
気分症とその関連症
気分の落ち込みが続く、これまで楽しめていたことを楽しめない、気分の波が大きいといった変化は、こころの不調のサインとしてみられることがあります。似た症状でも、経過や気分の変化のしかたによって考えられる疾患は異なります。
気分の落ち込み・意欲低下
うつ病
落ち込みや意欲の低下が続く
気分の落ち込みや意欲の低下、これまで楽しめていたことを楽しめない状態が続く疾患です。睡眠や食欲の変化、疲れやすさ、集中しにくさなどを伴うこともあります。
うつ病について詳しく見る気分・活動性の変化
双極症(躁うつ病)
落ち込みと活動的な時期を繰り返す
うつ状態に加えて、気分が高揚する、活動性が高まる、睡眠時間が少なくても平気になるなどの躁状態・軽躁状態がみられる疾患です。
双極症について詳しく見る慢性的な気分の落ち込み
持続性抑うつ症
気分が晴れない状態が長く続く
強い落ち込みではなくても、気分が晴れない、意欲が出にくいといった抑うつ状態が長期間続くことを特徴とします。
持続性抑うつ症について詳しく見る不安症とその関連症
不安や緊張は誰にでもみられる反応ですが、強い不安や恐怖が続き、特定の場所や人との関わりを避けるようになると、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。不安の対象や症状の現れ方によって、考えられる疾患は異なります。
突然起こる強い不安・恐怖
パニック症
突然の動悸や息苦しさと強い恐怖に襲われる
突然、動悸や息苦しさ、発汗、震えなどとともに強い不安や恐怖が現れるパニック発作を繰り返し、「また発作が起こるのではないか」という不安が続く疾患です。
パニック症について詳しく見るさまざまなことへの強い心配
全般性不安症(GAD)
心配や不安が次々と浮かび、なかなか止められない
仕事や健康、家族など日常のさまざまなことについて過剰な不安や心配が続く疾患です。落ち着かなさや疲れやすさ、集中しにくさ、不眠などを伴うこともあります。
全般性不安症について詳しく見る人前・対人場面への強い不安
社交不安症
人からどう見られるかが怖く、対人場面を避けてしまう
人前で話す、人と食事をする、注目を浴びるなどの場面で、恥をかくことや否定的に評価されることへの強い不安や恐怖を感じる疾患です。
社交不安症について詳しく見る外出・公共交通機関・人混みへの恐怖
広場恐怖症
逃げにくい場所や助けを得にくい状況が怖くなる
電車やバス、人混み、広い場所、閉ざされた場所、一人での外出などで強い不安や恐怖を感じ、そのような状況を避けるようになる疾患です。
広場恐怖症について詳しく見る大切な人と離れることへの不安
分離不安症
家族など大切な人と離れることに強い不安を感じる
親や家族など愛着をもつ人と離れることに、発達段階に比べて強い不安や恐怖を感じる疾患です。登校や外出、ひとりで過ごすことが難しくなる場合もあります。
分離不安症について詳しく見る特定の場面で話せなくなる
選択性緘黙
家では話せても、学校などでは声を出せなくなる
話す力があっても、家庭では普通に話せる一方で、学校など特定の社会的な場面では強い不安から話すことが難しくなる状態です。
選択性緘黙について詳しく見る強迫症
自分でも「気にしすぎ」「やめたい」と思っていても、特定の考えが頭から離れなかったり、確認や手洗い、毛を抜くなどの行動を繰り返してしまうことがあります。強迫症やその関連症では、こうした思考や行動を自分でコントロールすることが難しくなり、日常生活や学業、仕事に影響することがあります。強迫症と抜毛症はいずれも、現在の診断分類では強迫症および関連症群に位置づけられます。
止められない考え・繰り返す行動
強迫症(強迫性障害)
わかっていても確認や行動を繰り返してしまう
頭から離れない考えやイメージによって強い不安や不快感が生じ、その不安を和らげるために確認や手洗いなどの行動を繰り返してしまう疾患です。
強迫症について詳しく見る繰り返す抜毛・コントロール困難
抜毛症(トリコチロマニア)
やめようとしても、自分の毛を繰り返し抜いてしまう
髪の毛や眉毛などの体毛を繰り返し抜いてしまい、やめようとしても自分でコントロールすることが難しい疾患です。抜毛による脱毛や、生活上の困りごとにつながることがあります。
抜毛症について詳しく見る心的外傷およびストレス因関連症
強いストレスやトラウマとなる出来事、あるいは養育環境などを背景として、気分や行動、対人関係にさまざまな変化が現れることがあります。症状は、ストレスとなった出来事の性質や時期、その後の経過によって異なり、適応障害、PTSD、愛着障害などに分類されます。
ストレスをきっかけとする不調
適応障害
環境のストレスとともに心身の不調が現れる
仕事や学校、人間関係などの明確なストレスを背景に、気分の落ち込みや不安、イライラ、不眠、行動の変化などが現れ、日常生活に支障をきたす疾患です。
