来談者中心療法(クライエント中心療法)とは|特徴・進め方・向いている方

心理検査・カウンセリング
心理検査・カウンセリング

―発達障害スクリーニング検査

―性格検査

―症状評価検査

―力動的精神療法

―対人関係療法(IPT)

―カップルセラピー

―家族療法

―ペアレント・トレーニング

―ダイエット・カウンセリング
(CBT-OB)

来談者中心療法 CCT クライエント中心療法
来談者中心療法 CCT クライエント中心療法

来談者中心療法とは

来談者中心療法は、アメリカの心理学者カール・ロジャーズによって提唱された心理療法です。「クライエント中心療法」とも呼ばれ、カウンセラーが答えや解決方法を一方的に示すのではなく、相談する方自身の感じ方や考えを大切にしながら対話を進めていきます。安心して話せる関係の中で、自分でもうまく言葉にできていなかった気持ちや考えを少しずつ整理し、自分自身への理解を深めていくことを重視します。

来談者中心療法 CCT

来談者中心療法をひと目でみる

カウンセラーが答えを示すのではなく、 対話を通して自分自身への理解を深めていく心理療法です。

01

答えを決めつけない

「こうすべき」と結論を押しつけず、 その人自身の感じ方を大切にします。

02

気持ちを言葉にする

まとまっていない気持ちも、 対話の中で少しずつ整理していきます。

03

自分で方向性を選ぶ

自分自身を理解しながら、 納得できる選択や方向性を探していきます。

COUNSELOR'S ROLE

カウンセラーは「答えを出す人」ではありません

中心にしないこと
  • × 正解や結論を決める
  • × 一定の方向へ誘導する
  • × 気持ちを評価・判断する
大切にすること
  • その人の感じ方を受け止める
  • 気持ちを言葉にする手助けをする
  • 一緒に考えを確かめていく

対話の中で、自分への理解が深まっていく

話すことそのものが目的ではなく、 言葉にする過程を通して自分の感じ方や価値観を確かめていきます。

01 話してみる 今感じていることを、 まとまっていなくても話します。
02 言葉になる 漠然としていた感情や考えが、 少しずつ整理されます。
03 理解が深まる 自分が何を感じ、 何を大切にしているかが見えてきます。
04 方向性が見える 自分にとって納得できる選択を 考えやすくなります。

来談者中心療法の基本的な考え方

来談者中心療法では、どのような技法を使うか以上に、カウンセラーと相談する方との関係を大切にします。その中核となるのが、「自己一致」「無条件の肯定的関心」「共感的理解」という3つの態度です。

THERAPEUTIC RELATIONSHIP
安心して
自分を話せる関係

技法だけではなく、 カウンセラーとの関係そのものを大切にします。

01

ありのままに、誠実に関わる

自己一致

カウンセラー自身の感じていることと、 表面的な態度との間に大きなずれがない状態です。 専門家として一方的に構えるのではなく、 誠実な一人の人間として関わります。

02

評価や条件をつけずに受け止める

無条件の肯定的関心

「こう考えるべき」「その感じ方は間違っている」と 評価するのではなく、 その人が今感じていることを、 その人自身の体験として大切にします。

すべての行動を無条件に肯定する、という意味ではありません。

03

相談者の自己理解を深める

共感的理解

相談する方が出来事をどのように感じ、 どのような意味を持たせているのかを、 カウンセラーの理解を通して言語的・非言語的に相談者に伝えていき、 相談者の自己理解を深めます。

3つの態度によって、 評価されることを過度に意識せず、自分自身について考えられる関係 をつくることが、来談者中心療法の基盤になります。

来談者中心療法が向いている方

来談者中心療法は、特定の診断名だけを対象とする心理療法ではありません。気持ちを整理したい、自分自身を理解したい、人間関係や生き方について考えたいといった相談に適しています。

