ACを
独立した神経機能として実体化して考えることはできません。

当院でTEG3を活用する場合の流れ

TEG3は、質問紙へ回答して得点を見るだけでなく、
「何を知るために受けるのか」を整理し、
得られたプロフィールを実生活と照合して活用することが重要です。

01

検査目的を確認性格について知りたい、人間関係で繰り返すパターンを整理したい、
カウンセリングへ活かしたいなど、まず検査を受ける目的を確認します。
検査目的によって、結果のどこに注目するかも変わります。

02

TEG3へ回答53項目について、
「はい」「どちらでもない」「いいえ」で回答します。
できるだけ「理想の自分」ではなく、普段の自分に近い回答を選びます。

03

プロフィールを分析CP・NP・A・FC・ACの5尺度だけでなく、
L尺度・Q尺度、尺度間の高低差、プロフィール全体の波形を確認します。
一つの高得点だけから性格を判断することはしません。

04

実生活・診療へ統合検査結果と、
仕事、家庭、恋愛、友人関係、ストレス場面での実際の行動を照合します。
必要に応じて心理療法、カウンセリング、生活上の工夫などへつなげます。

執筆者の個人的見解|検査結果を「説明」で終わらせないことが重要です

TEG3を受けて
「私はACが高いんですね」と理解するだけでは、
現実の生活はほとんど変わりません。

「どの場面でACが強く出るのか」
「その時に何を恐れているのか」
「次回はどのような別の行動を試せるか」まで落とし込むことで、
初めて検査結果が治療的な意味を持つと考えています。

新版TEG3についてよくある質問

TEG3で「本当の性格」が分かりますか?

比較的安定した性格傾向を考える材料にはなりますが、
一度の検査結果がその人の人格すべてを表すわけではありません。
現在の心理状態や環境の影響も考慮します。

CPが高いと性格が悪いのでしょうか?

いいえ。
CPは責任感、規律、信念などにも関係します。
過剰になって自他への批判が強くなっていないかが重要です。

ACが高いのは「いい人」という意味ですか?

協調性や配慮という強みがありますが、
過剰になると我慢や自己抑制が強くなる場合があります。

Aが高いほど頭が良いのでしょうか?

いいえ。
AはTEG3における心理・行動傾向であり、
IQやワーキングメモリーなどの認知能力とは異なります。

TEG3でうつ病は分かりますか?

TEG3はうつ病の診断検査ではありません。
抑うつ状態によって回答が変化する可能性はありますが、
診断は症状や経過などから総合的に行います。

TEG3でASDやADHDは分かりますか?

TEG3だけでは診断できません。
発達歴、診察、各種発達特性尺度、
WAIS-IVやWISC-Vなどを目的に応じて使用します。

インターネット上の無料エゴグラムと同じですか?

同じではありません。
新版TEG3は標準化された質問項目・採点方法・基準を用いる心理検査です。
インターネット上の簡易テストには独自に作成されたものもあります。

検査結果は変わることがありますか?

あります。
性格傾向には比較的安定した部分がありますが、
環境、経験、心理状態、自己認識の変化などによって
プロフィールが変化する可能性があります。

まとめ

新版TEG3(東大式エゴグラム)は、
53項目への回答からCP・NP・A・FC・ACという5つの自我状態を評価し、
性格傾向や対人関係で繰り返しやすい反応を整理する心理検査です。

エゴグラムの波形から、
自己批判、他者への配慮、論理的判断、
自発性、過剰適応などについて
診察やカウンセリングを深めるための仮説を立てることができます。

一方、
「この波形だからうつ病」
「ACが高いから心身症」
といった診断的な使い方は適切ではありません。

TEG3の価値は、
人を一つのタイプへ分類することよりも、

現在使いすぎている反応と、
今後増やすことのできる反応の選択肢を見つけること

にあると当院では考えています。

執筆者

執筆・医学監修
清水聖童 医師

医療法人社団燈心会 理事長
ライトメンタルクリニック 渋谷本院 院長

清水 聖童(Seido Shimizu)

精神保健指定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医
認知症サポート医
コンサータ・ビバンセ登録医

引用・参考文献

・東京大学医学部心療内科TEG研究会 編.新版TEG3 マニュアル.金子書房;2019.
・平出麻衣子,宮本せら紀,堀江武,柴山修,吉内一浩.新版TEG3(紙版およびコンピュータ適応型テスト版)の開発.交流分析研究.2019;44(1):33-40.
・東京大学医学部心療内科TEG研究会 編.新版TEG II 活用事例集.金子書房;2009.
・吉内一浩,堀江はるみ,大島京子,志村翠,野村忍,和田迪子,俵里英子,中尾睦宏,久保木富房,末松弘行.東大式エゴグラム(TEG)第2版の臨床的有用性の検討―他の心理テストとの関連―.心身医学.1995;35(7):561-567.doi:10.15064/jjpm.35.7_561.
・大島京子,堀江はるみ,吉内一浩,志村翠,野村忍,和田迪子,俵里英子,中尾睦宏,久保木富房,末松弘行.東大式エゴグラム(TEG)第2版の臨床的応用―TEGパターン分析および多変量解析を用いた健常者群と患者群の比較―.心身医学.1996;36(4):315-324.doi:10.15064/jjpm.36.4_315.
・十河眞人,石川中,和田迪子,末松弘行.新しい質問紙法エゴグラムの臨床的応用(その2)―神経症のエゴグラム―.心身医学.1986;26(4):327-332.
・筑部弘人,橋田真由美,庄野浩洋,野崎多恵子.エゴグラムを用いた慢性一次性疼痛患者と慢性二次性疼痛患者の性格特性の違いに関する調査:横断的研究.日本ペインクリニック学会誌.2024;31(9).
・Berne E. Transactional Analysis in Psychotherapy: A Systematic Individual and Social Psychiatry. Grove Press; 1961.
・Dusay JM. Egograms and the “Constancy Hypothesis”. Transactional Analysis Journal. 1972;2(3):37-41.
・American Educational Research Association, American Psychological Association, National Council on Measurement in Education. Standards for Educational and Psychological Testing. American Educational Research Association; 2014.
・American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition, Text Revision (DSM-5-TR). American Psychiatric Association Publishing; 2022.
・『今日の精神疾患治療指針 第2版』.医学書院.
・『テキストブック児童精神科臨床』.
・Leeds AM 著,太田茂行,市井雅哉 監訳.EMDR標準プロトコル実践ガイドブック―臨床家、スーパーバイザー、コンサルタントのために.誠信書房.
・World Health Organization. Guidelines for the Management of Conditions Specifically Related to Stress. World Health Organization; 2013.

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