適応障害について詳しく見るトラウマ体験後の心身の反応
PTSD(心的外傷後ストレス症)
つらい体験が繰り返しよみがえり、生活に影響する
生命の危険や重傷、性暴力などのトラウマとなる出来事を経験した後に、フラッシュバックや悪夢、関連する状況の回避、過度な緊張などが続く疾患です。
PTSDについて詳しく見る養育環境・対人関係の発達
愛着障害
幼少期の養育環境を背景に、対人関係や感情調整に困難が現れる
乳幼児期に安定した養育を十分に受けられない環境などを背景として、養育者との関わり方や対人交流、感情の調整に特徴的な困難がみられる状態です。
愛着障害について詳しく見る発達特性・神経発達症
発達特性は、注意や集中、コミュニケーション、学習などの得意・不得意として、子どもの頃からみられることがあります。特性そのものだけでなく、学校や仕事、人間関係での困りごとや、二次的な不安・気分の落ち込みにつながることもあります。
不注意・多動・衝動性
ADHD(注意欠如・多動症)
集中しにくい、忘れ物が多い、行動を抑えにくい
不注意や多動・衝動性を特徴とする神経発達症です。忘れ物や予定管理の難しさ、集中の続きにくさなどが、学校生活や仕事に影響することがあります。
ADHDについて詳しく見る対人関係・こだわりの特性
ASD(自閉スペクトラム症)
人との関わり方やこだわりに独自の特徴がある
コミュニケーションや対人関係の取り方、興味や行動のパターンなどに特徴がみられる神経発達症です。環境との相性によって困りごとの程度は大きく異なります。
ASDについて詳しく見る読み・書き・計算の困難
限局性学習症(学習障害・LD)
特定の学習領域だけに強い苦手さがみられる
読む、書く、計算するなど、特定の学習能力に持続的な困難がみられる神経発達症です。本人の努力不足とは異なり、得意・不得意の偏りとして現れます。
限局性学習症について詳しく見る知的機能・適応機能の発達
知的発達症
理解や判断、日常生活への適応に支援が必要になる
知的機能と、日常生活や社会生活に適応する力の発達に困難がみられる状態です。特性や必要となる支援の程度には大きな個人差があります。
知的発達症について詳しく見る睡眠・覚醒の障害
眠れない、夜中に何度も目が覚める、日中の眠気が強いといった睡眠の問題には、生活リズムやストレスだけでなく、睡眠そのものの疾患が関係していることがあります。症状の現れ方や日中への影響、身体的な原因の有無を含めて見極めることが大切です。
寝つき・中途覚醒・早朝覚醒
不眠障害(不眠症)
眠りたいのに十分に眠れず、日中にも影響が出る
寝つくまでに時間がかかる、夜中に何度も目が覚める、朝早く目覚めるなどの睡眠困難が続き、日中の眠気や疲労、集中力低下などにつながる疾患です。
不眠障害について詳しく見るいびき・無呼吸・日中の眠気
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に呼吸が止まり、眠りの質が低下する
睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりすることで、十分に休息できず、強い日中の眠気や集中力低下などを生じる疾患です。
睡眠時無呼吸症候群について詳しく見る統合失調症・精神病性障害
現実にはない声が聞こえる、強い確信を伴う考えが続く、考えがまとまりにくいといった症状は、統合失調症などの精神病性障害でみられることがあります。気分の変化を伴う場合もあり、症状の組み合わせや経過をみながら診断を検討します。
幻覚・妄想・思考のまとまりにくさ
統合失調症
現実の受け止め方や考え方に大きな変化が現れる
幻覚や妄想、考えや会話のまとまりにくさなどがみられる疾患です。意欲の低下や感情表現の乏しさなどを伴い、生活や対人関係に影響することもあります。
統合失調症について詳しく見る精神病症状・気分症状
統合失調感情障害
幻覚や妄想と、うつ・躁などの気分症状が重なる
統合失調症でみられる幻覚や妄想などの症状と、うつ状態や躁状態などの気分症状が同じ経過の中で現れる疾患です。
統合失調感情障害について詳しく見る食行動に関する疾患
食事量を極端に減らしてしまう、過食を繰り返す、食べた後に吐いてしまうなど、食行動の変化には摂食障害が関係していることがあります。体重や体型への強いこだわりだけでなく、ストレスや感情との関係、過食後の行動などによって考えられる疾患は異なります。
食事制限・やせへのこだわり
神経性やせ症
体重が減っていても、さらにやせようとしてしまう
食事を強く制限するなどして低体重となり、体重増加への強い不安や、体型・体重の受け止め方の偏りがみられる摂食障害です。
神経性やせ症について詳しく見る過食・嘔吐などの代償行動
神経性過食症