自分の気持ちをうまく言葉にできず考え込んでいる様子
01

「何に悩んでいるのか、
自分でもうまく説明できない」

気持ちを整理したい

漠然としたつらさや違和感はあるものの、 原因や気持ちをうまく言葉にできないときに、 対話を通して少しずつ整理していきます。

これからの方向性について分かれ道で考えている様子
02

「これからどうしたいのか、
自分でもよくわからない」

自分の価値観や方向性を考えたい

仕事や進路、家族、人間関係などについて、 誰かに答えを決めてもらうのではなく、 自分が何を大切にしたいのかを考えていきます。

人間関係の中で繰り返すパターンを振り返っている様子
03

「人との関係で、同じような悩みを
繰り返している気がする」

人間関係を振り返りたい

相手との出来事だけでなく、 そのとき自分が何を感じ、どのように関わっていたのかを振り返りながら、 対人関係の特徴への理解を深めていきます。

自分自身と向き合い理解を深めている様子
04

「自分を責めたり、否定したり
してしまうことが多い」

自分自身への理解を深めたい

「こうあるべき」という基準だけで自分を評価するのではなく、 自分の感情や考えを丁寧に見つめながら、 自分自身との付き合い方を考えていきます。

相談内容に応じて心理療法の選択肢を一緒に検討している様子
CHOOSING AN APPROACH

相談内容によって、心理療法を選び分けます

「特定の場面で起こる不安への対処法を身につけたい」 「考え方や行動のパターンを具体的に変えていきたい」など、 取り組みたい課題が明確な場合には、 認知行動療法(CBT)など、より構造化された心理療法 が適していることもあります。

相談内容や希望を確認しながら、その方に合った方法を検討します。

来談者中心療法と他の心理療法の違い

心理療法には、それぞれ重視することや進め方に違いがあります。ここでは、当院で行っている主な心理療法について、どのような相談に取り組みやすいかという観点から整理します。

COMPARISON

相談の目的によって、重視することや進め方が異なります

どの心理療法が優れているということではなく、 何について相談したいか、どのように取り組みたいかによって、 選択するアプローチは変わります。

心理療法 主に重視すること 進め方 相談のイメージ
来談者中心療法 CCT このページ 感情・価値観・自己理解 自分自身の体験を理解し、 納得できる方向性を見つけていく 対話を中心に進める 話したいことを大切にしながら、 その人のペースで進める 「まず、自分の気持ちを整理したい」
認知行動療法 CBT 認知・感情・行動の関係 問題を整理し、 具体的な変化や対処につなげる 比較的構造化して進める 目標やテーマを設定し、 記録や練習を用いることもある 「具体的な問題への対処法を身につけたい」
力動的精神療法 葛藤や対人関係のパターン 自分でも意識しにくい心の動きや、 繰り返される関係性を理解する 体験や関係性を振り返る 過去と現在の体験をつなぎながら、 心のパターンを考えていく 「なぜ同じ悩みを繰り返すのか知りたい」
対人関係療法 IPT 現在の対人関係と症状 人間関係上の出来事と 心の状態との関連を整理する 対人関係の課題を焦点化する 取り組むテーマを整理し、 比較的構造的に進める 「人間関係の変化と気分の問題を整理したい」
トラウマ治療 EMDR 苦痛を伴う記憶や体験 現在にも影響している体験や記憶を 扱っていく 一定の手順に沿って進める 両側性刺激などを用いながら、 記憶の処理を進める 「過去の体験が今も強く影響している」
FOCUSED SUPPORT

対象や目的が明確な心理支援もあります

個人の気持ちや考えを中心に扱う心理療法とは別に、 関係性や特定の課題を対象として行う心理支援もあります。

01

カップル療法

パートナーとの関係やコミュニケーションを、 二人の関係性という視点から扱います。

02

家族療法

個人だけでなく、 家族全体の関係や相互作用に目を向けます。

03

ペアレント・トレーニング

子どもの行動への理解を深めながら、 保護者の具体的な関わり方を学びます。

04

CBT-OB

特定の課題や目標に焦点を当て、 認知行動療法の考え方を用いて取り組みます。

一つの心理療法だけに限定するとは限りません

実際のカウンセリングでは、 相談内容やその時々の状態、希望に合わせて、 対話を大切にしながら必要に応じて別のアプローチを取り入れることもあります。

来談者中心療法の流れ

心理検査やカウンセリングの選び方に迷う場合は、まず医師にご相談ください。受けたいカウンセリングが決まっている場合は、心理カウンセリングを直接ご予約いただくこともできます。