過食したあと、吐くなどして体重増加を防ごうとする
自分では止められない感覚を伴う過食を繰り返し、その後に自己誘発嘔吐や絶食、過度な運動などの行動を繰り返す摂食障害です。
神経性過食症について詳しく見る繰り返す過食・コントロール困難
過食性障害
食べることを止められず、過食を繰り返してしまう
短時間に多くの食べ物を摂り、食べることを自分でコントロールできない感覚を伴う過食を繰り返す疾患です。神経性過食症とは異なり、通常は嘔吐などの代償行動を伴いません。
過食性障害について詳しく見る身体症状に関する疾患
痛みやしびれ、吐き気、動悸などの身体症状が続く、検査で大きな異常が見つからなくても病気への不安が強い、といった状態には、身体症状症やその関連疾患が関係していることがあります。身体疾患を適切に確認したうえで、症状へのとらわれや不安、ストレスとの関係も含めて考えていきます。
身体症状・症状への強いとらわれ
身体症状症
身体のつらさが続き、症状への心配が大きくなる
痛みやしびれ、吐き気などの身体症状が続き、その症状や健康状態について強い不安やとらわれが生じ、日常生活に影響する疾患です。
身体症状症について詳しく見る病気への強い不安・心配
病気不安症
重い病気ではないかという不安が頭から離れない
身体症状がない、または軽い場合でも、「重大な病気にかかっているのではないか」という不安が強く続き、繰り返し確認したり医療機関を受診したりすることがあります。
病気不安症について詳しく見る運動・感覚に現れる症状
機能性神経学的症状症(変換症)
手足が動かない、感覚がないなどの症状が現れる
手足の動かしにくさ、感覚の異常、発作などの神経症状がみられる一方、既知の神経疾患だけでは症状を十分に説明できない疾患です。
変換症について詳しく見る解離症とその関連疾患
つらい体験や強いストレスなどを背景として、記憶の一部が抜け落ちる、自分が自分ではないように感じる、現実感が薄れるなどの症状が現れることがあります。解離症では、記憶や自己意識、感覚など、本来ひとまとまりになっている心の働きのつながりに変化が生じ、症状の現れ方によっていくつかの疾患に分けられます。
記憶の抜け・思い出せない体験
解離性健忘
大切な出来事の記憶を思い出せなくなる
強いストレスやトラウマに関連した出来事などについて、通常の物忘れでは説明できないほど重要な記憶を思い出せなくなる状態です。
解離性健忘について詳しく見る自己感・同一性の変化
解離性同一症
自分という感覚や記憶の連続性が保ちにくくなる
自分自身についての感覚や行動の連続性に大きな変化が生じ、日常の出来事について記憶が抜け落ちるなどの症状を伴うことがある解離症です。
解離性同一症について詳しく見る自分・周囲への現実感の低下
離人感・現実感消失症
自分や周囲が現実ではないように感じられる
自分を外から眺めているように感じたり、周囲の世界が夢の中のように現実味なく感じられたりする状態が繰り返し、または持続する疾患です。
離人感・現実感消失症について詳しく見る依存・嗜癖に関する疾患
インターネットやゲームなどを「やめたい」「減らしたい」と思っていても自分でコントロールできず、睡眠や学業、仕事、人間関係などに影響が広がることがあります。依存・嗜癖の問題では、単なる習慣や意志の弱さとして捉えるのではなく、生活への影響やコントロールの難しさを含めて考えることが大切です。インターネット・ゲーム障害では、利用をコントロールできないことや、ほかの活動よりゲームを優先すること、問題が生じても継続してしまうことなどが特徴となります。
飲酒のコントロール困難
アルコール使用症(アルコール依存症)
飲酒を減らしたいと思っても、思うようにコントロールできない
飲酒量や頻度を自分で調整することが難しくなり、健康や仕事、人間関係などに問題が生じても飲酒を続けてしまう状態です。
アルコール依存症について詳しく見るギャンブル行動のコントロール困難
ギャンブル障害
やめようとしても繰り返し、生活への影響が大きくなる
ギャンブルを自分でコントロールすることが難しくなり、金銭面や仕事、家庭生活などに問題が生じても繰り返してしまう疾患です。
ギャンブル障害について詳しく見るゲーム・インターネットのコントロール困難
インターネット・ゲーム障害
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インターネットやゲームの利用を自分でコントロールすることが難しくなり、睡眠や食事、学業、仕事、人間関係などに支障が生じても続けてしまう状態です。
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監修医師・参考文献

引用・参考文献
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