来談中心療法

話したいことから始める

STEP1

初回のカウンセリングでは、今気になっていることや、相談したいことから伺います。話す内容が整理されていなくても構いません。「何から話せばよいかわからない」という場合も、そのとき浮かんでいることから、ご自身のペースで話していきます。

来談中心療法

気持ちや考えを言葉にしていく

STEP2

カウンセラーは答えを一方的に示すのではなく、話の内容や、その背景にある気持ちを丁寧に受け止めながら対話を進めます。話していく中で、これまで曖昧だった感情や考えが少しずつ言葉になり、自分の中で整理されていくことがあります。

来談中心療法

自分の感じ方や価値観に気づく

STEP3

対話を重ねる中で、「本当はこう感じていた」「自分はこういうことを大切にしていた」と気づくことがあります。来談者中心療法では、こうした気づきを通して、自分の感情や考え、価値観への理解を深めていくことを大切にします。

来談中心療法

自分なりの方向性を整理する

STEP4

自分自身への理解が深まることで、これからどうしたいか、どのように向き合っていきたいかを考えやすくなります。カウンセリングを続けながら変化を振り返り、必要に応じて今後の方向性や、継続・終了についても一緒に整理していきます。

よくあるご質問

はい。相談したいことがはっきり決まっていなくても受けられます。「何となくつらい」「自分でも何に悩んでいるのかわからない」といった状態から、話せることを少しずつ言葉にしていくことも来談者中心療法の大切な過程です。最初からきれいに整理して話す必要はありません。

来談者中心療法では、カウンセラーがすぐに答えや解決策を示すことを中心にはしません。対話を通して、ご自身が何を感じ、何を大切にしているのかを整理しながら、自分にとって納得できる方向性を考えていきます。必要な情報提供や確認を行うことはありますが、一方的に結論へ導くことを目的とした心理療法ではありません。

決められた回数はありません。
相談内容や目標によって、数回で一区切りとなることもあれば、継続して自分自身について考えていくこともあります。カウンセリングを続けながら、その時点での変化や希望を確認し、継続や終了について相談していきます。

相談したい内容や、カウンセリングで取り組みたいことによって異なります。
自分の気持ちや価値観を整理し、自己理解を深めたい場合には来談者中心療法が取り組みやすいことがあります。一方、特定の問題への対処方法を身につけたい、考え方や行動のパターンを具体的に変えていきたい場合には、認知行動療法(CBT)が適していることがあります。最初からご自身で決められない場合は、相談内容を確認しながら方法を検討できます。

ご希望のカウンセリングが決まっている場合は、心理カウンセリングを直接ご予約いただけます。どの方法がよいかわからない場合や、症状について医師への相談も希望される場合は、精神科・心療内科の診察からご相談いただくこともできます。

診療メニュー

監修医師・参考文献

清水聖童3 e1756794755426

執筆・医学監修

ライトメンタルクリニック 渋谷本院 院長

更新日:2026/09/03

・Rogers, C. R. (1957). The necessary and sufficient conditions of therapeutic personality change. Journal of Consulting Psychology, 21(2), 95–103. 
・Kirschenbaum, H., & Jourdan, A. (2005). The current status of Carl Rogers and the person-centered approach. Psychotherapy: Theory, Research, Practice, Training, 42(1), 37–51.
・Yao, L., & Kabir, R. (2023). Person-Centered Therapy (Rogerian Therapy). In StatPearls. StatPearls Publishing.
・Watson, J. C., Gordon, L. B., Stermac, L., Kalogerakos, F., & Steckley, P. (2003). Comparing the effectiveness of process-experiential with cognitive-behavioral psychotherapy in the treatment of depression. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 71(4), 773–781.
・Sohal, R. et al. (2023). A longitudinal analysis of person-centred therapy with suicidal clients. Counselling and Psychotherapy Research.
・Cavé, J., Katjene, M., & Roos, V. (2024). A scoping review of Rogers’ person-centred approach to identify constructs relevant to optimal intergenerational relationships. South African Journal of Psychology, 54(3), 402–414.

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